※以下の内容は,本研究会のために記述したものであり,法律上,会計・税務上,福利厚生上,医療上などのアドバイスを目的とするものではありません.ご自身の責任でご参照ください.

 

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― 欧州大陸における社会保障制度:わが国の医療としての矯正歯科の位置
   ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)

― 主要国の医療保障制度概要2017(厚生労働省資料を追加改変)

― わが国の社会保障の概念

― わが国の公的医療保険(歯科矯正に関するもの)の流れ

― 疾病としての歯・歯列・顎の位置異常

― 国際疾病分類 第3版(WHO 1995)― 歯科矯正領域の疾病 Disease
   子どもの歯の矯正の政府見解
   医療倫理の問題解決の視点

― 歯列矯正の目的:概念的なもの

― 医療保険 と 情報の非対称,モラルハザード.逆選択

― 我国の法令上における不正咬合,歯列・咬合,歯科矯正,矯正治療の取り扱い

   所得税法  学校保健安全法  学校教育法  統計法  地方自治法
   成育基本法
    成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針
    健やか親子21  健康日本21
   健康増進法  医療法  健康保険法  生活保護法  歯科口腔保健の推進に関する法律

― 日本における歯科矯正の議論:
   子どもの歯列矯正のについて の議論
   OECD加盟国の保健医療費の状況(2018年)
   OECD Health Statics 2021

― 諸外国の歯科矯正の公定医療保障の状況
   英国   フランス   ドイツ   スウェーデン   ノルウェー   イタリア
   カナダ   アメリカ   オーストラリア   ロシア

― 歯列矯正の医療制度化は?

― 公衆衛生と生活習慣病

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― 欧州大陸における社会保障制度:わが国の医療としての矯正歯科の位置

 

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)

すべての人々が基礎的な保健医療サービスを、必要なときに、負担可能な費用で享受できる状態

 

 各国の制度的医療についての要点と問題点.

欧州諸国:健康上/well-beingの医療問題として,国家は公平・平等な公的保険医療の適用.

欧州など諸外国における歯列不正への公的医療保障制度,社会的概念を渉猟比較.以下参照.

わが国の医療保険制度は,すべての国民を公的医療保険で保障する「国民皆保険制度」,「現物給付」,「フリーアクセス」の3点に集約される.しかしながら,歯科矯正については,日本固有の歴史文化社会的背景から,公的医療保障制度と法制度(学校健診,税制上,専門医制度など)において,国民,各省庁間,医療従事者においてもそのあり方についての解釈や整合性は十分でない.

歯列矯正における健康上 well-being の意義,そして,すべての人々が基礎的な保健医療サービスを、必要なときに、負担可能な費用で享受できる状態の達成,良質かつ適切な歯科医療を国民へ公平に提供するまでには多くの課題が存在している.

ドイツ,英国では,歯と歯列の位置・大きさの異常を障害の程度に応じて5段階に分類.公的医療保障の適用となる歯列不正の適用基準がより明確である.わが国における歯科矯正には,米国のような民間保険はなく,公的保険の適用範囲も一部の疾患にのみ限られており,そもそも歯と歯列の位置・大きさの異常(国際疾病分類K07)を疾病と認めていない日本独自の「疾病/健康概念」や「社会通念」が存在している.政府見解・国民の要望・歯科医療従事者の教育などへの対処が求められる.

 Orthodontics と歯科矯正,グローバルな現状とわが国との乖離は,幕末に伝来した歯科・ 歯列矯正の歴史的背景,国民の口腔の健康への意識向上,歯列に対する社会的文化的意識や概念の変遷に起因すると考えるが,現在の我国では国民に多大な経済的負担を強いており,国民の口腔の健康格差,制度的改正による健康の社会的決定要因の是正が望まれている.

 

 

― 主要国の医療保障制度概要2017厚生労働省資料を追加改変)

  日本 ドイツ フランス スウェーデン イギリス アメリカ
制度類型 社会保険方式
国民皆保険
社会保険方式
国民皆保険
社会保険方式
国民皆保険
税方式による公営の
保健・医療サービス
税方式による公営の
保健・医療サービス
NHS, National Health Service
メディケア
メディケイド
民間医療保険
自己負担 30%
外来:なし
入院:1日10€
外来:30%
入院:20%
薬剤:35%
無料
ランスティング
(地方自治体)
原則無料 民間医療保険
加入率67.3%
2018年
歯列矯正への適応
民間医療保険なし
公的医療保険は
一部疾病のみ

18才以下
(1)

16才未満
(2)

19才未満
(3)

18才未満
(4)

民間医療保険
(5)
公的医療保険の根拠 疾病及び傷害の国際分類 1900年- 「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)」とは,「国際疾病分類」とも呼称され、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や傷病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため設けられた分類.1900年(明治33年)に国際統計協会により制定されて以来,医学の進歩や社会の変化に伴いほぼ10年ごとに修正が行われ,第2次大戦後はWHOの所管となり世界保健機関憲章に基づいたものとなった.現在国際的には,1990年(平成2年)の第43回世界保健総会で採択されたICD-10が使用されている.厚生労働省大臣官房統計情報部より引用
健康の定義 1946年 Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. 
公的医療保険適応の歴史
1951: WHO加盟



1982:
唇顎口蓋裂

1990:
顎変形症
詳細は下表.




成育基本法
健やか親子21
 歯の矯正への請願
 自治体意見書 
 国民の要望多数 
1948: Orthodontic treatment included in the provisions of the National Health Service Act
1986: Occlusal Index Committee set up in the aftermath of the 'Committee of Enquiry into Unnecessary Dental Treatment' recommends the introduction of orthodontic indices for NHS treatment
1947:公的資金を投入すべき不正咬合として,口唇口蓋裂,重篤な上下顎の疾患や外傷に起因する不正咬合,醜状,発音に関係し,正常発育への影響や教育就労に障害をもたらす場合の歯列矯正の基準を示した
適用基準 一部の疾病
社会通念上必要 〇
容姿の美化X 概念▲
(Social handicapとQoL)
学校健診:〇
制度/法的な是正
☛ 健康格差
KIG
歯科矯正適応グループ
IOTN
  根底にあるものは,「国民の幸せとは何か」という社会通念や倫理から,国民が享受できる医療制度や法が構築されてゆく.国民の幸福という国家における医療のあり方を考えるに,健康格差の大きな米国においても日本の終戦直後の時期に,公的資金の投入すべき不正咬合の審査基準は定められており,自由診療を取り入れてきた我国の歯科医療は,諸外国における倫理的実践的次元の医療概念,Social handicap,健康格差の是正や社会保障について学ぶものはないか.

   ☛ わが国の医療保険について(厚生労働省)

EU MANUAL (2015.2年版)

 

参考:    配布資料:保険診療の理解のために:歯科(令和3年度版)[PDF形式:1,129KB]

スライド資料:保険診療の理解のために:歯科[PDF形式:1,453KB]NEW7月30日

相田潤,他 ライフステージによる日本人の口腔の健康格差の実態:歯科疾患実態調査と国民生活基礎調査から.口腔衛生会誌 66: 458-464, 2016

歯科健康格差への対応について

 

 

※ わが国における歯科矯正における制度上の諸問題.ヨーロッパ大陸諸外国との社会保障上の歯科矯正の違いを理解する.

Traditionally, craniofacial biology has served as the sole scientific basis of orthodontic practice and research. Clearly an overlap of interests does exist between clinical orthodontics and craniofacial biology. However, the specialty is also significantly related to social, economic, and cultural factors. The "new paradigm" recognizes all of these interactions and dictates their integration conceptually and in research aimed at rationalizing orthodontics. Vig PS: Orthodontic controversies: their origins, consequences, and resolution. In Melsen B, ed. Current Controversies in Orthodontics. Chicago: Quintessence, 1991; 269-310. Fig 10-1  

 

― わが国の社会保障の概念

 わが国の社会保障の始まりは,明治期の廃藩置県,地租改正などによる貧困問題への公的な救済法として明治7年(1874)に発布された 恤救(じゅっきゅう)規則 にあり,昭和4年(1929)救護法,昭和25年(1950)生活保護法へ引き継がれている.

 社会保障概念の基は 日本国憲法第25条 であり,その概念を明示したものが 「社会保障制度に関する勧告(社会保障制度審議会 1950年)」 とされる.

第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
 ② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 

1942年の Sir William Beveridge 卿による 「SOCIAL INSURANCE AND ALLIED SERVICE : 通称 ベバリジ報告」,同年の ILO 国際労働機関による 「社会保障への途」 に基づいて提唱されたのが,以下の社会保障制度に関する勧告(社会保障制度審議会 1950年)

いわゆる社会保障制度とは,疾病,負傷,分娩,廃疾,死亡,老齢,失業,多子その他困窮の原因に対し,保険的方法又は直接公の負担において経済保障の途を講じ,生活困窮に陥った者に対しては,国家扶助によって最低限度の生活を保障するとともに,公衆衛生及び社会福祉の向上を図り,もってすべての国民が文化的社会の成員たるに値する生活を営むことができるようにすることをいうのである。社会保障制度に関する勧告(社会保障制度審議会 1950年)

すなわち,社会保障制度とは,

① リスク分散:自分の責任に帰することのできない理由によって発生する,さまざまな経済的リスクに対して社会全体で備えること

② リスク軽減:そうしたリスクが実際に発生する可能性そのものを社会全体で引き下げること

という2つの側面から,最低限度の生活「ナショナル・ミニマム」を保障する.

 

平成24年 厚生労働白書 第1章 なぜ社会保障は重要か(p.5-18)

 第1節 社会保障の誕生

 第2節 社会保障の発展

 第3節 社会保障の「見直し」と再認識

 第4節 日本の社会保障はどうだったのか

 

 

  「社会保障って,なに? ~身近な人から学ぶ健康保険や公的年金の話~ 」 厚生労働省 映像教材 25分30秒

  中3社会公民_社会保障の仕組み

 【高校生のための政治経済】 世界の社会保障#1

 【高校生のための政治経済】 社会保険①医療保険#2

 【高校生のための政治経済】 社会保険②年金保険#3

 【高校生のための政治経済】 社会保険③雇用保険・労災保険・介護保険#4

 【高校生のための政治経済】 公的扶助・社会福祉・公衆衛生#5

 

 

社会保障の4つの柱

 ① 公的扶助

 ② 社会保険

 ③ 社会福祉

 ④ 公衆衛生

 

老齢,遺族及び廃疾に関する保険険
国家扶助助
公衆衛生及び医療療
社会福祉祉

☛ 「社会保障と憲法」に関する基礎的資料 基本的人権の保障に関する調査小委員会 平成15年7月 衆議院憲法調査会事務局

 

所得再分配と社会保障

最低限度の生活保障

保険原理と福祉原理

普遍主義/選別主義

 

 

 WHOによる健康の定義がなされた1946年.終戦の翌年であり,わが国の国民生活,日本経済は貧困の渦中にあった.この当時の医療概念や対象とする歯科疾患の構造は現在とは大きく異なっていた.虫歯と入れ歯の洪水で歯科医院は足りず,前歯の金歯(開面金冠)や銀歯はごく当たり前,白い歯の審美修復や歯列矯正はまだ先の時代であったはずであるが,このような時代の高橋新次郎氏の著書「歯科矯正学」(1947)には,歯列矯正の意義が健康の定義と関連して記述されている.

 1947:高橋新次郎:(以下原文のまま)不正咬合並びにこれに依りて招来される顎骨の異常,乃至は顔貌の不正(勿論顎骨の異常が原因で不正咬合を生ずることも多いが)等は單に患者の咀嚼,發音等の諸機能を阻害するにのみならず,患者自身の精神上にも頗る重大な影響を及ぼし,これがため自らを卑下し,社會生存上常に大なる損失を招きつゝあることは吾々經驗するところである。例へば圖1-2のやうな甚だしい不正咬合に於いては,その顔貌上に及す影響も極めて大であつて患者自らもその點に關し,懊惱苦悶せることは明らかである。かくの如き場合に於ける矯正施術の目的は,單に齒牙の正常なる機能を恢復するばかりでなく,進んで顔面の不正おも改善することにより,より重大な意義を有することは明である。顔貌の不正は患者自身の精神上にも架る

顔貌の不正の改善,well-beingの向上

矯正歯科医療の価値 / ☛ 矯正歯科治療の目的と意義

 1950年代後半から,我国の高度経済成長は国民の生活水準を引き上げ,1982年には先天性疾患として唇顎口蓋裂の保険適用がなされた.社会保障制度は,当初は貧困への救済から始まったが,国民生活の向上,国民の健康概念の西洋化により,医療保障は社会的・精神的な分野への対応も必要となっている.社会変化・国民の求めに応じて,医療保障の適用範囲は修正・是正すべきものであろう.

 

 

― わが国の公的医療保険 歯科矯正に関するもの の流れ

明治07 1874年 恤救(じゅっきゅう)規則

大正11 1922年 (旧)健康保険法

昭和13 1938年 (旧)国民健康保険法

昭和20 1945年 終戦

昭和22 1946年 WHO憲章(健康の定義)

昭和25 1950年 社会保障制度に関する勧告,生活保護法

昭和26 1951年 WHO加盟

昭和33 1958年 国民健康保険法の制定

昭和36 1961年 国民皆保険の実現

昭和48 1973年 70歳以上の医療費が無料に(自己負担ゼロ)

昭和50 1975年 第76回国会 衆議院 社会労働委員会 第1号 昭和50年11月11日

             兎唇口蓋裂に対する健康保険診療範囲の拡大に関する請願(第1497号)

昭和51 1976年 第82回国会 参議院 社会労働委員会 第2号 昭和52年10月25日

             口唇裂・口蓋裂児の医療に関する件

昭和53 1978年 医療法改正により,標榜診療科 「矯正歯科」 「小児歯科」 の追加

昭和57 1982年 唇顎口蓋裂の保険導入

      ☛ 口蓋裂と矯正歯科―その保険導入の前後

      ☛ 谷間の口がい裂児:この子らに健保を

昭和58 1983年 老人保健法の施行

昭和59 1984年 職域保険(被用者保険)本人の自己負担1割

        そしゃく機能障害 ☛ 第101回国会 衆議院 社会労働委員会 第30号 昭和59年8月1日

平成02 1990年 顎変形症の保険導入

平成07 1995年 学校歯科健診に歯並びの項目が追加

平成08 1996年 顎口腔機能診断施設基準の追加

平成09 1997年 同自己負担2割

平成14 2002年 別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

平成15 2003年 同自己負担3割

平成16 2004年 別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

平成20 2008年 後期高齢者医療制度始まる

             別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

平成22 2010年 別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

平成26 2014年 別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

平成27 2015年 医療保険制度改革法が成立

平成28 2016年 別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

             (国民健康保険への財政支援の拡充、

              入院時の食事代の段階的引き上げ、

              紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入などが盛り込まれた)

平成30 2018年 国民健康保険の財政運営が、市町村から都道府県単位に変更

             別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

             前歯3歯以上の永久歯萠出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)

令和01 2019年 成育基本法(基本的な方針

令和02 2020年 別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

令和04 2022年 別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

 

 

― 疾病としての歯・歯列弓の位置/位置関係/機能の異常

疾病 / 病気 / 健康とは何か? 疾患の文化的概念,とらえかた,社会的価値の多様性について

 ☛ 問い:わが国政府において,「歯や歯列弓の位置/位置関係の異常」は疾病でないとされてきた理由はなぜか?

政府答弁

発言URL:  歯科矯正につきましては、疾患咬合異常や歯列不正との関係が明らかな場合に保険給付の対象といたしております。 これは、我が国の公的医療保険は疾病や負傷の治療等に対して保険給付することを目的としておりますけれども、歯科矯正治療につきましては審美的な要素も大きいため、原則的に保険適用外となっているためでございます。

☛ 国際的な医療概念から外れた日本独自の政府答弁の原因は,医療提供者側にも責任はないか? 歯科矯正学の学問体系に関する総論的な考察が遅れ,矯正治療の意義と目的が不明瞭となっているとの指摘がなされてきたこと(昭和53年),医療は社会との契約の基礎であること.医師の利益より患者の利益を優先すること.健康に関する専門的助言を社会に与えることなど医療倫理原則について.

咬合異常,歯列不正,不正咬合 ⇒ 歯の位置異常,歯列関係の異常,歯周病,顎関節疾患などの疾患/疾病の結果として生じるもの.咬合という概念に関するドグマ

【 参考】:  技術を中心とした治療学の進歩は,不正咬合の治療効果を高め,治療に伴う歯根吸収などの障害を避け,術後の安定を一層確実にするための努力の表現であって,このこと自体,非難されるべきではない.しかし,一方では,技術的進歩のみが独走して,そのあとにかずかずの矛盾が残されたという面がないとはいえない.とくに,歯科矯正学の学問体系に関する総論的な考察が遅れ,矯正治療の意義と目的とは,ともすれば不明瞭となり,このため歯科矯正学は,学生諸君からも,そしてときには矯正専門医からも,あたかも美容整形技術の一部であるかのように受け取られる結果を招いている.歯科矯正学は,現在,もう一度そのあり方について考える時期に来ているといえる.そして,学問の進歩とともに,また時代の流れと社会の変化とともに,常に考え続けるものでなければならない.歯科矯正学実習書 実習総論 p.1 医歯薬出版 昭和53 1978

☛ 問い: 歯科医師の医療行為,特に歯科矯正学の技術や知識は,格差なく国民へ公平に配分されているだろうか?

6年間の大学教育後,国家資格を経た歯科医師は,さらに矯正歯科認定医,専門医としての知識や技術を,国民へ公平に提供できているか? 経済的理由から歯列矯正が受けられない人々はどの程度存在しているか?

専門医制度の本質,矯正歯科の役割: 医療としての公平性.健康は人権であるという視点から,すべての国民に負担可能な費用で医療サービスを提供すること.過大な医療費負担によって経済的破綻に陥ることがないように国民を保護することは国家の義務であり専門職の役割であること.常に視点は低・中所得の人々におくことで,国家としての健康指標の改善が初めてなされること.

 

 

―  WHOによる国際疾病分類 第3版(WHO 1995)― 歯科矯正領域の疾病 Disease

英語版 The Application of the International Classijication of Diseases to Dentistry and Stomatology (ICD-DA 3rd Ed. 1995)

日本語版 国際疾病分類 歯科学及び口腔科学への適用 第3版 平成13年12月(厚生労働省)CD-ROM版

K07 Dentofacial anomalies [including malocclusion] 歯顎顔面(先天)異常[不正咬合を含む]

K07.0     Major anomalies of jaw size 顎の大きさの著しい異常 (顎変形症:1990 保険適用) 

Excludes:     acromegaly 末端肥大症<先端巨大症>(E22.0)(顎変形症:1990 保険適用)
                       hemifacial atrophy or hypertrophy
 顔面半側の委縮又は肥大 (Q67.4) 2004保険適用
                       Robin's syndrome
 ロバン症候群 (Q87.0) 2002保険適用
                       unilateral condylar hyperplasia
 片側性下顎頭過形成 (K10.81) (顎変形症:1990 保険適用)
                       unilateral condylar hypoplasia
 片側性下顎頭形成不全 (K10.82) (顎変形症:1990 保険適用)
K07.00       Maxillary macrognathism [maxillary hyperplasia] 大上顎症[上顎過形成]
K07.01       Mandibular macrognathism [mandibular hyperplasia] 大下顎症[下顎過形成]
K07.02       Macrognathism, both jaws 大顎症,上下顎
K07.03       Maxillary micrognathism [maxillary hypoplasia] 小上顎症[上顎低形成]
K07.04       Mandibular micrognathism [mandibular hypoplasia] 小下顎症[下顎低形成]
K07.05       Micrognathism, both jaws 小上顎症[上顎低形成]
K07.08       Other specified jaw size anomalies その他の明示された顎の大きさの異常
K07.09       Anomaly of jaw size, unspecified 顎の大きさの異常,詳細不明

K07.1    Anomalies of jaw-cranial base relationship 顎と頭蓋底との関係の異常(顎変形症:1990 保険適用)

K07.10      Asymmetries 顎の非対称

Excludes:    hemifacial atrophy 顔面半側委縮 (Q64.40) 2004 保険適用 
                      hemifacial hypertrophy
 顔面半側肥大 (Q67.41)  2008 保険適用
                      unilateral condylar hyperplasia
 片側性下顎頭萎縮 (K10.81) (顎変形症:1990 保険適用)
                      unilateral condylar hypoplasia
 片側性下顎頭形成不全  (K10.82) (顎変形症:1990 保険適用)
K07.11       Mandibular prognathism 下顎前突(症)
K07.12       Maxillary prognathism 上顎前突(症) 
K07.13       Mandibular retr.ognathism 下顎後退(症)
K07.14       Maxillary retrognathism 上顎後退(症)
K07.18       Other specified anomalies of jaw-cranial base relationship その他の明示された顎と頭蓋底との関係の異常
K07.19       Anomaly of jaw-cranial base relationship, unspecified 顎と頭蓋底との関係の異常,詳細不明

☛ わが国において1990年に公的医療保障となった「顎変形症」という保険請求上の病名は,統計法上の疾患コードではK07.

☛ 傷病名「顎変形症」は,顎顔面の変形をともなう疾患群のうち治療法として「顎離断術」が選択された場合に「顎変形症」と呼ばれる.K07 歯顎顔面(先天)疾患[不正咬合を含む]の一部に該当する.

☛ 疾患/傷病への保険給付ではなく,治療方法によって疾病名が決定され保険給付されるため,最善の治療方法の選択する場面において,患者の自律性,無危害原則との衝突がある.特に,ボーダーライン症例の治療方針の決定では,患者の経済的状況が影響を与えることもあり,医療倫理原則上のジレンマが生じる場合がある.公平な術式選択のための医療倫理(詳細な連携医療,治療計画立案,治療同意)が求められる.術式による保険給付ではない保険適用基準の是正を要する.

☛ 顎離断を望まない,歯列改善のみで容貌改善を希望しない場合,あるいはその逆に経済的理由からの顎離断術の選択を主張される場合もあり,医療倫理上のジレンマを実際に経験する.

☛ 公的医療保障の適用基準として:傷病名なのか治療方法なのか?顎離断の根拠,制度上のジレンマについて.

☛ 顎変形症の意義と目的:顔貌,歯列,顎機能などの優先順位.

☛ 医療倫理の4原則:自立尊重,無危害,善行,正義

K07.2 Anomalies of dental arch relationship 上下歯列弓の位置関係の異常我国では疾病とは認められず,公的医療保障の適用外

K07.20      Disto-occlusion 遠心咬合
K07.21      Mesio-occlusion 近心咬合
K07.22      Excessive overjet [horizontal overbite] 過剰なオーバージェット[水平的オーバーバイト]
K07.23      Excessive overbite [vertical overbite] 過剰なオーバーバイト<過蓋咬合>[垂直的オーバーバイト]
K07.24      Openbite 開咬
K07.25      Crossbite (anterior, posterior) 交叉(差)咬合(前歯部,臼歯部)
K07.26      Midline deviation 正中偏位
K07.27      Posterior lingual occlusion of mandibular teeth 下顎歯の後臼歯部舌側咬合<鋏状咬合>
K07.28      Other specified anomalies of dental arch relationship その他の明示された上下歯列弓の位置関係の異常
K07.29      Anomaly of dental arch relationship, unspecified 上下歯列弓の位置関係の異常,詳細不明

K07.3 Anomalies of tooth position 歯の位置異常我国では疾病とは認められず,公的医療保障の適用外

K07.30      Crowding そう<叢>生
                Imbrication インブリケーション<うろこ<鱗>状配列>
K07.31      Displacement 転位
K07.32      Rotation 捻転<回転>
K07.33      Spacing 空隙
                Diastema 歯隙
K07.34      Transposition 移転<位置交換>
K07.35      Embedded or impacted teeth in abnormal position 異常位の埋伏歯 2018 保険適用
                Excludes: embedded or impacted teeth in normal position 正常位の埋伏歯 (K01.0, K01.1)
K07.38      Other specified anomalies of tooth position その他の明示された歯の位置異常
K07.39      Anomaly of tooth position, unspecified 歯の位置異常,詳細不明

☛ K07.2 とK07.3 歯列の位置関係,歯の位置異常は,わが国では疾病として認められていないため公的保険適用外となることから,国民に過剰な費用負担を強いる結果となっている.学校健診で指摘されるが医療を受けられないということから,請願や自治体からの意見書が国会へ多数出ている.

 歯並びの価値について:社会的文化的概念のグローバル化による変遷.国民の要望の変化.医療社会学的視座から.

K07.4 Malocclusion, unspecified 不正咬合,詳細不明我国では疾病とは認められず,公的医療保障の適用外

K07.5 Dentofacial functional abnormalities 歯顎顔面の機能的異常我国では疾病とは認められず,公的医療保障の適用外

Excludes:  bruxism [teeth-grinding] 歯ぎしり (F45.82)
K07.50      Abnormal jaw closure 閉口異常
K07.51      Malocclusion due to abnormal swallowing 異常えん<嚥>下による不正咬合
K07.54      Malocclusion due to mouth breathing 口呼吸による不正咬合
K07.55      Malocclusion due to tongue, lip or finger habits 舌,口唇又は指の習癖による不正咬合
K07.58      Other specified dentofacial functional abnormalities その他の明示された歯顎顔面の機能的異常
K07.59      Dentofacial functional abnormality, unspecified 歯顎顔面の機能的異常,詳細不明

K07.6 Tempromandibular joint disorders顎関節症として保険適用)

K07.60     Temporomandibular joint-pain-dysfunction syndrome [Costen]
               Excludes: current temporomandibular joint dislocation (S03.0) and strain (S03.4) diseases listed in Chapter XIII
K07.61     Clicking (snapping) jaws
K07.62     Recurrent dislocation and subluxation of temporomandibular joint
               Excludes: current injury (S03.0)
K07.63     Pain in temporomandibular joint, not elsewhere classified
               Excludes: temporomandibular joint-pain-dysfunction syndrome [Costen] (K07.60)
K07.64     Stiffness of temporomandibular joint, not elsewhere classified
K07.65     Osteophyte of temporomandibular joint
K07.68     Other specified temporomandibular joint disorders
K07.69     Temporomandibular joint disorder, unspecified

☛  叢生,捻転,正中離開,移転歯,上顎前突,下顎前突,開咬,正中偏位,交叉咬合,過蓋咬合など国際疾病分類 K07.0 ~ K07.6, p.69-71 に記載.我国においては,各省庁間において,不正咬合や咀嚼機能という概念(厚生労働省),美容,審美的要素,社会通念上など(財務省),歯列咬合(文部科学省)といった解釈で説明される.国際的な疾病概念からの乖離.国民の要望,医療従事者(歯科医師)との認識の相違もある.わが国独自の社会的・文化的背景,歯科の歴史経過,公的医療保障から歯科矯正が欧州諸国から立ち遅れていることで生じている社会疫学・公衆衛生上の諸問題について知る.

☛ 英国,独逸:歯列咬合の異常を健康に障害を与える程度によって5段階に分類.IOTN

☛ 医療とは何か.病気/疾病とは何か.国民の幸福.Well-being.感情(喜怒哀楽)と健康

☛ 子どもの歯列矯正の受診についての格差:健康格差対策の進め方

 

<子どもの歯の矯正についての議論>

☛ 動画 子どもの歯列矯正は将来の疾病予防のために資する

☛ 動画 子どもの歯科矯正治療の保険適用について

☛ 動画 児童生徒の歯科矯正に対する保険適用を求める声についての政府の対応について

☛ (政府見解....)我が国の医療保険制度においては、基本的に、疾病、負傷等の発生を保険事故として保険給付が行われていることから、歯科矯正については、唇顎口蓋裂等の先天性疾患に起因する咬(こう)合異常や顎変形症による歯列不正など、疾患と咬合異常や歯列不正との関係が明らかな場合に保険給付の対象としている

↪ 政府では,「咬合異常,歯列不正」 という概念を疾患としているようであり, 「歯の位置異常,歯列関係の異常」 は疾患でない?(解釈について)

 わが国の歯科界のドグマ.☛ 咬合という概念に関するドグマ

 

☛  医療倫理の問題解決の視点

  1. 目前の診察治療での規範:

  2. 組織(病院・診療所)での規範:

  3. 社会全体でなすべき規範

 健康は人権であるという視点.生存権 健康権 生命権 幸福追求権

 すべての国民に負担可能な費用で医療サービスを提供すること.

 過大な医療費負担によって経済的破綻に陥ることがないように国民を保護することは国家の義務であること.

 常に視点は低・中所得の人々におくことで,国家としての健康指標の改善が初めてなされること.

   Global Health 101, 邦訳 グローバル ヘルス 世界の健康と対処戦略の最新動向

 

歯列矯正の必要性

Need for Orthodontic Treatment in Pupils Aged between 12 and 15 in the Valencian Region (Spain)

IOTN-DHC指標を用いた場合、12歳での治療の必要性は12.6%、15歳では7%であった。IOTN-ACで判断した場合、治療の必要性は12歳で4.3%、15歳で0.9%であった。DAI指標を用いた場合、12歳での必要性は30.1%、15歳では20.9%であった。性別や社会経済状況による矯正治療の必要性に統計的な有意差は認められなかったが、社会経済的背景の低い学童で必要性が高まることが判明した。

Malocclusions and Orthodontic Treatment in a Health Perspective: A Systematic Review

 

 

― 歯列矯正の目的:概念的なもの

歯列矯正の目的 ― 概念的なもの 健康とは何かということの違い.
日本の専門教育や学会 諸外国など
公的医療保障の概念:疾病/病気を基準とするため「誘因」の除去は自己責任として医療保障の対象とならない.疾病が発生して初めて公的医療保障対象となる.
歯・歯列・顎の位置や大きさの異常は,成長発育に関連する疾患,先後天的疾患?
公的医療保障の概念:健康を基準(WHO1946: physical, mental and social well-being)
生活の質QOL,口腔の健康,機能の改善とし,社会的問題として捉えている.
英国矯正歯科学会BOS
米国矯正歯科学会
2012 第3版 新しい歯科矯正学 永末書店 2019 第6版 歯科矯正学 医歯薬出版
 A 生理的障害
   ① 咀嚼機能障害
   ② 発音障害
   ③ 顎骨の発育に及ぼす障害
   ④ 齲蝕発生の誘因
   ⑤ 歯周疾患の誘因
   ⑥ 外傷の誘因
   ⑦ 補綴修復を困難にする
   ⑧ 顎関節症の誘因
 B 心理的障害
 ① 齲蝕の誘因
 ② 歯周疾患の誘因
 ③ 外傷の誘因
 ④ 歯根吸収の誘因
 ⑤ 咀嚼機能障害
 ⑥ 筋機能障害
 ⑦ 顎骨の発育異常
 ⑧ 発音障害
 ⑨ 審美的な欲求と心理的な背景
① 生活の質QOL,Well-being 社会的,幸福,自尊心,対人関係の向上など
② 口腔の健康と機能の改善

    清掃性(歯垢による齲蝕,歯周病)
    外傷の予防
    発音障害
   
 ☛ 諸外国では,医療・健康の観点から歯の位置異常の障害程度について述べる.我国では咬合や上顎前突,下顎前突,開咬といった分類の視点から述べる.文化社会的に概念的に異なる視点.

☛ これらの医学的・医療上の問題や誘因としての歯の位置異常を矯正することは,わが国では公的医療保障となっていない.すべての国民に負担可能な費用で医療サービスを提供すること,また過大な医療費負担によって経済的破綻に陥ることがないように国民を保護することは国家の義務であること.

 

 

― 医療保険の基礎理論

医療保険制度の体系

経済的特徴

医師誘発需要理論

情報の非対称

モラル ハザードの問題と対応策

逆選択

 

Ethical considerations regarding the timing of orthodontic treatment
Laurance Jerrold
AJO-DO, 113(1) p.85-90,1998.

A. Moral hazard in health insurance: What we know and how we know it.
Einav, L. and Finkelstein A.
J European Economic Association, 16(4): 957-982, 2018.

Ethics for orthodontists
Wendy E. Mouradian, M. Lena Omnell, and Bryan Williams
Angle Orthod (1999) 69 (4): 295–299.
Abstract: 子どもの最善の利益や未成年者の意思決定における倫理的問題について,口唇口蓋裂の児童で,医学的適応ある矯正歯科治療を受けるため両親が来院しなかったケースを紹介.患者の利益,危害の回避,両親の意思尊重の必要性など,このケースでの倫理的特徴が議論され,米国歯科医師会および米国医師会の倫理規定が参照される.倫理的ジレンマとして,矯正歯科医の子供に対する義務,親の自律性尊重との葛藤.親の自主性は、子供に重大な危害を及ぼす可能性がある時点まで尊重される.歯科矯正医の第一の倫理的責任は,両親ではなく子供に対するものであり,医学的適応ある治療を提供する歯科矯正医は,親の意思決定が問題となる場合,頭蓋顔面チームまたは病院のソーシャルワーカーを関与させるべきである.

Ethical dilemmas in orthodontics
BJMMR, 16(3): 1-8, 2016.
Abstract: 歯科矯正医が子どもの最善の利益を擁護する際に直面しうる倫理的ジレンマの一例としての臨床事例.5歳の女児.乳歯列期の反対咬合を主訴に私のクリニックに来院した.矯正歯科医が考える子どもの利益と、親の自主性を尊重する必要性との間に葛藤がありました。母親は矯正治療の効果に疑問と不安を抱いており、この年齢で娘の治療を開始することに消極的であった。矯正歯科治療において重要な人間的価値があるにもかかわらず,矯正歯科医が治療中に遭遇する倫理的問題は絶え間なく存在する.これらの価値観には、痛みの防止、通常の会話や食事のための口腔機能の維持と回復,患者の身体的外観の維持と回復,および自分自身の健康に対するコントロールと責任の感覚の促進が含まれる場合がある.歯科矯正医が扱うのは主に子供であり,倫理的な問題が発生するのは、特に道徳的な不確かさがある場合です.医学と歯学の倫理的伝統と行動規範は、歯科矯正医が金銭的な取り決めに関係なく患者の利益のために行動すること、そして時には自分自身を危険にさらすことさえも要求している。小児の場合、この患者への関心はさらに顕著となり、患者の意思を尊重するという歯科矯正医の関心と相反する場合がある。

 

 

― 我国の法令上における不正咬合,歯列・咬合,歯科矯正,矯正治療の取り扱い

所管官庁 執行 法令 法令の解釈・補足(説明文・回答・答弁・事務連絡・マニュアルなど)
財務省 国税庁 所得税法施行令 第207条
(医療費の範囲)
第二百七条 法第七十三条第二項(医療費の範囲)に規定する政令で定める対価は、次に掲げるものの対価のうち、その病状その他財務省令で定める状況に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とする。
一 医師又は歯科医師による診療又は治療


歯列を矯正するための費用
発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける者の年齢や矯正の目的などからみて社会通念上歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象となりますが、容姿を美化し又は容貌を変えるための歯列矯正の費用は、医療費控除の対象とはなりません(所得税法施行令第207条、所得税基本通達73-4)。
 将来の就職や結婚を考慮しての歯列矯正は、一般的に容姿を美化し又は容貌を変えるためのものであると認められ、この場合の費用は、医療費控除の対象とはなりません。

答弁:第84回国会 参議院 大蔵委員会 第2号 昭和53年2月9日
 ☛ 子どもの矯正の大部分は医療の対象であり医療費に含める.特殊な例というのは美容のためだけにやる,健康上の理由はないんだということに該当する場合は問題がある.(国税庁直税部長) 


法令解釈通達 法第73条《医療費控除》関係
所得税基本通達73-4
(健康診断及び美容整形手術のための費用)
73-4 いわゆる人間ドックその他の健康診断のための費用及び容姿を美化し、又は容ぼうを変えるなどのための費用は、医療費に該当しないことに留意する。ただし、健康診断により重大な疾病が発見され、かつ、当該診断に引き続きその疾病の治療をした場合には、当該健康診断のための費用も医療費に該当するものとする。



 財務省と厚生労働省の医療概念の議論と考え方:

 ① 容貌の美化とは何か?
     
美容のためだけにやる.健康上の理由はないという歯列矯正はあるか?
 ② 容貌を変えるとは
     
歯並びを治す(歯や歯列の位置異常を矯正する)ことで,結果として容貌(口唇や側貌)は変わる.容貌を変えるだけの歯列矯正はないのではないか? お役人の知識不足や誤解.

 ☛ 答弁などから解釈すると,「美容のためだけや健康上の理由はない」という歯列矯正はどういう場合かと考えると.犬歯を吸血鬼のように出してほしいという奇人や映画俳優がいるかもしれないが,このような場合以外の歯列矯正は,国際疾病分類における歯の位置異常,歯列弓の異常という「疾病」を,正常な位置や大きさへ改善するものである.我国における八重歯はかわいいといった日本の社会的文化的背景のあるものを「疾病」と定義することには,まだ少し社会的な合意が必要かもしれない.

 ☛ 「容姿を美化し,容ぼうを変える」とは,疾病の有無によって解釈が異なる.

 ☛ 疾病による醜の改善(歯・歯列の位置・大きさの異常,腫瘍や外傷による身体の変形や欠損)
     ⇒ 歯科矯正,形成外科

 ☛ 疾病のない状態からの容姿,容ぼうを変える.健康上の理由がない.
     ⇒ 美容医療,美容外科

  歯の位置,歯列弓の異常を国際疾病分類に準じて,疾病と認めるかどうか
  諸外国に準じ,重篤なものから保険適用を拡大する

 例えば,公的医療保障の対象疾患である「顎変形症」の場合,歯や歯列の位置や大きさの異常を改善すると,結果として容貌の改善も得られる(財務省のいう美化という変化が起こる)が,これは疾病からの肉体的・精神的・社会的な健康回復が目的.

    善 ↔ 悪
    正 ↔ 不正
    正常 ↔ 異常
    美 ↔ 醜
    健康:疾病でないこと(日本)
        well-being(WHO, 諸外国)

☛ 公的医療制度に歯科矯正が適用されている欧米諸国では,WHOの健康概念の Social handicap ,すなわち醜状(教育・就労における障害),発音障害を健康の一部と捉えている.我国では健康は疾病でないこととの概念が未だにあり,社会的・精神的な健康概念の立ち遅れ,身体加工に対する歴史的,社会文化的会計から,国民の口腔の健康格差がある.

☛ well-being 幸福追求権,個人の尊厳,社会的健康格差


歯列矯正料の収入すべき時期 【照会要旨】
 歯列矯正には通常数年の治療期間を必要としますが、歯科医師が歯列矯正治療を行う場合には、矯正装置の代金及び装着料のほか、その矯正治療の全期間を通ずる基本料金としての性質を有する報酬(以下「基本料」といいます。)を、治療の開始当初において患者に請求し、一括受領している事例が少なくありません。

 基本料及び矯正料(以下「基本料等」といいます。)については、その収入計上時期についてどのように取り扱うべきですか。

【回答要旨】
 基本料等の収入計上時期については、歯科医師と患者の契約の実態に応じ、次のとおりとなります。

 1 矯正装置の装着など一定の役務の提供を行った時に基本料等の全額について請求し受領することとしている場合には、基本料等の全額についてその一定の役務の提供を了した日の収入金額とします。
 2 期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて、所定の基本料等を請求し受領することとしている場合には、その期間が経過した日又はその役務の提供を了した日の収入金額とします。
 3 1及び2以外の場合はそれぞれ次によります。
  イ 支払日が定められている場合には、その支払日とします。
  ロ 支払日が定められていない場合には、その支払を受けた日(請求があった時に支払うべきものとされている場合には、その請求の日)とします。
  ハ ただし、イ及びロのうち、支払日が矯正治療を完了した日後とされているものについては、矯正治療を完了した日とします。


       
文部科学省 学校保健安全法
(目的)
第一条 この法律は、学校における児童生徒等及び職員の健康の保持増進を図るため、学校における保健管理に関し必要な事項を定めるとともに、学校における教育活動が安全な環境において実施され、児童生徒等の安全の確保が図られるよう、学校における安全管理に関し必要な事項を定め、もつて学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資することを目的とする。
(健康診断の方法及び技術的基準等)
第十七条 健康診断の方法及び技術的基準については、文部科学省令で定める。

学校保健安全法施行令
(検査の項目)
第二条 就学時の健康診断における検査の項目は、次のとおりとする。
六 歯及び口腔の疾病及び異常の有無

学校保健安全法施行規則
第二章 健康診断
第一節 就学時の健康診断
(方法及び技術的基準)
第三条 九 歯及び口腔の疾病及び異常の有無は、齲歯歯周疾患不正咬合その他の疾病及び異常について検査する。
(事後措置)
第九条 学校においては、法第十三条第一項の健康診断を行つたときは、二十一日以内にその結果を幼児、児童又は生徒にあつては当該幼児、児童又は生徒及びその保護者(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第十六条に規定する保護者をいう。)に、学生にあつては当該学生に通知するとともに、次の各号に定める基準により、法第十四条の措置をとらなければならない。
一 疾病の予防処置を行うこと。
二 必要な医療を受けるよう指示すること。
三 必要な検査、予防接種等を受けるよう指示すること。
四 療養のため必要な期間学校において学習しないよう指導すること。
五 特別支援学級への編入について指導及び助言を行うこと。
六 学習又は運動・作業の軽減、停止、変更等を行うこと。
七 修学旅行、対外運動競技等への参加を制限すること。
八 机又は腰掛の調整、座席の変更及び学級の編制の適正を図ること。
九 その他発育、健康状態等に応じて適当な保健指導を行うこと。

☛ 学校では,心や身体の疾病の通院加療のために,授業を欠席したり早退することへの理解と配慮,個人個人の障害や体の多様性を理解許容し,生徒,先生もお互いに助け合う社会を学ぶしくみ.





学校における健康診断の在り方等に関する意見
学校における健康診断は、家庭における健康観察を踏まえ、学校生活を送るに当たり支障があるかどうかについて、疾病をスクリーニングし健康状態を把握するという役割と、学校における健康課題を明らかにして健康教育に役立てるという、大きく二つの役割がある。このことについて、学校関係者や保護者の間で、共通の認識を持つことが重要である。

(3)歯と口腔(こう<う)の領域
〇歯科検診におけるむし歯や歯肉炎等の結果を踏まえ、歯と口腔(こう<う)の課題だけではなく、子供の健康そのものの保持増進を固るという取組が必要になってくる。すなわち、生活習慣病の予防という観点にも注目し、健康相談や保健指導と関連させながら、歯科検診の更なる充実を図ることが必要となる。歯科検診は「疾病発見型のスクリーニング」ではなく「健康志向(健康増進)型のスクリーニング」であることに意義がある。

〇今後は、歯列咬合(しれつこうごう)及び顎関節についても大きな課題となってくる。これらは、「食べ物を取り込み、食べる」機能「表情をつくり、話す」機能及び「運動を支え、体のバランスをとる」機能等に直接関わっており、生活の質に関係してくるため、学校歯科医はもちろん、教諭、養護教諭をはじめとする教職員にも、その重要性の共有が求められている。


児童生徒等の健康診断マニュアル 平成27年度改訂 日本学校保健会
歯及び口腔の疾病及び異常の有無(p.44~)

4. 歯列・咬合の健康診断の判定基準について
歯列咬合に関しては、小学校低学年から中学校にかけては乳歯から永久歯への交換が行われることと顎骨の成長発育が盛んなことから、変化の激しい時期に当たり、短時間で判断するのは容易ではない。

大切なことは、学校における歯科健康診断での判定は、矯正治療の必要性を判断するということではない。将来、口腔の健康、全身の健康にとってどのようなリスクが考えられるかを、学校保健教育の視点から教育し、認識させることが必要である。

歯列・咬合については、子どもの発達段階に応じた保健指導・健康相談を重要視し、口腔機能の発達及びその重要性、家庭との連携の視点から保健調査票の活用等について留意する必要がある。

 0:異常なし
 1:定期的観察が必要
 2:専門医(歯科医師)による診断が必要

矯正治療中のものは判定「1」に含む。

*判定「2」については「保健調査票」の活用により、家庭との連携・個別の保健指導や健康相談を重視し、本人・保護者等の意向により矯正治療を行わない場合等は、経過観察として管理する場合もある

初等中等教育局
健康教育・食育課
学校歯科健康診断における歯列・咬合の検査について 学校歯科健康診断における歯列・咬合の検査について(事務連絡 令和4年3月30日)
公益社団法人 日本学校歯科医会 学校歯科健康診断における歯列・咬合の事後処置についてのお願い(令和4年4月7日)
  学校教育法
第九章 大学
第八十三条 大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。
② 大学は、その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。


 
       
総務省   統計法
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることにかんがみ、公的統計の作成及び提供に関し基本となる事項を定めることにより、公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「行政機関」とは、法律の規定に基づき内閣に置かれる機関若しくは内閣の所轄の下に置かれる機関、宮内庁、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項若しくは第二項に規定する機関又は国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関をいう。
9 この法律において「統計基準」とは、公的統計の作成に際し、その統一性又は総合性を確保するための技術的な基準をいう。
(統計基準の設定)
第二十八条 総務大臣は、政令で定めるところにより、統計基準を定めなければならない。

「疾病、傷害及び死因の統計分類」

 「疾病及び関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(以下「ICD」と略)」とは、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類である。
 わが国では、統計法(平成19年法律第53号。以下「法」という。)第28条第1項の規定に基づき、法第2条第9項に規定する統計基準として、ICDに準拠した「疾病、傷害及び死因の統計分類」を告示している。 現在、国内で使用している分類は、ICD-10(2013年版)に準拠しており、統計法に基づく統計調査に使用されるほか、医学的分類として医療機関における診療録の管理等に活用されている。

疾患コード 060565 顎変形症 K07

国際疾病分類:K07 - 歯顎顔面(先天)異常[不正咬合を含む]

K07.0 - 顎の大きさの著しい異常
 K07.1 - 顎と頭蓋底との関係の異常
K07.2 - 上下歯列弓の位置的関係の異常
K07.3 -
歯の位置異常
K07.4 -
不正咬合,詳細不明
K07.5 - 歯顎顔面の機能的異常
K07.6 - 顎関節障害
K07.8 - その他の歯顎顔面の異常
K07.9 - 歯顎顔面の異常,詳細不明

☛ 統計法では,顎変形症 K07 の大区分の記載.区分詳細の上下歯列弓の位置関係の異常,歯の位置異常,不正咬合については空欄.「傷病名」の分類として総務大臣により定められているが,国際分類との十分な整合性が得られていない.

  地方自治法
第一編 総則
第一条 この法律は、地方自治の本旨に基いて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする。
第九十九条 普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。
自治体からの意見書:

1998年10月31日に公明広島県本部の方とそれから歯科矯正の保険適用を求める会の方々が一万人を超える署名簿を厚生省に提出して、小泉厚生大臣に快く受け取っていただいた
 平成10年4月7日 第147回国会 参議院 国民福祉委員会 第5号

その後の自治体からの意見書
 平成12年3月29日 三鷹市議会
 平成12年3月30日 東京都議会

 平成29年9月15日 甲府市議会

第198回国会 衆議院 厚生労働委員会 第23号 令和元年6月26日
子供の歯科矯正への保険適用の拡充に関する請願(宮川典子君紹介)(第二一二三号)

令和元年6月11日 第198回国会 参議院 内閣委員会 第23号

地方自治法(左記)の規定による自治体からの衆・参議院議長,内閣総理大臣,財務,文部科学,厚生労働大臣への意見書.
 令和2年3月25日 兵庫県議会
 令和2年6月25日 東村山市
 令和3年9月3日 山梨県中央市議会
 令和3年9月24日 山梨県上野原市議会
 令和3年9月30日 大月市議会
 令和3年10月21日 奈良県議会
 令和3年12月2日 広島県議会
 令和3年12月9日 大和高田市
 令和4年3月25日 橿原市議会

- - - 各自治体の文面例①

歯科矯正への保険適用に関する意見書

 健康な身体を保つために、歯は重要な働きをしている。しかし、近年子どもたちの嗜好は、固いものより軟らかいものを好む傾向があり、噛むことが少なくなったこともあって、顎の発達が悪く歯並びの悪い子どもが多くなったと言われている。
 乱れた歯並びや不正咬合は、外見の悪さやそれによる心的な影響だけでなく、虫歯や歯周病、顎関節症などの原因にもなり、更には、脳の発達にまで悪い影響を与えると言われている。このような理由から、既に学校の歯科検診に歯並びの項目が設けられたところである。
 また、大人になってから歯並びが悪くなった場合でも、上手に噛めないことにより、食物の消化が悪いなど、健康に様々な影響が現れるため、中年からの歯科矯正の意義を認める歯科医もいる。
 不正咬合は、歯科矯正により、ほぼ 100%治るところである。しかし、歯科矯正で、健康保険が適用されるのは唇顎口蓋裂や顎変形症などの顎の手術を伴う特殊な場合だけで、それ以外の場合は、治療費が一般的に50万円から 100万円と余りにも高額で全額自己負担のため、治療を断念する人も少なくない。
 よって、東京都議会は、政府に対し、国民の健康増進に資するため、医療上の機能回復を目的とする歯科矯正を保険適用の対象とするよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。
 平成12年3月30日
東京都議会議長 渋谷守生
内閣総理大臣 厚生大臣 自治大臣 あて提出

- - - 文面例②

子どもの歯の矯正治療に保険適用を求める意見書

 現在、歯の矯正治療の保険適用範囲は、特定の手術が必要な場合や、特定の疾患に起因するものなどごく狭い範囲に限定されており、原則として保険が適用となっていない。そのため、義務教育である小中学校の健康診断の結果、「要治療」と診断された場合であっても全額自己負担で治療しなければならない。歯並びが悪いと、全身の健康に大きな悪影響を与えることをはじめ、職業選択にも影響が出ることが懸念される。
 一般的に永久歯からの歯の矯正治療には、精密検査で5万円程度、矯正費用は30万円~70万円、毎回の診察には5千円~1万円と、総額で65万円~95万円かかるとされている。このような中、保険適用がされないままでは、経済的理由により子どもの歯の治療ができないという家庭が生じることが指摘されている。
 日本学校歯科医会によると「歯並びが悪いと全身に影響を及ぼすため、健診項目から『歯列・咬合』を外すことはできない」としている。学校健診で要治療となり受診した際に保険が適用されない項目は『歯列・咬合』だけであると、指摘されている。
 東京都歯科保険医協会の調査では、小中学校歯科健診で「要治療」とされた子どもの受診率は47.41%という調査結果が出ている。
 学校健診の結果、「要治療」と診断され、治療の受診結果を学校に提出することが求められているにも関わらず、保険が適用されないということは制度として不整合があると考える。
 よって、美容整形に該当しない子どもの歯の矯正治療に保険適用をすることを求める。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

●●県議会
       
厚生労働省   成育基本法(略称:平成30年12月14日公布)

成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律(平成三十年法律第百四号)

成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律施行令(令和元年政令第百七十号)







成育医療等協議会










健やか親子21(第2次)











成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針(令和3年2月)

Ⅰ 成育医療等の提供に関する施策の推進に関する基本的方向
 1 成育医療等の現状と課題
  (少子化の進行及び人口減少)
  (出産年齢の上昇と平均理想子ども数、平均予定子ども数の低下).
  (女性の健康に関する課題)
  (妊産婦の特性と診療における配慮)
  (妊産婦のメンタルヘルス)
  (低出生体重児の割合の増加)
  (子どものこころの問題
     子どもの発達特性,バイオサイコソーシャルの観点(身体的・精神的・社会的な観点)
  (学童期・思春期における全般の問題
この時期に科学的根拠に基づいた健康に関する正しい知識を身に付けること、自身の心身の健康に関心を持つことは、生涯の健康づくりのための行動変容に向けた大事な一歩となる。こうした観点から、性に関すること、肥満や痩せなど自身の体に関すること
運動や食生活などの生活習慣に関すること、がんに関することなど健康教育の充実
  (10 代における問題
  (食生活等生活習慣に関する課題)
  (妊産婦及び乳幼児における口腔
妊産婦については、ホルモンバランスの変化、嗜好の変化等によって、う蝕や歯周病が進行しやすいため、口腔清掃がより重要となる時期である。また、乳幼児についても、う蝕の予防のみならず、歯周病の初期である歯肉炎予防を行うとともに、しっかりと噛んで食べることができるよう、歯並びや噛み合わせ、口腔機能の観点からの対策等を行うことも重要である。保護者が乳幼児の歯と口の健康を管理することができるようになるためにも、家庭や保育所、幼稚園等において、歯磨きやよく噛むことの重要性についての教育が重要である。
 ☛ 歯,歯列の大きさ・位置異常という疾病による口腔機能の低下に対して歯科矯正の保険適用がない.
     基本的な方針に合致していないため,制度の是正が必要?
     成長過程にある子どもの口腔の成育医療を切れ目なく提供する(国民の健康格差).
     (子どもの歯科矯正の保険適用による経済的負担からの健康格差の解消).


  (児童虐待)
  (父親の孤立)
  (子育て世代の親を孤立させない地域づくり)
  (自然災害時や感染症発生時等における課題)
 2 成育医療等の提供に関する施策の推進に向けた基本的な考え方.
 3 関係者の責務及び役割.
Ⅱ 成育医療等の提供に関する施策に関する基本的な事項.
 1 成育過程にある者及び妊産婦に対する医療.
  (1)周産期医療等の体制 .
  (2)小児医療等の体制.
  (3)その他成育過程にある者に対する専門的医療等.
 2 成育過程にある者等に対する保健 .
  (1)総論
  (2)妊産婦等への保健施策.
  (3)乳幼児期における保健施策
  (4)学童期及び思春期における保健施策.
       しっかりと噛んで食べることができるよう、健全な口腔機能の保持・増進を図る。
   ☛ 上記に同じ 

  (5)生涯にわたる保健施策.
  (6)子育てや子どもを育てる家庭への支援.
 3 教育及び普及啓発
  (1)学校教育及び生涯学習.
  (2)普及啓発
 4 記録の収集等に関する体制等
  (1)予防接種、乳幼児健康診査、学校における健康診断に関する記録の収集、管理・活用等に関する体制、データベースその他の必要な施策
  (2)成育過程にある者が死亡した場合におけるその死亡原因に関する情報の収集、管理・活用等に関する体制、データベースその他の必要な施策
  (3)ICTの活用による成育医療等の施策の推進
 5 調査研究
 6 災害時等における支援体制の整備
 7 成育医療等の提供に関する推進体制等


これからの小児歯科医療のあり方について(日本小児歯科学会)


医政局
歯科保健課
健康日本21(歯の健康)

国民の健康の増進に関する基本的な方向として
①健康寿命の延伸と健康格差の縮小
②生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底
③社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上
④健康を支え、守るための社会環境の整備
⑤栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣の改善及び社会環境の改善
の5つを掲げ、この5つの方向に沿った 53 項目の具体的な目標を設定

歯・口腔の健康についての5項目は現在歯科保健課で議論しているところらしい.



歯科疾患実態調査
この調査は、わが国の歯科保健状況を把握し、歯科口腔保健の推進に関する基本的事項及び健康日本21(第二次)において設定した目標の評価等、今後の歯科保健医療対策を推進するための基礎資料を得ることを目的とする.











   ☛ 「健康格差の縮小」は,健康日本21の基本的方向の最優先課題であるが,
      歯列矯正を経済的理由から享受できない子供が多い.
      ⇒ 自治体意見書,請願が多く出ている現状,成育基本法の理念との整合性について








 歯科疾患実態調査
主な調査事項
 1)性別
 2)生年月日
 3)歯や口の状態
 4)歯をみがく頻度
 5)歯や口の清掃状況
 6)フッ化物応用の経験の有無
 7)顎関節の異常
 8)歯の状況
 9)補綴の状況
 10)歯肉の状況
 11)歯列・咬合の状況


果の概要:学童期の被調査者数が少ない(15-19才: 51名,総数でも3,820名).結果については信頼性,バイアスに注意を要する.



健康局
健康課栄養指導室

健康日本21<平成12~24年度>
 健康日本21(歯の健康)PDF

健康日本21(第二次)


健康増進法
第三章 国民健康・栄養調査等
(国民健康・栄養調査の実施)
第十条 厚生労働大臣は、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料として、国民の身体の状況、栄養摂取量及び生活習慣の状況を明らかにするため、国民健康・栄養調査を行うものとする。


健康増進法施行規則
第三章 国民健康・栄養調査等
(国民健康・栄養調査の実施)
第十条 厚生労働大臣は、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料として、国民の身体の状況、栄養摂取量及び生活習慣の状況を明らかにするため、国民健康・栄養調査を行うものとする。
(国民健康・栄養調査の調査事項)
第一条 健康増進法(平成十四年法律第百三号。以下「法」という。)第十条第一項に規定する国民健康・栄養調査は、身体状況、栄養摂取状況及び生活習慣の調査とする。
4 第一項に規定する生活習慣の調査は、調査従事者が、被調査者ごとに、厚生労働大臣の定める調査票を配布し、次に掲げる事項が記入された調査票の提出を受けることによって行う。
六 歯の健康保持習慣の状況














令和元年 国民健康・栄養調査報告2019(令和2年12月)
第98表 歯の本数の分布(p.222)
-年齢階級別,人数,割合-総数・男性・女性,20歳以上
第99表 咀嚼の状況(p.223)
-年齢階級別,人数,割合-総数・男性・女性,20歳以上
第100表 食べ方や食事中の様子(p.224)
-年齢階級別,人数,割合-総数・男性・女性,20歳以上

 ☛ 


保険局
医療課
医療法
健康保険法
保険医療機関及び保険医療養担当規則(療担規則)
(診療の具体的方針)
第二十条 医師である保険医の診療の具体的方針は、前十二条の規定によるほか、次に掲げるところによるものとする。

九 歯科矯正
歯科矯正は、療養の給付の対象として行つてはならない。ただし、別に厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。








歯科矯正
は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において行う別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常、前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするもの)又は別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において行う顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る。)の手術の前後における療養に限り保険診療の対象とする。

<別に厚生労働大臣が定める場合>
  別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常
  前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするもの)平成30年(2018)改訂により追加, 令和4年(2022)改訂により「小臼歯」を追加.
  顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る。)平成2年(1990)改訂により追加,平成8年(1996)より顎口腔機能診断施設基準が追加.

令和4年度診療報酬改定の概要【歯科】,p.77
 歯科矯正治療は不正咬合(歯並びが悪い)患者に対する治療であるが、咀嚼機能の改善と同時に、審美的(美容的)要素も大きいため、原則的に保険給付外となっている
 ただし、疾患に起因する咬合異常が認められる場合3歯以上の永久歯萌出不全又は顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)に限り、保険給付の対象としている。
  生活保護法
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。



 
  歯科口腔保健の推進に関する法律(通称:歯科口腔保健法)
(目的)
第一条 この法律は、口腔の健康が国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしているとともに、国民の日常生活における歯科疾患の予防に向けた取組が口腔の健康の保持に極めて有効であることに鑑み、歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持(以下「歯科口腔保健」という。)の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、歯科口腔保健の推進に関する施策の基本となる事項を定めること等により、歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的に推進し、もって国民保健の向上に寄与することを目的とする。



 

こども庁 こども政策の基本理念
全てのこどもの健やかな成長、
Well-beingの向上

常にこどもの最善の利益を第一に考え、こどもに関する取組・政策をわが国社会の真ん中に据えて(「こどもまんなか社会」)、こどもの視点で、こどもを取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、こどもの権利を保障し、こどもを誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押し。

〇そのための新たな司令塔として、こども家庭庁を創設。





u 妊娠前から、妊娠・出産、新生児期、乳幼児期、学童期、思春期、青年期の一連の成長過程において、良質かつ適切な保健、医療、療育、福祉、教育を提供。

u 安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、様々な学びや体験ができ、幸せな状態(Well-being)で成長できるよう、家庭、学校、職域、地域等が一体的に取り組む。

 教育、福祉、保健、医療、雇用などに関係する機関や団体が密接にネットワークを形成し支援。18歳など特定の年齢で一律に区切ることなく、こどもや若者が円滑に社会生活を送ることができるようになるまで伴走。

 

 

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以下は,各国の歯科医療における公的保険政策に関するもの.

 

日本における歯科矯正の議論:

日本:

国会会議録検索システム :昭和22年(1947)7月7日の第1回 衆議院 厚生委員会 第2号~

第75回国会 衆議院 社会労働委員会 第24号 昭和50年6月26日

歯科医療に関する諸問題について

医の倫理の荒廃

差額徴収 診療拒否 領収書

マル秘文書

脱保険の問題  など

 

 

子どもの歯列矯正のについて の議論

 ☛ 厚生労働省,文部科学省,財務省(歯列を矯正するための費用

第208回国会 参議院 厚生労働委員会 第7号 令和4年4月7日 会議録

 ☛ 動画 子どもの歯列矯正は将来の疾病予防のために資する

第208回国会 参議院 消費者問題に関する特別委員会 第4号 令和4年3月15日 会議録 

 ☛ 動画 子どもの歯科矯正治療の保険適用について

第204回国会 子どもの歯科矯正への保険適応の拡充に関する請願(厚生労働委員会 令和3年6月16日採択)

  【請願要旨と処理経過(所管省庁における処理要領)

  請願要旨
 子どもの歯や口腔の健康は、発育期における顎・顔面の骨格形成や咀嚼、発声(構音)、表情の発出等、良好な状態に維持・増進される必要がある。しかし、学校歯科健診という法定健診で疾患として指摘された咬合異常(不正咬合)は、健診結果の指示に従い受診しても保険適用外の治療となり放置されることも多い。学校健診には歯科だけでなくほかの健診もあるが、歯科のように保険適用外となる治療などない。さらに、保険適用外となっている歯科矯正については、初診料や相談料はもちろんのこと必要となる検査についても保険が適用されないため、受診すらできない子どもたちがいる。学校保健安全法による健診の場で指摘されたにもかかわらず対応できないというのは法の趣旨に反するものである。 ついては、子どもの歯科矯正に対する保険適用基準を拡充及び検討・実施されたい。
処理経過(所管省庁における処理要領)
【主な所管省庁:厚生労働省】
 我が国の医療保険制度においては、基本的に、疾病、負傷等の発生を保険事故として保険給付が行われていることから、歯科矯正については、唇顎口蓋裂等の先天性疾患に起因する咬(こう)合異常や顎変形症による歯列不正など、疾患と咬合異常や歯列不正との関係が明らかな場合に保険給付の対象としているところであり、歯科医師がこうした疾患を疑って診察、検査等の必要な診療を行った場合も保険給付の対象としている。 保険給付の対象となる歯科矯正の範囲については、これまでも、安全性、有効性等の観点から、中央社会保険医療協議会(以下「中医協」という。)において議論の上、拡充してきているところであり、引き続き、関係学会の見解等も参考にしながら、中医協において議論を行ってまいりたい。 また、学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十六号)第十三条第一項の規定により行われる児童生徒等の健康診断(以下単に「健康診断」という。)における咬合異常や歯列不正の検出は、児童生徒等に対し歯科矯正の勧奨を行うことを第一義的な目的とするものではなく、学習面を含む学校生活への配慮やう蝕(しよく)予防など、児童生徒等の将来を見据えた生活指導を行うことを重視すべきものであると考えている。 その上で、健康診断において咬合異常や歯列不正を指摘された児童生徒等に対して、学校と地域の歯科医療機関との間で連携しながら、養護教諭や学校歯科医による健康相談等の充実が図られるよう周知する。 引き続き、関係省庁において連携し、必要な取組を行ってまいりたい。

請願情報

経過

第204回国会 衆議院 文部科学委員会 第16号 令和3年5月26日 会議録

 ☛ 動画 児童生徒の歯科矯正に対する保険適用を求める声についての政府の対応について

第204回国会 参議院 文教科学委員会 第13号 令和3年5月20日 会議録

 ☛ 動画

 

第200回国会 子どもの歯科矯正に保険適応の拡充を求めることに関する請願(厚生労働委員会 令和元年12月)

  【請願要旨

 

 ☛ 疾病,負傷/病気の概念 ↔ 健康の増進とは

 ☛ 日本と欧米諸国における健康概念・医療目的の違いを理解する.

健康の定義は1946年に制定された.その後,英国では1947年に,米国では1948年に,歯列矯正は公的医療制度や資金投入すべき疾患に適用された.Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. 

→ 日本においては,医療保険の給付は疾病・負傷に対するものに限定するという見解がが政府よりなされているが,学会の見解等も参考にしながら議論を行ってゆくとの回答.

→ 欧米では,well-being(WHO)肉体的・

→ UHC と 公衆衛生,グローバルヘルスの視座:

例えば,疾病・負傷でない保険給付として:

禁煙(2006):習慣ではなく依存症と診断し病気と捉えた.

肥満

不妊治療(2022):不妊治療の経済的負担の軽減を図るため.子供を持ちたいという方々の気持ちに寄り添い,少子化に対処し、誰もが安心できる社会保障制度を構築するという理由で保険適用が実現されたことが政府方針に記載されている.43才未満.人工授精・体外受精・顕微授精・胚培養・胚凍結・胚移植.

健康は人権であること.すべての国民に負担可能な費用で医療サービスを提供すること,また過大な医療費負担によって経済的破綻に陥ることがないように国民を保護することは国家の義務であること Global Health 101, 邦訳 グローバル ヘルス 世界の健康と対処戦略の最新動向

歯の位置異常,不正咬合による口腔衛生の健康格差.疾病,負傷と保険給付の概念 → 健康(肉体的,精神的,社会的)

 

政府見解 出典:第208回国会 参議院 厚生労働委員会 第7号 令和4年4月7日 会議
    第208回国会 参議院 消費者問題に関する特別委員会 第4号 令和4年3月15日 会議
    京都新聞(2021年10月14日)
    請願要旨と処理経過(所管省庁における処理要領)
    中央社会保険医療協議会 総会 第485回議事録(2021年8月4日)
 ☛ 対策
歯科矯正が保険適用にならない理由 ①
公的医療保険は、疾病や負傷に伴う療養に給付するもの.歯科矯正は見た目などの審美的な要素
含まれるので、原則として適用外にしている

 ☛ 叢生,捻転,正中離開,移転歯,上顎前突,下顎前突,開咬,正中偏位,交叉咬合,過蓋咬合などは疾病であること.WHO「国際疾病分類 歯科学及び口腔科学」 にて コード分類(K07.0 ~ K07.6, p.69-71 )され,口腔(歯と顎)の 疾病 Disease として国際的に認知されている(厚生労働省翻訳).我国の歯科矯正の学問体系,審美的要素があるという理由から公的医療保険から除外されている社会文化的背景,経過を知る.

 ☛ 病気とは何か.医療とは何か.国民の幸せ.Well-being.病気と文化

 ☛ 不妊治療,禁煙指導など:病気の概念の変化と捉え方,国民の幸福とは何かの原点へ
   well-being
健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態 well-being にあること)
   ↪ 国民の経済的負担,国民の幸福追求権,口腔の健康格差の是正

歯科矯正が保険適用にならない理由 ②
医療費の膨張で保険財政が厳しさを増していることも、保険適用外にしている

 ☛ 健康は人権であること.すべての国民に負担可能な費用で公平な医療サービスを提供すること,過大な医療費負担によって経済的破綻に陥ることがないように国民を保護すること,健康格差の是正は国家の義務であること
 ☛ 国民医療費の概況(令和元年2019年度)
    ↪ 歯科診療医療費は総医療費の 6.8%,保険財政上の影響は下記.
 ☛ 歯列不正の改善による歯周病予防,健康増進など?

 ☛ 適用範囲,制度設計からの試算.国民の口腔の健康格差の是正

歯科矯正が保険適用にならない理由 ③
歯科矯正に保険を適用した場合の費用を試算したデータはない

 ☛ 例;平野吉子:歯並びの歯科矯正治療への医療保険適用の検討―健全な永久歯列をめざした予防的医療のミクロ経済分析 大阪府立大學經濟研究. 2009, 55(1), p.101-119
   諸外国から


歯科矯正が保険適用にならない理由 ④
今後どうしていくかは、関係学会の意見も踏まえて検討していく余地がある

  ☛ どうしていくか・・・・・> 医療倫理上,健康格差の是正,幸福追求権
     関係学会からの意見
     歯科界の自由診療に対する歴史
     ↪ プロフェッショナリズム.医療と社会との契約の基礎.医師の利益より患者の利益を優先すること.


歯科矯正が保険適用にならない理由 ⑤
保険給付の対象となる歯科矯正の範囲については、これまでも、安全性、有効性等の観点から、中央社会保険医療協議会(以下「中医協」という。)において議論の上、拡充してきているところであり、
引き続き、関係学会の見解等も参考にしながら、中医協において議論を行ってまいりたい

 
 ☛ 第485回中央社会保険医療協議会にて,子どもの歯科矯正の保険適用についての要望発言が間宮委員からあるが議事録では全く議論されず終了.上記④の関係学会の意見待ちかと思われる.

  ☛ 我国の歯科矯正医療は,ごく一部の疾患を除くと公的にも民間にも医療保障制度がなく,国民は過大な経済的負担を強いられており,OECD諸国でも特異な国である.口腔の健康格差(歯列矯正),公的医療制度の是正


 

☛ 今後の課題:工程表,実態調査,ガイドライン,施設基準,制度設計(診療の流れと適用範囲:欧州諸国)

 

 

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OECD加盟国の保健医療費の状況(2018年)

OECD Health Statics 2021

 

英国:  イギリスの歴史

イギリス政府の運営する公的保険医療制度(NHS, National Health Service)は,税収などによる一般財源から賄われているため,医療機関を原則無料で利用可能(処方薬,歯科,眼科検診を除く).イギリス国民以外,以下の条件を満たす場合は利用できる.

・ 6か月以上イギリスに合法的に滞在することが可能なビザを取得している学生

・ ワーキングビザ(YMS)など働く上で合法的に滞在することが可能な方

・ 永住目的(パートナーシップビザ、結婚ビザなど)で移住する方。

歯科治療については,4つの価格帯に分類され,歯列矯正はBand 3: £282.80(約43,000円)を支払うことで治療を受けることができる.

NHS: Braces and orthodontics

歯列矯正は18歳未満は無料だが,治療の必要性はIOTNによってGrade 1~5に分類評価され,Grade3以上は健康上の理由としてNHS治療が適応される.

 

NHS England Guides for commissioning dental specialties- Orthodontics

Equality and Health Inequalities Statement: 歯列矯正は,健康上の平等を達成するためのイギリス医療保険制度の核心として,また健康のみならず患者の心理社会的側面におけるwell-beingを改善する医療である.

 

Grade 1 is almost perfection

 

Grade 2 is for minor irregularities such as:

● slightly protruding upper front teeth

● slightly irregular teeth

● minor reversals of the normal relationship of upper and lower teeth which do not interfere with normal function.

 

Grade 3 is for greater irregularities which normally do not need treatment for health reasons.

● upper front teeth that protrude less than 4 mm more than normal

● reversals of the normal relationship of upper teeth which only interfere with normal function to a minor degree; by less that 2 mm.

● irregularity of teeth which are less than 4 mm out of line

● open bites of less that 4 mm

● deep bites with no functional problems

 

Grade 4 is for more severe degrees of irregularity and these do require treatment for health reasons.

● upper front teeth that protrude more than 6 mm

● reversals of the normal relationship of upper teeth which interfere with normal function greater than 2 mm

● lower front teeth that protrude in front of the upper more than 3.5 mm

● irregularity of teeth which are more than 4 mm out of line

● less than the normal number of teeth (missing teeth) where gaps need to be closed

● open bites of more than 4 mm

● deep bites with functional problems

● more than the normal number of teeth (supernumerary teeth)

 

Grade 5 is for severe dental health problems

● when teeth cannot come into the mouth normally because of obstruction by crowding, additional teeth or any other cause.

● a large number of missing teeth.

● upper front teeth that protrude more than 9 mm

● lower front teeth that protrude in front of the upper more than 3.5 mm and where there are functional difficulties too

● cranio-facial anomalies such as cleft lip and palate.

 

待機リストが長いためこれを避けたい場合や,無料のNHS治療を受ける資格がない場合は,NHS以外のプライベートクリニックでの治療を選択できる.

 

NHSの7つの憲章

・ 万人への普遍的なサービス提供

・ 利用者の支払い能力ではなく、臨床的必要性に基づいた医療

・ 技術・専門性において高いスタンダードをめざす

・ すべての患者の心に届くサービスをめざす

・ 関連する患者・地方コミュニティ・市民全員らと、組織を超えて連携する

・ 納税者から得た原資を、最も高品質・効率的・公平・持続可能に活用する

・ NHSのサービスは市民・コミュニティ・患者への説明責任を果たせるものであること

 

市民の義務として,以下が規範が求められる.

・ 市民は自分自身および家族の健康に関心を持ち、責任を持つべきである

・ 市民はNHS制度へのアクセス拠点となるGP医に登録すべきである

・ NHSスタッフおよび他の患者へ敬意を払うべきである(暴力行為は起訴・診療拒否される)

・ 自己の状況や健康状態は正確に申告すべきである

・ アポイントメントを守り、キャンセルは常識的に行うべきである。そうでなければ最長の待ち時間にもなりえる

・ 患者は同意したならば治療手段に従い、それが難しい場合はそれをスタッフに告げるべきである

・ ワクチン接種などの公衆衛生プログラムに参加すべきである

・ 臓器提供に関する本人意思を表示するべきである

・ 受けた治療や病状変化について、副作用などの良い面も悪い面もフィードバックを行うべきである(匿名のフィードバック手法が提供される)

参考: 澤憲明氏の記事「英国のお医者さん」

 

1948 Orthodontic treatment included in the provisions of the National Health Service Act

1986 Occlusal Index Committee set up in the aftermath of the 'Committee of Enquiry into Unnecessary Dental Treatment' recommends the introduction of orthodontic indices for NHS treatment

1990 Department of Health agrees to establish a working party to report on all aspects of orthodontic treatment

1992 Department of Health review of UK Orthodontics (SDAC Report) recommends training of orthodontic auxiliaries ERASMUS proposals published by the European Orthodontic Society

1993 All orthodontic societies, associations and groups agreed to unification after balloting their members at their AGMs

1994 Formation of Orthodontic Nurses Group (ONG) The 4 UK Orthodontic Societies merge to form the British Orthodontic Society (BOS)

1995 Chief Dental Officer recommends introduction of specialist registration (Mouatt Report)

1996 Joint Accord of Royal Colleges, General Dental Council and UK education bodies to establish specialist dental lists

1998 Orthodontic specialist list established

2006 Index of Orthodontic Treatment Need applied to all NHS funded treatment

 

 

フランス:  フランスの歴史

フランスの医療では,社会保険制度によるユニバーサルヘルスケアが達成されており,その所管はフランス厚生省である.公立病院,非営利団体による病院(公的医療と提携している),私的営利病院という3種類の病院が存在する.現在の医療制度は1945年に創設の制度をもとにしており、それに様々な変更が加えられて運営され,法的な強制保険制度とされ、市民はすべて保険料を納めなければならない.

2000年の世界保健機関調査において、フランスは世界の医療制度の中でも総合的に最善な医療(close to best overall health care)を提供していると評価されている.

医療費の70%は強制加入である国民健康保険から還付され,自己負担は30%となるが,この30%は任意の保険制度に加入することで100%支払いができる.もちろん国民健康保険(強制)と任意保険への支払いは必要である.16歳までの歯列矯正にも適用されるので,治療が継続されている場合3年間有効となる.一般的な場合の歯列矯正治療では25万円程度が自己負担になるが,この部分も任意保険でカバーされることもある.

 

2018 French dental contracts: On the road to achieving universal dental health coverage?
Health Policy, 124(8): p.781-786, 2020.

 

La protection universelle maladie(PUMa)普遍的医療保障

 

 

歯列矯正:

フランス連帯・保健省 Le Ministère des Solidarités et de la Santé 2017年6月21日に改称.

 

Impact of social and economic characteristics on orthodontic treatment among children and teenagers in France.
Germa A, Kaminski M, Nabet C.
Community Dent Oral Epidemiol. 2010 Apr;38(2):171-9.
DOI: 10.1111/j.1600-0528.2009.00515.x

フランスでは歯科矯正治療において社会的不平等があり、主に社会的地位、年収、補足保険、居住地域と関連している。

 

 

ドイツ:

医療保険制度として,Gezetzelich Krankenkasse(法定健康保険)と Private Krankenkasse(民間健康保険)があり,前者に国民の9割が加入しているが,所得の高い経営者などは,カバーされる疾患や適応範囲も広い後者へ加入するが,どちらか一方にしか選択できず,いったん民間健康保険に加入すると国民健康保険には戻れない.

歯列矯正では,以下の不正咬合の程度や医学的必要性から,KIG(歯科矯正適応グループ)としてレベル1~5に分けられ,歯列不正のレベル3-5の場合は18才までは法定健康保険で賄われる.顎変形症など口腔外科手術が必要な場合は18才以上でも法定健康保険が適用される.

https://de.wikipedia.org/wiki/Kieferorthop%C3%A4die

 

・ Entwicklungsstörungen im Kopfbereich

・ Zahnunterzahl (Hypodontie)

・ Zahndurchbruchsstörung

・ Distale Bisslage (meist durch Rücklage des Unterkiefers)

・ Mesiale Bisslage (meist durch vorstehenden Unterkiefer, Progenie)

・ Offener Biss

・ Tiefer Biss

・ Bukkalokklusion oder Lingualokklusion (Kreuzbiss im Seitenzahnbereich)

・ Abweichung der Kieferbreiten (z. B. Kopfbiss)

・ Kontaktpunktabweichungen (z. B. Engstand)

・ Platzmangelsituation

 

・ Grad 1 umfasst die leichten Zahnfehlstellungen,

deren Behandlung aus ästhetischen Gründen wünschenswert sein kann, jedoch nicht zu Lasten der Krankenkassen.

・ Grad 2 umfasst Zahnfehlstellungen geringer Ausprägung,

die zwar aus medizinischen Gründen eine Korrektur erforderlich machen, deren Kosten jedoch nicht von den Krankenkassen übernommen werden.

・ Grad 3 umfasst ausgeprägte Zahnfehlstellungen,

die aus medizinischen Gründen eine Behandlung erforderlich machen.

・ Grad 4 umfasst stark ausgeprägte Zahnfehlstellungen,

die aus medizinischen Gründen dringend eine Behandlung erforderlich machen.

・ Grad 5 umfasst extrem stark ausgeprägte Zahnfehlstellungen,

die aus medizinischen Gründen unbedingt eine Behandlung erforderlich machen.

 

歯科と医科

orthodontieという用語より,Dento-Maxilläre Orthopädie と言われる.

 

ドイツの歯科医療システム(ISBN 978-4-89605-248-0) 2009年1月発行.

原本は,The System of Dental Care in Germany (ISBN 3-934280-63-3) 2003年発行.

 

 

スウェーデン:

スウェーデン医療ユニバーサルヘルスケア制度が存在し,ランスティングごとの地方分権制となっている.ノルディックモデルの高福祉高負担型であり,保健支出はGDPの9%.医療保険は社会保険制度ではなく,主に税金を原資として中央政府および県レベルで課税.多くは公営だがプライベート医療機関も存在する.

大学までの教育は無料,18歳まで医療費も無料.消費税25%,収入の30%の所得税と税金も高額だが,国政選挙の高い投票率(約80%)で国民の支持を得ている.国会議員の平均年齢は45歳程(うち女性46.1%),20代の議員も10人以上いる.

OECD加盟国のうち,40才以下の国会議員比率の高さは,①ノルウェー 36.1%,②フィンランド 36.0%,③スウェーデン 34.4%,④イタリア 32.8% の順にであり,日本は㉘日本 12.7%,㉜アメリカ 11.5% となっている.

歯科医療は,19歳未満であればランスティング(地方自治体)は歯科医療を無料で提供する責務がある.

ランスティングには民間病院の価格・提供サービスの規制権限がある。患者はランスティングと契約を結んでいない民間病院で医療を受けた場合には、払い戻しを受けることはできない。

 

 

フィンランド:

 

 

ノルウェー:

 

 

イタリア:

 

 

カナダ:

 

 

 

アメリカ:  米国における医療保険制度の概要(2021年6月)ジェトロ より抜粋.

公的医療保険制度は,

 メディケア(Medicare):

   65歳以上の高齢者

   65歳未満の身体障害を持つ者

   65 歳未満の透析や移植を必要とする重度の腎臓障害を持つ者

 メディケイド(Medicaid):

 特定の子供が加入できる児童医療保険プログラム(CHIP:Children's Health Insurance Program)

 退役軍人が加入できる保険制度(VHA:Veterans Health Administration)などが存在する。

これらの制度の対象者以外は、勤務先(雇用主)が加入している民間医療保険へ加入.67.3%(2018年)の人は民間医療保険に加入している.

公的医療保険は、基本的に医療サービスを受けるたびに支払うコーペイ(Co-Payment)6や、保険が適用となるまでに支払わなくてはならないディダクティブル(Deductible)などの保険料の個人負担がなく、事務手数料が民間医療保険と比較して安いというメリットがあるが,医療提供者の選択肢が少ないというデメリットも存在する.メディケアは連邦政府が,メディケイドは州政府と連邦政府によって運営されている.

 

民間医療保険(Private Health Care Coverage)

 加入条件や内容はプランによって異なる。雇用主が提供する保険の場合、中小企業よりも大企業が提供する医療保険の方が良い内容である場合が多い。これには、優秀な人材を獲得・定着させるために福利厚生制度として医療保険を充実させている背景がある。

 また、2015 年に定められた医療保険制度改革法(ACA:Patient Protection and Affordable Care Act、通称「オバマケア」)によって、従業員が50 人以上在籍する企業には医療保険の提供が義務付けられたため、保険加入者のほとんどが企業を通じて保険プランに加入している。

 企業が提供する保険に加入する場合は、企業側が保険料の一定割合を負担する場合がほとんどであるため、個人で加入するよりも費用負担が少なくなる。一方で、企業を通じて医療保険に加入する場合は、企業が用意したプランや内容以外は選択できない。企業によって選択肢が全くない場合もあれば、通常プランに加えてさらに充実した内容のプランを用意している場合もある。ただし、内容の充実したプランの場合は保険料が高くなるため、個人負担分も通常プランより増えることとなる.

2020年の年間平均の保険料は,単身プランで7,470ドル,家族プランで21,334ドルとなっており,毎年5%程度上昇している.

 従業員50人以上の企業は,医療保険の提供義務があり(従業員がそのオファーを却下した場合は提供する必要はない),従業員数が50人未満の企業は医療保険の提供義務はない.保険未加入者に対する罰金は,2019 年から廃止となったが,州によっては保険加入義務や保険未加入の場合の罰金を独自に法制化している.2021 年1 月時点で、個人に保険加入義務を課しているのは、カリフォルニア、マサチューセッツ、バーモント、ニュージャージー、ロードアイランドの5 州と、コロンビア特別区(ワシントンDC)となっている.

 

 

オーストラリア:

民間保険と公的保障によって助成される.人口10万人あたり58.7名の歯科医師.

Oral health and dental care in Australia

Guide to the Child Dental Benefits Schedule

2~17才の子どもは,基本的な歯科医療サービスに対して最大1,013ドルの公的給付を得られる.

歯列矯正は,グループ1~3に分類された費用が設定されている.審美的治療は対象外.低所得世帯では補助が受けられる.

 Group 1 口唇裂口蓋裂

 Group 2 外科的矯正治療

 Group 3 補綴処置を伴うもの

 

 

 

ロシア:

 

 

 

― 主要国の医療保障制度概要2017(厚生労働省資料を追加改変)

  日本 ドイツ フランス スウェーデン イギリス アメリカ
制度類型 社会保険方式
国民皆保険
社会保険方式
国民皆保険
社会保険方式
国民皆保険
税方式による公営の
保健・医療サービス
税方式による公営の
保健・医療サービス
NHS, National Health Service
メディケア
メディケイド
民間医療保険
自己負担 30%
外来:なし
入院:1日10€
外来:30%
入院:20%
薬剤:35%
無料
ランスティング
(地方自治体)
原則無料 民間医療保険
加入率67.3%
2018年
歯列矯正への適応 民間医療保険なし
公的医療保険▲
一部の疾病のみ

18才以下
(1)

16才未満
(2)

19才未満
(3)

18才未満
(4)
(民間医療保険)
(5)
疾病及び傷害の国際分類 1900年-  「疾病及び関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(ICD)」とは、「国際疾病分類」とも呼称され、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や傷病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため設けられた分類である。この分類は、1900年(明治33年)に国際統計協会により制定されて以来、医学の進歩や社会の変化に伴いほぼ10年ごとに修正が行われてきている。第2次大戦後は世界保健機関(WHO)の所管となり世界保健機関憲章に基づいたものとなった。現在国際的には、1990年(平成2年)の第43回世界保健総会で採択されたICD-10が使用されている。厚生労働省大臣官房統計情報部より引用
健康の定義 1946年 Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. 
公的医療保険適応の歴史 1982:唇顎口蓋裂
1990:顎変形症
詳細は下表.
1948: Orthodontic treatment included in the provisions of the National Health Service Act
1986: Occlusal Index Committee set up in the aftermath of the 'Committee of Enquiry into Unnecessary Dental Treatment' recommends the introduction of orthodontic indices for NHS treatment
1947:公的資金を投入すべき不正咬合として,口唇口蓋裂,重篤な上下顎の疾患や外傷に起因する不正咬合,醜状,発音に関係し,正常発育への影響や教育就労に障害をもたらす場合の歯列矯正の基準を示した
適用基準 一部の疾病
社会通念上必要 〇
容姿の美化X 概念▲
(Social handicapとQoL)
学校健診:〇
制度/法的な改善 ☛ 健康格差
KIG
歯科矯正適応グループ
    IOTN  
  根底にあるものは,「国民の幸せとは何か」という社会通念や倫理から,国民が享受できる医療制度や法が構築されてゆく.国民の幸福という国家における医療のあり方を考えるに,健康格差の大きな米国においても日本の終戦直後の時期に,公的資金の投入すべき不正咬合の審査基準は定められており,自由診療を取り入れてきた我国の歯科医療は,諸外国における倫理的実践的次元の医療概念,Social handicap,健康格差の是正や社会保障について学ぶものはないか.

出典:

米国における医療保険制度の概要.日本貿易振興機構 ニューヨーク事務所 2021年6月

 

 

 

― 歯列矯正の医療制度化は?

 

 公益社団法人 日本矯正歯科学会では,

 不正咬合をそのままにしておくと生じる問題をWebで公開解説している.

   ・食べ物がよく噛めない

   ・歯槽膿漏になりやすい(注:歯周病のこと)

   ・口臭の原因になる

   ・アゴの関節に負担をかける

 

 Q:健康を害するにもかかわらず,公平な医療分配,患者間の不平等が解消されない理由は?

⇒ ① 欧州諸国の基準

   ② 文化・社会背景

      ③ 医療倫理

      ④ 歯科の歴史から考察する

⇒ 医療制度(専門医制度の未確立),視点,国民意識や文化

 

   鞍馬天狗 KICK-ASS

 

 

 

― 公衆衛生と生活習慣病

 健康の社会的決定要因

生活習慣病(肥満や糖尿病)はだれの責任か?

  社会的に決定された様々な要因

  健康は自分の選択だけでなく,社会制度によっても左右される

    → 正義の問題(健康政策:)

 

 

 社会格差と健康

 健康格差は正義

 

 

  例えば,様々な全身疾患の誘因となる肥満では:

  見た目のダイエットなど美容的目的では保険適応されないが,以下の条件を満たす場合は適応される.

1. 高度の肥満の人(BMIが35以上/BMI=体重(kg)÷身長(m)2)

2. 健康診断などで1の条件に該当し、肥満と診断され、なおかつ高血圧、糖尿病、脂質異常症を指摘された人

3. 肥満に伴ういびきや、睡眠時無呼吸症候群と指摘された人

4. 肥満に伴う膝痛、腰痛のある人

5. 肥満によるその他の健康障害を伴う人

 

小児肥満症診療ガイドライン2017

肥満症診療ガイドライン2016の目指すもの

高齢者肥満症診療ガイドライン2018