歯列矯正を始める前に

 治療を開始する前に知っておくべきこと 

健康で文化的な生活を送り,美しくありたいと願うことは,誰もが希望することです.きれいに並んだ白い歯は,美しさの大きな要素といえますが,世界の中ではそれぞれの国の文化や社会背景,また個人個人の価値観や生活環境によって,求めている「医療」に対する期待やその優先順は異なるものです.

現代の歯列矯正治療は,歯ならびや口もとや顔のかたちを整えることによって顔貌や見た目を改善し,また同時に歯の噛み合わせをよくすることを目的とした歯科医療サービスです.

① 見た目を重視する

   「美容医療(自由診療)」 の部分

② 顎変形症や先天性疾患といった

   「保険医療」 の部分

に大きく分けられますが,この2つの価値は『医療』という流れの中で変化し続けており,健康」「病気」そして「美しさ」の社会的概念,「医療」のあるべき姿などによって,またそれぞれの国や地域,あるいは患者さま個人個人の価値観によって異なるものです.

欧米では,「出っ歯」や「受け口」といった状態,あるいは著しい「乱杭歯」の顔貌からは,ドラキュラや魔女といった悪い印象が想像され,発音にも影響することから,社会的にはよい印象を持たれません.欧米の教科書では,矯正歯科治療の第1の目的は,Social Handicapの改善とされ,顔貌(見た目)の改善が主たる治療目的になっています.社会生活上のマナーとして,顔貌を整え,対人関係や印象をよくすることが社会的に認知されている医療として認知されています.

日本においても,現代では海外情報は容易に得られ,20-30年前に比べても欧米は大変身近となりました.美しさに対する価値観は欧米と変わらなくなりつつありますが,文化的背景によって,まだまだ日本人の病気観は欧米と異なったところがたくさんあります.

このような理由から,歯並びの治療では,患者さまのご要望をよくお聞きし,求めている医療に対する期待に対して,通常はいくつかの治療方法がご提案できます.顎顔面の矯正治療は,あなたの今後の人生にも大きく影響する医療行為であり,歯だけでなく,歯周組織やあご,骨の成長を含めた領域を扱う医療であり,決して歯並びだけを治すのではありません.

歯列矯正治療は,一生に一度の治療が原則であり,2年~3年という期間に渡って通院する時間的要素に加え,保険診療外の治療費(厚生労働大臣の認める疾患は保険診療になります)をご負担いいただくことになります.検査・診断によって治療方針が決まり,いったん治療が始まると,簡単に通院するクリニック(主治医)を変更することは望ましいことではありません.

どうぞ下記の内容をお読みになり,不明な点は遠慮なくお尋ねください.


以下の内容は,十分にご理解下さい.

 

1.はじめに

2.よい咬み合わせとは?

 不正咬合の治療目標,原因と予防

3.矯正治療のリスクと限界

 いわゆる”顎関節症”

 歯肉退縮と歯周形成外科

 抜歯やアゴの手術について

4.相談・検査・治療の進め方

 ① 検査について

 ② 治療をはじめる時期について

 ③ 来院間隔について

 ④ 治療期間について

 ⑤ 治療が終わったら

 ⑥ 転医・治療中断について

5.使用する矯正装置

 ① アライナー装置(「マウスピース矯正」)

  ・歯科矯正用治療支援プログラム

   (クリンチェック®ソフトウェア)

 ② エッジワイズ装置

    (ワイヤー矯正,Braces:ブレース)

  ・リンガル ブレース(歯の裏側の装置)

  ・エステティック(審美)ブレース

  ・メタル(金属)ブレース

 ③ アンカー スクリュー

 ④ エラスティックス(顎間ゴム)

 ⑤ 機能的顎矯正装置(可撤式装置)

 ⑥ リンガル・アーチ〔舌側弧線装置 〕

 ⑦ 顎外固定装置

6.患者さま・保護者への注意事項

以上の内容は,治療の説明のあらましです.

個人個人の歯並びの状態によって

説明と異なることがあるかもしれませんがご了承下さい.