矯正歯科_医療倫理_研究会

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— 目 次

 

 

 

― はじめに

 

 

倫理学は行為の目的と手段に関する説明を与える体系的な努力であるとすれば,医療倫理学は医療行為そのものと同じくらい古くから存在している.他のすべての行為と同様に,医療行為もまた 「専門的-技術的な次元」 と 「道徳的-実践的次元」 という2つの規定できる次元がある.G.ペルトナー

 

Professionalism is the basis of medicine's contract with society. It demands placing the interests of patients above those of the physicine, setting and maintaining standards of competence and integrity, and providing expert advice to society on matters of health. The Physician Charter  プロフェッショナリズム.これは医療と社会との契約の基礎である.医師の利益より患者の利益を優先すること,「知」と「心」を高め保つこと,そして健康に関する専門的助言を社会に与えることが求められる.医師憲章

 

God, give us grace to accept with serenity the things that cannot be changed, Courage to change the things which should be changed, and the Wisdom to distinguish the one from the other.

 

哲学という学問は,新しいものの見方によって,慣れ親しんでいたことを見知らぬものに変える.

 

目の前にある問題はもちろん,人生の問いや,社会の問題を見つけ,挑み続けるために学ぶ.

学びで少しづつ世界は変えて行ける. いつでも,どこでも,誰でも,学ぶことができる世の中へ 旺文社

 

If I have seen further, it is by standing on the shoulders of giants.

 

歯学は,医の本質と同じく,歯科医学・歯科医術・歯科医道の3者が重ね備わっていないといけない.この3者が備わって真の歯科医療と言える.歯学とは単なる自然科学(natural science)ではなく,人文科学(humanities, cultiral science)を含み,社会科学(social science)でもある.歯学を自然科学と考えて教育された者は,しばしば不道徳な行為の罠に陥りやすい.歯学は歯科医師のためにあるのではなく,病人のためにあり,病人だけでなく,国民の健康を増進するためのものでもある.病人は社会生活をしており社会人である.したがって社会科学の知識がなければ病人を社会的に健康にすることはできない.石川堯雄

 

従来 矯正齒科學Orthodontics, Orthodontiaと云えば直ちに矯正装置の調整法,或はその應用法の研究であると云う様に考えられてゐたものであるが,これは非常に誤った見解である.......(中略)...... アングルの定義はこの近世矯正齒科學の見地よりすれば矯正齒科學の一分科である矯正施術 Orthodonntic treatmentの目的を説べて居るに過ぎないことがわかる。高橋新次郎

 

不正咬合並びにこれに依りて招来される顎骨の異常,乃至は顔貌の不正(勿論顎骨の異常が原因で不正咬合を生ずることも多いが)等は單に患者の咀嚼,發音等の諸機能を阻害するにのみならず,患者自身の精神上にも頗る重大な影響を及ぼし,これがため自らを卑下し,社會生存上常に大なる損失を招きつゝあることは吾々經驗するところである。高橋新次郎

 

技術を中心とした治療学の進歩は,不正咬合の治療効果を高め,治療に伴う歯根吸収などの障害を避け,術後の安定を一層確実にするための努力の表現であって,このこと自体,非難されるべきではない.しかし,一方では,技術的進歩のみが独走して,そのあとにかずかずの矛盾が残されたという面がないとはいえない.とくに,歯科矯正学の学問体系に関する総論的な考察が遅れ,矯正治療の意義と目的とは,ともすれば不明瞭となり,このため歯科矯正学は,学生諸君からも,そしてときには矯正専門医からも,あたかも美容整形技術の一部であるかのように受け取られる結果を招いている.歯科矯正学は,現在,もう一度そのあり方について考える時期に来ているといえる.そして,学問の進歩とともに,また時代の流れと社会の変化とともに,常に考え続けるものでなければならない.歯科矯正学実習書 実習総論 p.1 医歯薬出版 昭和53 1978

 

Traditionally, craniofacial biology has served as the sole scientific basis of orthodontic practice and research. Clearly an overlap of interests does exist between clinical orthodontics and craniofacial biology. However, the specialty is also significantly related to social, economic, and cultural factors. The "new paradigm" recognizes all of these interactions and dictates their integration conceptually and in research aimed at rationalizing orthodontics.  Vig PS

 

口腔の健康格差に対する倫理的要請

 

 

 >>>参考図書

 

 

 

― 倫理学の基礎

・倫 -

・理 -

・倫理 -

ギリシャ語 ethos(習俗) ethike  ethika

英語 ethics 井上哲次郎

    ・道徳と倫理

    ・法と倫理

社会性と個人

外的 内的

強制 自律

    ・哲学と倫理学

西周(にし あまね)

 

学問とは:論理の一貫性,体系性 discipline 

 

・医の倫理

・生命倫理(バイオオエシックス)

・医療倫理   良質かつ適切な医療とは

・看護倫理

・歯科医療倫理

・臨床倫理学

 

 

― 学問の体系性 academic discipline

discipline ディシプリン     Academic discipline

 

歯科矯正学の学問体系:

discipline / disciplinaly:

 

ディシプリンの概念:

Discipline: A branch of learning or body of knowledge such as physics, psychology, or history.

ディシプリンとは,ある一群の問題とその解決法に関する研究成果を整理しとりまとめることにより,問題の発見・提示とその解決法の開発にかかわらなかった人々,すなわち,その学問の創成にかかわらなかった人々,を教育・訓練するのに効率的なものにした体系(市川氏)

  市川惇信氏の論文

市川惇信;ディシプリンを考える.研究 技術 計画 10巻(3/4号): 142-146, 1995.

 六示豊嗣氏のページ

Liberal Arts and Academic Disciplines 教養と学問:高校生を対象に,学問・学際的なことをわかりやすく述べている.

 

Intra- / Cross- / Multi- / Inter- / Trans- disciplinary, --- discipline

 

◎我が国での対応する語

診診連携:個人診療所から個人診療所への紹介連携

病診連携:総合病院・大学病院と診療所間での紹介連携

 ☛ 概念的には Multidisciplinary

 

チーム医療(多職種連携):医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること

 ☛ チーム医療の推進について(厚生労働省 H22/3/19)

 ☛ 多職種連携と倫理

 ☛ 医療従事者の役割分担の下での法的責任に関する研究会報告書①

 ☛ 医療従事者の役割分担の下での法的責任に関する研究会報告書②

 

 

◎ Interprofessional ethics  医療倫理の共有

Interdisciplinary approach のチームでは,知識や技術的卓越性の次元に加え,道徳的-実践的次元での連携・価値観の共有が求められる.

・ 医学 Medical science

・ 医術 Medical art

・ 医道 Medical ethics

- - - ↑ - - ↑ - - ↑ - - -

土台としてのリベラルアーツ  ☛ 後記参照.国家による教育制度の違い

 

歯  歯列  口腔 一口腔一単位  包括的 全顎的など.

そもそも歯科・医科・医療の姿

医療 人間 社会 矯正歯科医療の目的,本質

 

体系 discipline,専門性 professionalism,医療倫理 ethics からの interdisciplinary 概念の理解.

  Comprehensive(包括的,多才な:一人の歯科医が何でもやる)との区別.

 医療制度や歴史・文化背景の違い.

 

歯列矯正の概念を再定義すると,discipline としての 歯科矯正学は, 個々の歯・歯列・顎顔面だけでなく, 社会・心理的,経済的,文化的な discipline とも統合された医療行為としてのプロセスが必要な interdisciplinary な分野ではないか?

明治以降の歯科疾患,不正咬合や美の概念,医療機器や治療法など,われわれは常に変化していく様々な概念の中で生きており,近年だとデジタル化により変貌する専門的-技術的な次元での医療行為から,普遍的な道徳的-実践的次元での学問体系の研究が必要ではないか?

 

後に記載した Vig, P.S. による矯正歯科学における問題点,また歯学概論講義においても,古くから学際的研究の指摘はなされきた.

伝統的に,顎顔面生物学は,矯正歯科臨床と研究の唯一の科学的根拠となってきました.矯正歯科臨床と顎顔面生物学の間には,明らかに重複している関心事があります.しかし,この専門分野は,社会的,経済的,文化的な要因にも大きく関係しています「新しいパラダイム」では,これらの相互関係をすべて認識し,概念的にそれらを統合し,かつ研究面において歯科矯正学を論理的に説明することを目指していますVig PS: Orthodontic controversies: their origins, consequences, and resolution. In Melsen B, ed. Current Controversies in Orthodontics. Chicago: Quintessence, 1991; 269-310. Fig 10-1  Traditionally, craniofacial biology has served as the sole scientific basis of orthodontic practice and research. Clearly an overlap of interests does exist between clinical orthodontics and craniofacial biology. However, the specialty is also significantly related to social, economic, and cultural factors. The "new paradigm" recognizes all of these interactions and dictates their integration conceptually and in research aimed at rationalizing orthodontics.

歯学は単なる自然科学(natural science)ではなく,人文科学(cultiral science)を含み,社会科学(humanities, social science)でもある.歯学は歯科医師のためにあるのではなく,病人のためにあり,病人のためだけでなく,国民の健康を増進するためのものである.病人は社会生活をしており社会人である.したがって社会科学の知識がなければ病人を社会的に健康にすることはできないのである.歯科学生に対し,進学課程においてあらためて人文科学の教育を行う理由がここにある.石川堯雄

☛ リベラル・アーツ

☛ 医学,歯科医学における一元論/二元論と似たような歴史背景として,文系/理系という2分論の考えから日本では Huimanities 人文科学は文系に分類.

  

日本の医療制度について ⇒ 1元論 と 2元論

歯学は毎年3,000名の卒業生を輩出する大きな学問領域であるが、なぜ歯学領域からの学士院賞受賞者や会員が少ないのであろうか

 瀬戸晥一 医歯二元論から「知の統合」を目指す

 歯科医療の特異性 (医歯一・二元論) の歴史と現在

 今田見信が俯瞰していた医歯一元論・二元論―日本齒科學性格研究資料類纂 歯科公報(昭和16年)より 

 

 

― 概念 concept と観念 idea,印象 impression

生得説

経験論

合理論

 

咬合のイデア

ideal arch の イデア

咬合は 「ある」 のか?    形 大きさ 位置

存在 being

本質 essence

実体 substance 

実在 existence

 

→ 歯列矯正(理想咬合)のイデア,現実の多様性

正 ↔ 不正

我国の教科書では:種類に関する分類として

 上顎前突,下顎前突,叢生,.....

 アングルの分類 など

 

医療として障害程度による分類区分

 欧州大陸系の分類では:5段階に分類

→ 3段階以上は,疾病として主要国では公的医療保険が歯科矯正にも適用される(UHC

 

参考(以下の参考文献より)

咬合の定義: 上下顎の解剖学的対向関係,顎関節の構造と下顎の生理学的運動メカニズムに基づいて生じる歯と歯あるいは人工歯,または歯列相互間
の,静的・動的な咬合面あるいは切縁部の位置関係

咬合異常の定義: 顎・顔面・歯・歯周組織などが遺伝的もしくは環境的原因により,その発育・形態・機能に異常をきたし,咬合が正常でなくなった状態.

咬合異常とは,上下顎の歯の静的・動的な位置関係が正常でなくなった異常な状態であり,

 ① 対向関係の異常(反対咬合,切端咬合,交叉咬合,過蓋咬合,開咬)

 ② 咬合位の異常(偏位,高位,低位)

 ③ 咬合接触の異常(早期接触,咬頭干渉,非作業側接触,咬合接触の不均衡,咬合性外傷)

 ④ 下顎運動の異常(咬合終末位の異常,咀嚼運動の異常,外傷性咬合,関節円板の障害)

 ⑤ 咬合を構成する要素の異常(歯・骨・顎関節・神経・筋・口腔粘膜の疾患)

などがあげられている.

☛ 咬合異常の類似語・関連語

咬合障害,咬頭干渉,咬合干渉,早期接触などがあり,これらは,咬合異常のなかで,咬合接触の異常の範疇に入り,

早期接触は,閉口時に,安定した上下顎の咬合接触状態が得られる前に一部の歯だけが咬合接触する状態,

咬頭干渉は,下顎の基本運動や機能運動に際して,運動路を妨げる咬頭の接触またはその現象,

咬合干渉は,早期接触と咬頭干渉を包括した正常な下顎運動を妨げるような咬合接触をいい,

咬合障害は,咬合干渉と同義語として用いられることもある.

 

咬合異常の診療ガイドライン 補綴誌 46巻4号 585-593, 2002

咬合違和感症候群 日補綴会誌 5: 369-386, 2013

咬合違和感の診断と対処法 日補綴会誌 10: 129-133, 2018

 

☛ なぜ日本の歯科矯正治療学は,咬合のドグマにとらわれ続けている[た]のか?

☛ 咬合に関するドグマ

歯科医学のなかでも咬合に関する臨床エビデンスは乏しいと言わざるを得ず,一世紀以上にわたる議論を経ても,まだまだコンセンサスが得られていない問題点が決して少なくない.そのようななかで,特に治療的咬合に焦点をあてて咬合に関して4つの問題点を抽出し,Carlsson 名誉教授とともにそれらに対する答えを探索した.今回取り上げた各問題に対する議論の詳細は,各稿を再度確認いただきたいが,最後にCarlsson 名誉教授が強調した言葉をもって本論文を閉じたい.「良い咬合とはどのようなものか?それは快適であり,問題なく機能を果たし,長期間安定して変化しないものである.それは生理的咬合であり,決して理想咬合である必要はない.

☛ A Philadelphia Fable: How Ideal Occlusion Became the Philosopher's Stone of Orthodontics

Perhaps the principal orthodontic quest early in the 21st century should be to show clearly and irrefutably the physical, psychological, and social benefits of orthodontic treatment, since we know already that the risk of adverse reactions to modifying tooth positions and occlusion is quite low.

Fortunately, our patients understand that the aim of modern orthodontic treatment extends beyond the illusion of perfect and immutably stable occlusion. Our specialty needs to strive to place occlusion into an appropriate scientific perspective and to focus on the benefits of treatment in a broad sense. A departure from the dogma of ideal occlusion does not reduce contemporary orthodontists to “de facto cosmetologists”9 but rather frees them to enhance a patient's dentofacial appearance and, in some cases, oral function.

 

哲学としての 美学

定義:

 美と醜の区別を行う鑑賞判断を対象とする科学

 芸術の哲学と科学

 諸芸術と美に関する哲学分野

 ある対象についての認識の感性的様態についての科学(バウムガルテン)

 芸術の哲学(ヘーゲル)

 

Ästhetik 独逸語

西 周

善美学,佳趣論,美妙学

森林太郎(鴎外)

審美論(明治20)

審美綱領(1899, 明治32)

   上巻

   下巻

審美新説(1900, 明治33)

美学

 

 

― 行為の概念

観照的な行動

技術的-実践的な行動

道徳的-実践的な行動

 

倫理学は行為の目的と手段に関する説明を与える体系的な努力であるとすれば,医療倫理学は医療行為そのものと同じくらい古くから存在している.他のすべての行為と同様に,医療行為もまた 「専門的-技術的な次元」 と 「道徳的-実践的次元」 という2つの規定できる次元がある.G.ペルトナー

医療 ☛ 医学 science  医術 art  医道 ethics

 

 

― 医療倫理の問題解決の視点

目前の診察治療での規範:

組織(病院・診療所)での規範:

社会全体でなすべき規範:

・健康は人権であるという視点.生存権 健康権 生命権 幸福追求権

・すべての国民に負担可能な費用で医療サービスを提供すること.

・過大な医療費負担によって経済的破綻に陥ることがないように国民を保護することは国家の義務であること.

・常に視点は低・中所得の人々におくことで,国家としての健康指標の改善が初めてなされること.

→ 歯列不正・不正咬合と健康: well-being 上の健康格差のある医療領域

健康:肉体的,精神的,社会的,すべてが満たされた状態 well-being

→ 諸外国の現状;ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)

 

Hygiene 衛生 長與専齋 「松香私志(1902)」

衛生

公衆衛生 Social medicine

保健学 Public Health

公衆衛生の本質は,社会正義である.

口腔衛生 Oral Health Care と 歯列矯正

 ■口腔衛生の課題:

Oral diseases: a global public health challenge
The Lancet, Vol 394, Issue 10194, P249-260, July 20, 2019.

Ending the neglect of global oral health: time for radical action
The Lancet, Vol. 394, Issue 10194, P261-272, July 20, 2019

 

 

― 医療倫理の歴史

 

日本における医療倫理の歴史

 

 

 

― 医療倫理・歯科_矯正歯科の歴史

 古代ギリシャ

 中世

 日本

日本の医の倫理思想史

歯科_矯正歯科の歴史

 

 

歯科医史学 概論  戸出 一郎 先生

1. 定義

歯科医史学とは,史学の研究方法により,歯科医学の進化の原理を究明する学問である.史学に必要なものは,人文現象の時間的経過を調べることだけではなく,秩序と批判である.これをつらぬく道理の究明である.

 

2. 歯科医学史研究の目的

1. 現代歯科医学の方向性を知るため

2. 歯科医学思想の動向を察するため

3. 温故知新の意味において

4. 各国の歯科医学の動向を知り,その特徴をつかみとるため

5. 先哲医聖の言行を追慕するため

6. 医文学研究のため

 

3. 研究方法

歯科医史学の研究対象は,思想・人物・疾病に大別される.そのいずれの場合にも,研究方法としては,史料の蒐集選択,史料批判,総合,比較研究が行われる.

 

1. 史料

 歴史的現象は直接われわれに与えられておらず,なんらかの素材を通じて認識されるのである.この素材を史料といい,歴史知識の源泉となるものである.

 史料は次の3つの形に分類される.

 イ. 考古学的史料

 ロ. 文献

 ハ. 伝承

 

2. 史料批判

 史料の分析をして,そこから出てくる事項の事実性を決定すること.即ち,史料の証拠力を検査することが史料批判である.

 史料批判には,通常,真贋の鑑定と価値判断について行われる.そのためには,史料の性質,史料作者の人物,時代と場所の影響などが考慮にいれられる.

 

3. 統合

 分解された事物の要素を集合統一して全体に帰することである.

 

4. 比較研究

 一つの事実をよりよく理解するために,他の事物と対比して考究する方法である.

 

4. 史観

 歴史の眞利は,分析と総合のほどよい調和によって得られるものである.史的認識は客観と主観とが統一されてはじめて可能となる.史的事件は一部分しか感覚世界にあらわれておらず,残る部分は推理によって連結されなければならないから,歴史科学に純粋客観ということはあり得ない.

 史家がある観点から史実を総合統一する態度を「史観」と呼ぶ.史観は主観的に制約されており,歴史叙述者の原動力となるものである.

 

5. 結語

 史的素材を客観的に批判解釈して総合統一し,そこから歴史的原理の把握へ達することが史学の正道である.

 歯科医史学は単に知識のための史学に終わらせてはならない.認識し,解決する学から未来のプログラムをたてる学にまで進出しなければならない.そのためには歴史のなかから指導理念を抽出しなければならない.指導理念とは歴史における合理的な原理を意味している.

 

 

 

― 道徳

 特別の教科 道徳編 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説

 小学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編 平成27年7月

 中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編 平成27年7月

 高等学校 学習指導要領(平成30年告示)

 

 

― 道徳の発達理論(ケアの倫理|正義の倫理)

 

正義の倫理(ローレンス・コールバーグ)

Stage1: 罰回避と従順志向

 正さの基準は自分の外にあり,他律的.親や先生のいうとおりにすることが正しい.処罰を避けるために規則に従う.

Stage2: 道具的互恵,快楽主義

 自分にとって徳か孫かの勘定が正さの基準.褒美をもらい,見返りの恩恵を得るために行動する・

Stage3: 他者への同調,よい子志向

 人間関係の維持が目的.身近な人に嫌われたり非難を受けるのを避けるために行動する.

Stage4: 法と秩序の維持

 社会の構成員の一人として社会秩序や法律を守るという義務感から行動する

Stage5: 契約的遵法的志向

 秩序や法の恣意性を認めつつも,権利保障や社会全体の福利の増大といった存在理由を考慮することで,それらを遵守する.

Stage6: 良心または普遍的,原理的原則への志向

 全人類の従うべき道徳的原理(良心)から義務をなす.

 

ケアの倫理(キャロル・ギリガン)

第1段階:個人的生存への志向

 自分自身の生存のために自分自身に配慮する

移行期1:利己主義から責任性へ

 自己の欲求と,他者のつながり―責任への志向と葛藤

第2段階:自己犠牲としての善良さ

 自己犠牲によって葛藤を解決する

移行期2:善良さから真実へ

 他者に対してと同様に自己に対しても責任を担うようになる

第3段階:非暴力の道徳性

 配慮と責任は自己と他者の両方に向けられる.傷つけないことが道徳的選択のガイド

 

 

道徳的注意

共感的理解

関係に関する意識

調整

応答

 

 

― 倫理理論

  医療倫理学の観点からの倫理学的アプローチ

義務論的アプローチ

目的論(功利主義的)アプローチ

原則主義的アプローチ

ビーチャムとチルドレスの生命医療倫理の4原則

自律尊重 respect for autonomy
無危害 non-maleficence
善行 beneficence
正義 justice

行為の全体構造に基づくアプローチ

大陸欧州系のアプローチ

目的と手段
意図
状況,行為の帰結

 

 

― 規範と倫理

  倫理学

 規範倫理学  

 メタ倫理学

 記述倫理学

 

 規範倫理学

   行為論

    帰結主義 consequentialism

    功利主義 Utilitarianism

         Bentham, J. 1748-1832

         Mill, J.S. 1806-0873

    行為功利主義 Act- と 規則功利主義 Rule-

 

    義務論 Deontology

      カント倫理学 Kant, I. 1724-1804

      ロスの理論 Ross, W.D. 1877-1971

      ロールズの理論 Rawls, J. 1938-2002

    徳倫理学 Virtue ethics

    実存主義

 応用倫理学

 生命倫理学

 医療倫理学

 環境倫理学

 ビジネス倫理学

 

     その他の理論

        コミュニタリアニズム

        フェミニズム

        決疑論 Casuistry

        公平ー規則理論

        物語倫理 narrative ethics

        看護倫理 Nursing ethics

Internet Encyclopedia of Philosophy

 

 

― 医療倫理に関する宣言や規定

  BC400   ヒポクラテスの誓い

  1947       ニュルンベルグ綱領

  1948       ジュネーブ宣言

  1949    医の倫理に関する国際規定

  1964       ヘルシンキ宣言

  1981       患者の権利に関するリスボン宣言

 

 

① 「倫理規範」

 「規範」は、Standard、Criterion(英)、Norm(ド)の訳語で、標準とか、基準とか、手本の意味である。つまり、「倫理規範」とは、専門職者の倫理的な基本方針になるような拠りどころを示した理想的な目標である。したがって、「綱領」や「指針」よりも抽象的、普遍的、総合的な判断基準で、専門職者集団の適切な原則となる。そのため、ひとつひとつの文章が簡潔に表現されている。

 

 ② 「倫理綱領」

 「綱領」とは、Code(英)、Kodex(ド)の訳語である。専門職者としての倫理的な基本行為に関する基準を社会に示した宣言文で、「規範」よりも具体的に示されている。一般的には、専門職者集団が掲げる普遍的な行動目標で、その価値観を社会に示したものである。例えば、歯科医師の遵守すべき倫理的な行為、目標、価値観を示した理想的な宣言文である。つまり、専門職者が共有すべき信念や価値観を広く社会に表明した自律的な規定である。

 

③ 「倫理指針」

 「指針」とは、Guideline(英)、Grundlinie(ド)の訳語に当る言葉で、まだ漠然とした抽象的な「倫理規範」があるだけで、研究等にまだ歯止めがきかない状態にあり、かつ、法律にまで至っていない場合に、進めるべき倫理的な約束事を社会に示したのが、「ガイドライン(指針)」と考えられる。専門職者が倫理的な情報を適切に行使するため、高め、共有していく統一的な基準である。法制化されるまでの倫理的な方針、基本的な責務を社会に示した「倫理的な基準」である。したがって、罰則規定の伴わない、柔軟性のある具体的な仮の規程となる。

関根 透 監修 信頼される歯科医師Ⅱ p.22  2008.

 

 

― 学問としての歯科医学と歯科矯正学

学問として academic discipline

Intra- / Cross- / Multi- / Inter- / Trans- disciplinary

 

科学者の社会的責任

1. 研究者共同体の内部を律する責任

2. 活動によって生み出された成果の製造物責任

3. 公共からの問いに答える応答責任

社会的リテラシー

説明責任

意思決定に用いられる科学の責任

報道に用いられる科学の責任など

学問の社会的責任

 

矯正歯科医療は何の役にたつのかですか?

 

 

 

― 良質かつ適切な(good)矯正歯科医療とは何か?

Orthodontics: State of the Art, Essence of the Science, edited by Graber LW 1986. C.V.Mosby

1章 ミシガン大学Moyers教授 ”Good” orthodonticsとは何か アリストテレス ニコマコス倫理学 の一節

ニコマコス倫理学 第一巻第六章 p.18 アリストテレス 朴一功 訳 京都大学学術出版会刊 2016年 初版第七刷)を引用

【訳】

さらにまた,「善い」は「ある」と同じだけ多くの意味で語られる以上(8)(すなわち,「善い」という言葉は,たとえば神や知性について言われるように,ものの「何であるか」においても語られるし(9),またさまざまな徳について言われるように,「どのようなものであるか」においても語られる(10).また「善い」は,適度の場合のように,「どれだけあるのか」においても語られるし,さらには有用なものの場合のように,「何かに対して」においても語られ,さらには好機についてのように,「時」においても,あるいは住まいのような「場所」においても,その他こうしたさまざまなものにおいて語られるのである(11),明らかに善は,普遍的な何か一つの共通なものではありえないであろう.なぜなら,もしそうであったなら,善はすべてのカテゴリーにおいてではなく,ただ一つのカテゴリーにおいて語られるものであったはずだからである.

【訳注】

(8) 「ある(存在する)に多くの意味があることについては,『形而上学』第七巻第一章参照.「実体」は「ある」と言われるものの一つの種類であり,「性質」や「関係」その他もまた,「あるもの」の種類をなしている.ここでもアリストテレスの着眼は,「善い」がそれぞれの種類の「ある」」に依存して語られる,という点にある.すなわち,カテゴリーの種類だけ,「善い」の種類も考えられる,ということである.

(9) すなわち,「神は善きものである」とか「知性は善きものである」と語られる.

(10) たとえば,「勇気があるのは善いことである」と語られる.以下で挙げられる,「適度」や「有用なもの」や「好機」についても同様に考えられる.

(11) アリストテレスは『カテゴリー論』では,(1)実体,(2)量,(3)性質,(4)関係,(5)場所,(6)時,(7)姿勢(横たわっているなど),(8)状態(・・・を履いている,など),(9)能動(切る,焼く,など),(10)受動(切られる,焼かれる,など)の10個のカテゴリーを挙げており,『形而上学』第五巻第八章では,「姿勢」と「状態」を除く八個のカテゴリーを挙げている.ここでは(1)から(6)までのカテゴリーに言及していることになる.

 

 「善;good」という語は,「である」または「存在する」という語と同じように,多くの異なる使用法があることをアリストテレスは述べ,多くのカテゴリー<(1) 実体,(2) 量,(3) 性質,(4) 関係,(5) 場所,(6) 時,(7) 姿勢(横たわっているなど),(8) 状態(・・・を履いている,など),(9) 能動(切る,焼く,など),(10) 受動(切られる,焼かれる,など)>について述べています.

 良質かつ適切な矯正歯科医療とは,患者との関係など多様なカテゴリーを含んだものであり,哲学でいう「善行」なる矯正歯科医療と言えます.このカテゴリーを,矯正歯科医療に対応すると,ただ手先の器用さや,技術的な卓越性といった歯科医師個人の技量(技術,知)だけではなく,実体や性質(例えば,行為を行う装置や意義),場所(診療所の設備,感染管理や施設基準など),時間(適切な治療開始時期や,治療に要する期間,保定期間といった時間の概念),関係(患者-医療従事者の関係)などを含み,それぞれのカテゴリーに応じた「良質かつ適切な」状態・行為があることから,「良質かつ最適な」矯正歯科医療は普遍性を持って示されるものではなく,それぞれのカテゴリーの優先順位やバランスをどのように考えるかによって,また時と場所によっても「良質かつ適切な」矯正歯科医療は多様性のあるものとなります.

⇒ 参考

 

 

― 医療倫理と生命倫理

  医療倫理の4原則:

自律尊重 respect for autonomy
無危害 non-maleficence
善行 beneficence
正義 justice

 

 欧州型
   自律 autonomy
   尊厳 dignity
   不可侵 integrity
   脆弱 vulnerability

 

       

背景:1979; ベルモント・レポート

 

   守秘義務(刑法134条)

     守秘義務解除の条件

        第三者への潜在的危害,保護する他の方法がない,危害回避など(タラソフ判決)

     通報・報告義務のあるもの

        虐待,DV,感染症,食中毒,麻薬中毒,覚せい剤保持・中毒者

   インフォームド・コンセント

   シェアード・ディシジョン・メイキング

   医療情報の開示

   告知

   治療方針の決定

   パターナリズム

   小児の医療倫理

  小児の意思決定: インフォームドコンセント,親の許可,子どもの同意

代理意思決定者が満たすべき条件

1. 論理的な判断を下すだけの十分な判断能力を有する

2. 十分な知識や情報を有する

3. 情緒的な安定している

4. 判断能力が不十分な患者の利益に尽力する

 

子どもの同意(assent)と 同意(consent)

→ 小児の医療倫理 ケーススタディ(ISBN 978-4-8157-0167-3

 

認知症 → 認知症の人への歯科治療ガイドライン

 

  推奨される治療の親の拒否

  家族の信仰と患者の医療

  推奨される治療と患者の協力

   患者との対立

   治療後のケア

   医療資源の配分,医療制度

   治療の優先順位

 

 

 

― 尊厳とは

尊厳と習慣

 

人間の尊厳:

個人の尊厳:

生命の尊厳:

 

世界人権宣言

 

民法(2条)

医療法(1条の2)

医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。

社会福祉法(3条)

福祉サービスは、個人の尊厳の保持を旨とし、その内容は、福祉サービスの利用者が心身ともに健やかに育成され、又はその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するものとして、良質かつ適切なものでなければならない。

障害者基本法(3条)

第一条に規定する社会の実現は、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を旨として図られなければならない。

 

 

 

— 臨床倫理

文化と社会

倫理カンファレンス

倫理的問題への気づき

直観/直感 の役割

ん?

何かおかしい?

声,言葉 にする

価値(自分が大切にしていること)

異なる考え,意見への尊重

道徳的感受性/倫理的感受性 moral / ethical sensitivity

価値の対立/ジレンマ

 

4分割法

1. 医学的適応2. 患者・本人の意向
3. QOL
(家族に関わること)
4. 周囲の状況
(その他,関係者,周囲の状況)

 

1. 医学的適応

 1. 診断と予後            2. 治療,医療行為の目的

 3. リスクとベネフィット     4. 治療の無益性

 

医療の目標

健康の増進と病気の予防        症状,痛み,悩みの緩和

疾病の治癒                       予期しない時期の死を防ぐ

機能改善,現状維持            患者教育とカウンセリング

治療過程での危険の回避

 

  問題が生じる場合:

介入がもたらす効果が不確実な場合

☛ 小児期における介入

医療の目標が対立する場合

☛ 抜歯,歯列矯正装置と口腔衛生

危険をおかさないと利益が得られない場合(リスク VS ベネフィット のバランス)

☛ 外科的顎移動術

2017年の実態調査片桐 歩,他:日顎変形誌, 30:213-225, 2020, 外科系99施設,形成外科は除く)では,年間3,405例の手術例が報告されている.手術の内容や制約,起こりうる問題については,【こちらの内容】を十分にお読み下さい.医療においては合併症,偶発症は常にあり,低減はできても100%安全はないということを十分にご理解ください.

 ⇒ 外科的矯正治療(顎離断術を費用下歯列矯正治療)に関する同意書

 ⇒ 顎変形症に関する基礎知識(日本顎変形症学会)

 ⇒ 矯正歯科治療の診療ガイドライン 成長期の骨格性下顎前突編

 

 医療従事者は,この医療行為の 目標は何か を問うことが重要.

 無益性:先にあげた医学の目標を達成できない介入は無益な治療となる.

☛ 顎関節症のスプリント

☛ 反対咬合のチンキャップ

 

2. 患者の意向

1. 患者の同意・判断能力

コンピテンス:法的に行為能力があること

キャパシティ:    1. 法的行為能力があっても,病気や不安,痛みのために判断力が低下している場合(認知症,救急)

2. 法的行為能力がなくても,自分の希望を表明できる(未成年)

2. インフォームド・コンセント

Informed Consent for Orthodontic Patient

3. 事前の意思表示

4. 代理決定者の判断

 

米国矯正歯科学会の倫理資料

 

  臨床倫理学とは

 

 

― 患者と医師の価値の対立

 なにが大事なのか?

 ・ 見た目 vs 咀嚼機能のドグマ

 ・ 保定後の定期観察

今 vs 将来

 

 

― 倫理コンサルテーションとは

患者,家族,代理人,医療従事者,他の関係者が,ヘルスケアの中で生じた倫理・価値問題に関する不確実性や対立を解消するのを助ける,個人やグループによるサービス

A service provided by an individual or a group to help patients, families, surrogates, healthcare providers, or other involved parties address uncertainty or conflict regarding value laden issues that emerge in healthcare” (American Society for Bioethics and Humanities)

 

 

― 患者の法的な権利と義務

生存権

健康権

生命権

幸福追求権

 

 

― 患者の自己決定権の法的基礎

(通説)
• 憲法 13 条
「すべて国民は個人として尊重される.生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」を自己決定権の根拠規定と考える


• 前段の「個人の尊重」が,ドイツ基本法1条1項の「人間の尊厳」条項とほぼ同趣旨であり,個人の尊重(個人主義)ないし人格の尊厳(人格主義)という一定の原理を規定し,後段の幸福追求権は、前段の原理と結びついて,人間の人格的自律にとって不可欠な重要事項に関する自己決定の包括的権利を具体的な法的権利として規定する(人格的利益説)

 

 

― 道徳・倫理・法

 「人の人たるゆえんは,人と人との結合にある」

 法は宗教・道徳・習俗の各規範より後に形成されたもの.

 

  社会規範:行為の基準となるべき規則

   ① 宗教規範

   ② 道徳規範

   ③ 習俗規範

 

 社会が独立した国家となったとき,これらの規範は面目を改めて国家権力を背景とする法となり,

 法が宗教・道徳・習俗と異なる点は,国家権力の強制を伴う点にある.  

 

 「倫理規範」

 「規範」は、Standard、Criterion(英)、Norm(ド)の訳語で、標準とか、基準とか、手本の意味である。つまり、「倫理規範」とは、専門職者の倫理的な基本方針になるような拠りどころを示した理想的な目標である。したがって、「綱領」や「指針」よりも抽象的、普遍的、総合的な判断基準で、専門職者集団の適切な原則となる。そのため、ひとつひとつの文章が簡潔に表現されている。

 

  「倫理綱領」

 「綱領」とは、Code(英)、Kodex(ド)の訳語である。専門職者としての倫理的な基本行為に関する基準を社会に示した宣言文で、「規範」よりも具体的に示されている。一般的には、専門職者集団が掲げる普遍的な行動目標で、その価値観を社会に示したものである。例えば、歯科医師の遵守すべき倫理的な行為、目標、価値観を示した理想的な宣言文である。つまり、専門職者が共有すべき信念や価値観を広く社会に表明した自律的な規定である。

 

 「倫理指針」

 「指針」とは、Guideline(英)、Grundlinie(ド)の訳語に当る言葉で、まだ漠然とした抽象的な「倫理規範」があるだけで、研究等にまだ歯止めがきかない状態にあり、かつ、法律にまで至っていない場合に、進めるべき倫理的な約束事を社会に示したのが、「ガイドライン(指針)」と考えられる。専門職者が倫理的な情報を適切に行使するため、高め、共有していく統一的な基準である。法制化されるまでの倫理的な方針、基本的な責務を社会に示した「倫理的な基準」である。したがって、罰則規定の伴わない、柔軟性のある具体的な仮の規程となる。

関根 透 監修 信頼される歯科医師Ⅱ p.22  2008.

 

 

― 法の基礎

 法を意識する時とはどのような時か(普段は意識しないが):

 対話できない時                対立

紛争を意識する時

不当に侵害されたと思う時    怒り 痛み

 

「医療(行為)」とはなにか(社会的定義,義務からの分類)

 資格・免許を得たものが,患者と契約の中で患者個人の情報を扱いながら,専門家の業務として,侵襲を与える

 

医療を行う者が学ぶべき法領域

① 資格・免許に関する諸法

歯科医師法・保助看法,歯科衛生士法・歯科技工士法など

② 違法性阻却事由・過失を中心とする

刑事法制度

③ 損害賠償・説明・過失を中心とする

民事法制度

④ 患者の秘密や情報の保護を中心とする

個人情報保護,開示,守秘義務の制度

 

医療法

第一条 この法律は、医療を受ける者による医療に関する適切な選択を支援するために必要な事項、医療の安全を確保するために必要な事項、病院、診療所及び助産所の開設及び管理に関し必要な事項並びにこれらの施設の整備並びに医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携を推進するために必要な事項を定めること等により、医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする。

 

 

 侵襲行為が違法性を帯びないための要件  違法性阻却(適法な医療行為の要件)

   1. 治療を目的とすること
     ⇒ 直接当該人の治療を目的としない場合(生体移植用臓器の提供)

   2. 医学上一般に承認された手段方法をもってなされたこと
     ① 医学的適応性:その処置がその疾患の適切な治療手段であることが,医学界で一般に承認されていること
     ② 医学的正当性:その処置が、医学の準則(lege artis)に従ってなされていること
     ⇒ 過失との関係
     ⇒ 実験的医療との関係

   3. 患者の承諾があること(承諾の前提としての説明)
     ⇒ 例外-他の者の承諾で代える場合(幼児、精神障害者、認知症のある高齢者)

 

治療後(矯正装置の撤去後)のレントゲン検査: 医療目的/医学目的の区別

 ☛ 参考:医学的無益性の項を参照

 レントゲン撮影の目的:医療のためか? 医学研究のためか? を区別 → 患者の同意)

放射線防護におけるヨーロッパのガイドライン

正当化: 病歴聴取と診察がなされない限り,X線検査を選択するべきではない.

  「ルーチン」 検査は受け入れられない診療行為である.

→ Guidelines for the use of radiographs in clinical orthodontics 第5版 2015年(BOS 英国矯正歯科学会)

 

 

― 法令(Law)とは?

  法令とは、「法律」 と 「命令」 を併せたもので,国会で成立したものが 「法律」,

  これに基づき行政機関が制定するものが 「命令」.

   法 律    政 令    府省令     条 例

  「命令」:    「政令」    内閣が制定            施行令

省令」    各省が制定            施行規則

府令」    内閣府の長官として内閣総理大臣の発す

条例」    地方自治体が制定

   実務的に,法律は 「本法」,政令は 「施行令」,省令は 「施行規則」 と呼ばれる.

           歯科医師法であれば,

歯科医師法:                本法

歯科医師法施行令:        内閣閣議

歯科医師法施行規則:    厚生労働大臣 

               法令検索(総務省)はこちら  ☛  e-GOVポータル

 

法の諸要素

法の理念(条理)

実定法,理念法,自然法

法の体系

法の存在形式

法律の効力の優劣 

 

 

― 基準(Standardと ガイドドライン(Guideline

 

 

― 医療プロフェッショナリズム

Professionalism is the basis of medicine's contract with society. It demands placing the interests of patients above those of the physicine, setting and maintaining standards of competence and integrity, and providing expert advice to society on matters of health. ― The Physician Charter

プロフェッショナリズム.これは医療と社会との契約の基礎である.医師の利益より患者の利益を優先すること,「知」と「心」を高め保つこと,そして健康に関する専門的助言を社会に与えることが求められる.医師憲章

医療の実践はアートであり,顧客との取引ではない.天職であり,ビジネスではない.頭と同様に心を働かせる天職である.

 

歴史的経過:出典:Arnold L. and Stern D.T: 2 What Is medical Proffesionalism?  Measuring Medical Professionalism, Oxford University Press 2006 p.19-20)

「 ヒューマニズム」 や 「プロフェッショナル」 の定義には長い歴史があるが,現在使われている 「プロフェッショナリズム」 という言葉は,医学界では最近のことである.1970年代の終わりには,医学教育の文献ではプロフェッショナリズムについて特に言及されてはいなかった(Arnold 2002).現在プロフェッショナルと呼ばれている医師や学生の特性には関心があったが,認知的でなく資質を指す残余のカテゴリーとして扱われていた.1980年代には,米国内科学会(ABIM 1983)は,尊敬,思いやり,誠実さからなるヒューマニズムの次元を打ち出し,医師の非認知的属性の概念化に変化が見られました.1990年代になってABIMは 「プロフェッショナリズム」 という言葉を使うようになり,ヒューマニズムだけではなく,利他主義,義務と奉仕,説明責任,卓越性など,その要素を明確に定義した(ABIM 1994).

1990年代末から2000年代初頭までに,60校以上の医学部で,学生のプロフェッショナリズムを評価する基準を定め,学生のプロフェッショナリズムを評価する厳格なプロセスを実施したことが報告されている(Swickら1999; Kao and Lim 2003).ABIMの定義に賛同する専門学会や専門職学会も増えてきている(Adams et al. 1998; ABIM et al. 2002; Medical School Objectives Project Writing Group 1999; Association of American Medical Colleges 2004; Accreditation Council for Graduate Medical Education, 1994).

定義:プロフェッショナリズムとは,臨床能力,コミュニケーション能力,倫理的・法的理解といった土台の上に築かれた,卓越性人間性説明責任利他主義を原則としてうまく運用されることで発揮される.この定義では,臨床能力、倫理的理解、コミュニケーション能力など,プロフェッショナリズムには必要だが十分ではない知識とスキルの基本的要素をいくつか挙げている.またプロフェッショナリズムの原則の適用を支えるものは,知識,態度または願望,技能であることを認識し,評価のために直接的に関心のある領域を示している.この定義はプロフェッショナリズムを医師が常に目指すべき美徳とする考え方を導入し,医療倫理への橋渡しをするものである.プロフェッショナリズムの必要かつ十分な要素であるエクセレンス(卓越性),ヒューマニズム(人間性),アカウンタビリティ(説明責任),アルトゥルイズム(利他主義)は目指すべき原則であるが,それぞれの原則にどの用語を使うべきかという議論は避け、観察可能な行動におけるこれらの原則の適用を強調するものである.これらの原則をうまく適用することは,時にこれらの価値が対立することを意味し,その対立を賢く解決することができる人が "プロフェッショナル" とみなされる.Arnold L. and Stern D.T: 2 What Is medical Proffesionalism?  Measuring Medical Professionalism, Oxford University Press 2006 p.19-20)

The Medical Professionalism Project

☛ プロフェッショナリズムの構成要素の土台は臨床能力であるが,我国の歯科界は,この専門医(スペシャリスト)と プロフェッショナルリズム を混同してきたのではないだろうか?

現在の歯学教育カリキュラムでは修正されつつある.

認定医・専門医の資格は技術的側面の評価が主であり,この資格取得を集客や広告宣伝に利用する輩が未だ多くいる.資格はすべての会員が申請するわけでなく,選抜されたかのような誤解<虚偽の三角形>を与え,倫理的・法的理解に欠ける.

プロフェッショナリズムは医療と社会との契約の基礎である.医師の利益より患者の利益を優先すること,「知」と「心」を高め保つこと,そして健康に関する専門的助言を社会に与えることが求められる.

専門医とは,「スーパードクター」 や 「神の手を持つ医師」 などを意味するものではなく,「それぞれの診療領域において適切な教育を受けて,十分な知識・経験を持ち患者から信頼される標準的な医療を提供できるとともに,先端的な医療を理解し情報を提供できる医師」 と定義される.

歯科界では,技術を中心とした歴史的経過が長く,パラダイムの受け入れにまだ時間を要する.

 

プロフェッショナリズム
卓越性 人間性 説明責任 利他主義
倫理的・法的理解
コミュニケーション能力
臨床能力(知識,技術)

  

 

令和4年度改訂版 歯学教育モデル・コア・カリキュラム

第1章 歯科医師として求められる基本的な資質・能力

PR: プロフェッショナリズム(Professionalism)
GE: 総合的に患者・生活者をみる姿勢(Generalism)
LL: 生涯にわたって共に学ぶ姿勢(Lifelong Learning)
RE: 科学的探究(Research)
PS: 専門知識に基づいた問題解決能力(Problem Solving)
IT: 情報・科学技術を活かす能力(Information Technology)
CS: 患者ケアのための診療技能(Clinical Skills)
CM: コミュニケーション能力(Communication)
IP: 多職種連携能力(Interprofessional Collaboration)
SO: 社会における医療の役割の理解(Medicine in Society)

 

PR:プロフェッショナリズム(Professionalism)
人々の命と健康を守るために、人間の多様性に配慮し、人間性を尊重しつつ、歯科医師の職責を十分に自覚し、利他的な態度で医療に関わりながら、歯科医師としての道を究めていく。

PR-01 歯科医師としての職責を理解し、倫理観、責任感、品格、思いやりを持って行動できる。
PR-02 患者、生活者の心理的、社会的要因や社会背景に配慮し、尊厳を尊重し、利他的、誠実、正直、公平公正に行動できる 。
PR-03 社会規範はもとより、歯科医師法および関連法規、歯科医師に求められる規範・倫理を遵守できる。
PR-04 自己の知識、技術、態度を恒常的に評価し、自己主導型学習を行い、自己評価能力を高めながら、常に自己の向上を図ることができる。
PR-05 医療従事者としてセルフマネジメント能力(レジリエンス、ストレスマネジメント)を養うことができる。
PR-06 自己省察し、改善につなげることができる。

 

平成28年 歯学教育モデル・コア・カリキュラム

A-1 プロフェッショナリズム

 人の命と生活に深く関わり健康を守るという歯科医師の職責を十分に自覚し、患者中心の歯科医療を実践しながら、歯科医師としての道(みち)を究めていく。

 A-1-1)  医の倫理と生命倫理

  ねらい:医療、歯科医療及び医学・歯学研究における倫理を遵守するために、その重要性を理解し、医療倫理・研究倫理に関する知識と態度を身に付ける。

  学修目標:

①医の倫理と生命倫理の歴史経過と諸問題を概説できる。
②医の倫理に関する規範・国際規範(ヒポクラテスの誓い、ジュネーブ宣言、ヘルシンキ宣言等)を概説できる。
③臨床(生と死に関わる問題を含む)に関する倫理的問題を説明できる。
④医学研究に関する倫理的問題を説明できる。
⑤情報倫理に関わる問題を説明できる。
⑥研究を、医学・医療の発展や患者の利益の増進を目的として行うよう配慮できる。

 

 A-1-2)  患者中心の視点

  ねらい:患者の安全を最優先し、常に患者中心の立場に立つとともに、患者の主体的治療参加を促すために、患者の権利を熟知し、その現状と問題点を理解する。

  学修目標:

①患者の権利を説明できる。
②患者の自己決定権を説明できる。
③患者が自己決定できない場合の対応を説明できる。
④インフォームド・コンセントの意義と重要性を説明できる。

 

 A-1-3)  歯科医師としての責務と裁量権

  ねらい:豊かな人間性と生命の尊厳についての深い認識を有し、人の命と健康を守る歯科医師としての義務と責任を自覚する。

  学修目標:

①歯科医師のプロフェッショナリズムを説明できる。
②患者との信頼関係構築の重要性を説明できる。
③医療サービスの特殊性(情報の非対称性・医療の不確実性)や治療の限界を説明できる。
④歯科医師に課せられた社会的責任と法的責任(刑事責任、民事責任、歯科医師法に基づく行政処分)を説明できる。
⑤患者に最も適した歯科医療を勧めるとともに、代替する他の方法についても説明できる。

 

 

令和5年 歯科医師国家試験出題基準

医の倫理と歯科医師のプロフェッショナリズム 約2%

  ア 医の倫理
    a 患者の人権と医療
    b 医療者の倫理(ニュルンベルグ綱領、ジュネーブ宣言など)

  イ 歯科医師と患者・家族との関係
    a 患者中心の歯科医療(インフォームド・コンセント、セカンドオピニオンなど)
    b 患者の権利

社会と歯科医療 約13%

  ア 患者・障害者のもつ心理社会的問題と背景
    a 疾病・障害の概念・構造(社会的関わり)
    b リハビリテーションの理念
    c ノーマライゼーションの理念
    d 国際生活機能分類〈ICF〉
    e 健康格差、健康の社会的決定要因

 

 

平成30年 歯科医師国家試験出題基準

必修の基本的事項

医の倫理と歯科医師のプロフェッショナリズム 約2%

    ア 医の倫理、生命倫理

a 患者の人権と医療

b 医療者の倫理(ニュルンベルグ綱領、ジュネーブ宣言など)

 イ 歯科医師と患者・家族との関係

a 患者中心の歯科医療(インフォームド・コンセント、セカンドオピニオンなど)
b 患者の権利

社会と歯科医療 約11%

 ア 患者・障害者のもつ心理社会的問題と背景

a 疾病・障害の概念・構造(社会的関わり)
b QOL<quality of life>
c リハビリテーションの理念
d ノーマライゼーション、バリアフリー
e 患者・障害者の心理と態度
f 国際生活機能分類<ICF>、国際障害分類<ICIDH>
g 疾病構造、健康格差

 イ 保健・医療・福祉・介護の制度と医療経済

a 歯科医師法、歯科衛生士法、歯科技工士法
b 医療法
c 介護保険法
d 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
e 保健・医療・福祉・介護の制度と職種
f 地域包括ケアシステム
g 地域歯科保健活動での職種の連携
h 国民医療費、社会保障費

 ウ 臨床試験・治験と倫理

a 臨床研究、疫学研究の倫理指針
b GCP<医薬品の臨床試験の実施の基準>

 エ 医療の質の確保

 a 患者満足度
b 患者説明文書、同意書
c クリニカルパス 

 

歯科医学総論 総論Ⅰ 保健・医療と健康増進

健康の保持・増進と社会保障の仕組み

 ア 健康・疾病・障害の概念

a 健康の概念
b 健康に関わる要因
c 社会環境の変化 社会的決定要因
d 疾病の自然史と対応
e 障害の概念と対応

 

令和3年2月 歯科医師の臨床研修の制度改正の概要(PDF)

      厚生労働省の動画説明チャンネル(YouTube)

歯学教育モデル・コア・カリキュラムの「歯科医師として求められる基本的な資質・能力」と「歯科医師国家試験の出題基準」には「プロフェッショナリズム」と「チーム医療」が入っているが、現在の歯科医師臨床研修の到達目標には含まれていないことから,見直師が行われ,到達目標としてプロフェッショナリズムが導入された.

― 歯科医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム

 1.社会的使命と公衆衛生への寄与

 社会的使命を自覚し,説明責任を果たしつつ,社会の変遷に配慮した公正な医療の提供及び公衆衛生の向上に努める.

 2.利他的な態度

 患者の苦痛や不安の軽減と福利の向上を最優先するとともにQOLに配慮し,患者の価値観や自己決定権を尊重する.

 3.人間性の尊重

 患者や家族の多様な価値観,感情,知識に配慮し,尊敬の念と思いやりの心をもって接する.

 4.自らを高める姿勢

 自らの言動及び医療の内容を省察し,常に資質・能力の向上に努める.

 

 

 

 

― 医師の働き方と応召義務の道徳

☛ 医師の働き方改革の推進に関する検討会

 

医政発1225第4号
令和元年12月25日

各都道府県知事 殿        厚生労働省医政局長(公印省略)

 

応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等について

 医師法(昭和 23 年法律第 201 号)第 19 条第1項においては、「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」として、いわゆる医師の「応招義務」を定めている。この応招義務に関連して、「病院診療所の診療に関する件」(昭和 24 年9月 10 日付け医発第 752 号厚生省医務局長通知。以下「昭和 24 年通知」という。)等において、医師や医療機関(病院、診療所など)への診察治療の求めに対する対応に関する解釈を示してきたところであるが、現代においては、医師法制定時から医療提供体制が大きく変化していることに加え、勤務 医の過重労働が問題となる中で、医師法上の応招義務の法的性質等について、改めて整理する必要性があること、また、現代の医療は、個々の医師のみならず医療機関を含む地域の医療提供体制全体で提供されるものという前提に立つと、医師個人のみならず、医療機関としての対応も含めた整理の必要性があることが指摘されていた。
 このため、「医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた医師法の応召義務の解釈に関する研究(平成 30 年度厚生労働省行政推進調査事業費補助事業)」(研究代表者:岩田太上智大学法学部教授)において、医療提供体制の変化や医師の働き方改革といった観点も踏まえつつ、医師法上の応招義務の法的性質をはじめ、医師や医療機関への診療の求めに対する適切な対応の在り方について検討を行い、このほど別添のとおり報告書をとりまとめた。
 今般、当該報告書の内容を踏まえ、医師法第19条第1項及び歯科医師法(昭和23年法律第202号)第19条第1項の法的性質を明確にするとともに、どのような場合に診療の求めに応じないことが正当化されるか否かについて、下記のとおり整理したので、貴職におかれては、これを御了知の上、貴管下保健所設置市(特別区を含む。)、関係機関の長、関係団体等に対する周知徹底をお願いする。
 なお、過去に発出された応招義務に係る通知等において示された行政解釈と本通知の関係については、医療を取り巻く状況の変化等を踏まえて、診療の求めに対する医療機関・医師・歯科医師の適切な対応の在り方をあらためて整理するという本通知の趣旨に鑑み、今後は、基本的に本通知が妥当するものとする。

1 基本的考え方

 (1)診療の求めに対する医師個人の義務(応招義務)と医療機関の責務

     歯科医師法第19条第1項

 (2)労使協定・労働契約の範囲を超えた診療指示等について

 (3)診療の求めに応じないことが正当化される場合の考え方

2 患者を診療しないことが正当化される事例の整理

 (1)緊急対応が必要な場合と緊急対応が不要な場合の整理

   ① 緊急対応が必要な場合(病状の深刻な救急患者等)

      ア 診療を求められたのが診療時間内・勤務時間内である場合

      イ 診療を求められたのが診療時間外・勤務時間外である場合

   ② 緊急対応が不要な場合(病状の安定している患者等)

      ア 診療を求められたのが診療時間内・勤務時間内である場合

      イ 診療を求められたのが診療時間外・勤務時間外である場合

 (2)個別事例ごとの整理

   ① 患者の迷惑行為

   ② 医療費不払い

   ③ 入院患者の退院や他の医療機関の紹介・転院等

   ④ 差別的な取扱い

   ⑤ 訪日外国人観光客をはじめとした外国人患者への対応

 

 

○病院診療所の診療に関する件

(昭和二四年九月一〇日)

(医発第七五二号)

(各都道府県知事あて 厚生省医務局長通知)

最近東京都内の某病院において、緊急収容治療を要する患者の取扱に当たり、そこに勤務する一医師が空床がないことを理由として、これが収容を拒んだために、治療が手遅れとなり、遂に本人を死亡するに至らしめたとして問題にされた例がある。診療に従事する医師又は歯科医師は、診療のもとめがあった場合には、これに必要にして十分な診療を与えるべきであることは、医師法第一九条又は歯科医師法第一九条の規定を俟つまでもなく、当然のことであり、仮りにも患者が貧困等の故をもって、十分な治療を与えることを拒む等のことがあってはならないことは勿論である。

病院又は診療所の管理者は自らこの点を戒めるとともに、当該病院又は診療所に勤務する医師、歯科医師その他の従業者の指導監督に十分留意し、診療をもとめる患者の取扱に当っては、慎重を期し苟も遺憾なことのないようにしなければならないと考えるので、この際貴管内の医師、歯科医師及び医療機関の長に対し左記の点につき特に御留意の上十分右の趣旨を徹底させるよう御配意願いたい。



一 患者に与えるべき必要にして十分な診療とは医学的にみて適正なものをいうのであって、入院を必要としないものまでをも入院させる必要のないことは勿論である。

二 診療に従事する医師又は歯科医師は医師法第一九条及び歯科医師法第一九条に規定してあるように、正当な事由がなければ患者からの診療のもとめを拒んではならない。而して何が正当な事由であるかは、それぞれの具体的な場合において社会通念上健全と認められる道徳的な判断によるべきであるが、今ここに一、二例をあげてみると、

(一) 医業報酬が不払であっても直ちにこれを理由として診療を拒むことはできない。

(二) 診療時間を制限している場合であっても、これを理由として急施を要する患者の診療を拒むことは許されない。

(三) 特定人例えば特定の場所に勤務する人々のみの診療に従事する医師又は歯科医師であっても、緊急の治療を要する患者がある場合において、その近辺に他の診療に従事する医師又は歯科医師がいない場合には、やはり診療の求めに応じなければならない。

(四) 天候の不良等も、事実上往診の不可能な場合を除いては「正当の事由」には該当しない。

(五) 医師が自己の標榜する診療科名以外の診療科に属する疾病について診療を求められた場合も、患者がこれを了承する場合は一応正当の理由と認め得るが、了承しないで依然診療を求めるときは、応急の措置その他できるだけの範囲のことをしなければならない。

三 大病院等においては、受付を始めとし、事務系統の手続が不当に遅れたり、或いはこれらのものと医師との連絡が円滑を欠くため、火急を要する場合等において、不慮の事態を惹起する虞があり、今回の例もかくの如きものに外ならないのであるから、この点特に留意する必要がある。

 

 

 

— 医学的無益性

間違った医療 医学的無益性とは何か 

医学的介入は患者を助けることをそのゴールとする,という基礎的な考え方からスタートし,患者に対する治療によって得られる 利益の見込み あるいは 質 が受け入れられないくらい低い介入は無益である.

 

  矯正歯科医療が本来目指すべきゴールは何か?

普遍的なゴールはないが,治療効果の質的評価(副作用,効果について十分な説明と同意)

 顎整形装置の効果

 筋機能療法の効果

 アンカースクリューの必要性

 矯正学的な治癒の概念

 乳歯列期の治療介入

 

 レントゲン撮影の目的:医療のためか? 医学研究のためか? を区別 → 患者の同意)

放射線防護におけるヨーロッパのガイドライン

正当化:病歴聴取と診察がなされない限り,X線検査を選択するべきではない.「ルーチン」 検査は受け入れられない診療行為である.

→ Guidelines for the use of radiographs in clinical orthodontics 第5版 2015年(BOS 英国矯正歯科学会)

End of active tooth movement
In some cases the taking of a cephalometric image a month or two before the completion of active treatment will enable the clinician to check that treatment targets have been achieved and allow planning of retention. The need to take radiographic records when the active appliance is removed should be carefully assessed for each patient and is unlikely to be indicated except for patients with severe malocclusions.

 動的な歯の移動の終了(保定開始)
場合によっては、治療終了の1~2ヶ月前にセファロ画像を撮影することで、治療目標が達成されたことを確認し、保定を計画することが可能になります。矯正装置を取り外す際にX線写真を撮影する必要性は、患者ごとに慎重に判断する必要があり、重度の不正咬合を持つ患者を除いては適応されることはほとんどありません。

Post treatment
The clinical justification for radiographs after treatment or at the end of retention is difficult to define and has to be assessed for each patient. They may be indicated in patients where stability is uncertain either as a result of a specific type of treatment or because unfavourable growth is anticipated. Radiographs may be required if there are clinically observed changes at the end of retention in order to provide a baseline from which to assess further movement. The need for such radiographs must be clearly explained to the patient or parent and consent obtained.

Ideally every radiograph should be benefit to the individual patient, but the practice of orthodontics has benefited from the analysis of post-treatment cephalometric views. If images are to be taken after treatment, or after retention, for all patients this must be part of a long-term research project. Such a project must be designed to improve the clinician's understanding of malocclusion and therapeutics and the information gained is used for the benefit of the population at large. Approval for a correctly structured research programme should not be difficult to obtain (see Section 12).

治療後
治療後または保定終了時のX線写真の臨床的正当性を定義することは困難であり、個々の患者について評価する必要があります。特定の治療の結果、あるいは好ましくない成長が予想されるため、安定性が不確かな患者には、X線写真の適応となる場合がある。保定終了時に臨床的に変化が認められた場合、さらなる移動を評価するためのベースラインを提供するために、X線写真の撮影が必要となることがある。このようなX線写真の必要性は、患者または親に明確に説明され、同意を得る必要がある。

理想的には、すべてのX線写真が個々の患者にとって有益であるべきだが、歯科矯正学の実践は、治療後のセファログラムビューの分析から恩恵を受けている。治療後、または保定後の画像をすべての患者に対して撮影する場合、これは長期的な研究プロジェクトの一部でなければなりません。このような研究プロジェクトは、臨床医の不正咬合と治療法に関する理解を向上させ、得られた情報を一般の人々のために使用するように設計されていなければならない。正しく構成された研究計画の承認を得ることは、決して難しいことではないはずである(セクション12参照)。

 

医療倫理の見地から,

動処終了後(装置撤去後)の人体へのレントゲン照射(側面セファロ)の意義について考えてみよう.

  → 医療だろうか? 医学研究だろうか? 無危害原則,インフォームドコンセントと自律尊重

☛ 現在のわが国の歯科医療では,医療倫理に関する考察がずいぶん遅れており,依然としていくつかの制度上,患者利益について配慮されない状態が存在している.専門医・認定医の資格は,歯科医業を行うため必要なものではないが,本来の医療の本質や欧州諸国の医療倫理原則の基準について考える良い機会になる.

 

 

 後戻りの再治療の必要性

患者の求める価値/治療結果

最善の治療期間とは(治療期間の短縮)

目立たない装置

適切な治療介入時期:患者の年齢

目先の利益を優先する行為(逼迫する状況)

繁忙治療による質の低下,無益な集客や広告

Ⅰ期治療の効果

Ⅱ期治療

保定

 

 

― 患者安全

 

 

 Patient Safety 患者安全 第2版

    ☛ 原著

 

【目次】
まえがき						v
本書の性質					vii
執筆へのインスピレーション,謝辞,感謝の言葉			ix
原書第2版日本語版への序文				xi
第1部 患者安全の進化
 第1章 医療による害:小史				3
 第2章 患者安全の登場				15
 第3章 安全と質を統合する				33
第2部 医療の潜在的危険性	
 第4章 エラー(error)と害(harm)の性質と規模		53
 第5章 報告・学習システム				81
 第6章 安全性を測定する				104
第3部 事故の分析からシステムの設計まで			125
 第7章 ヒューマンエラーとシステム思考			127
 第8章 間違いが起きる過程を理解する			151
第4部 余波…医療の害による				179
 第9章 治療により害を受けた患者のケア			181
 第10章 深刻なインシデントが発生した場合のスタッフへの支援	203
第5部 デザイン,テクノロジー,標準化			221
 第11章 臨床的介入とプロセス改善			223
 第12章 患者安全のためのデザイン			245
 第13章 情報技術を活用してエラーを低減する		261
第6部 人が安全を創る					285
 第14章 安全の文化を構築する				287
 第15章 患者安全への患者の関与			309
 第16章 手順と違反および迷走(migration)		328
 第17章 安全に関する技能				343
 第18章 チームで安全を創る				365
第7部 安全への道程					395
 第19章 安全な組織:すべてを一つにまとめる			397
 第20章 高い業績を上げる医療システム			418
索引						433
 
 

 

Safer Healthcare

 

 

 

 Charles Vincent • René Amalberti
 Safer Healthcare
 Strategies for the Real World

 

国際医療リスクマネージメント学会

世界学会の公式サイト

医療安全推進機構

日本医療安全学会

医療の質・安全学会

 

 

― 医療安全

 

 

 

 

 

 

― 偶発症とリスクの倫理

治療開始前

顎関節症

歯周病

治療中

顎関節症

歯周病(歯肉炎,歯肉退縮,知覚過敏)

齲蝕

歯根吸収

装置による傷害(脱落など)

治療後

安定性,後戻り

結果の相違

治療期間

 

 

 

— 患者ー医療従事者関係

パターナリズム

インフォームドコンセント

シェアードディシジョンメイキング

 

小児のインフォームドコンセント

子どもの assentconsent の区別

 

assent

consent

agree

approve

support

concur 

 

 

― 転医,転院の倫理

歯列矯正の期間中において,転院により主治医を変わることは望ましいものではありませんが,少なからず起こることがあります.

2-3年の治療期間のため

転居(進学,転勤)

中断(海外出張,入院,出産など)

転医(もしくは転院)は,患者さまの住居地変更によって通院が困難となり,そのままでは治療継続ができなくなるために,現在の主治医から通院可能な診療所へ,今後の治療継続を依頼して,患者さまとの治療継続を行うことです.

平均寿命が80年というそれぞれの人々の人生では,住所地の変更は何度か起こります.準備され望んだ転居の場合は新しい土地での新生活に心を躍らせることでしょう. 一方では,いろいろな理由で,急に転居が決まり,望まない転医をされる場合もあります.現在では,交通機関の利便性も昔より向上しており,治療期間は長くなりますが,通院間隔を長くして,2-3カ月に1度の通院を,実家への帰省を兼ねて,東京や大坂から継続通院されている方もおられます.

転院というあたらしい転医先で歯列矯正を継続する場合,治療技術に関しては問題はありません.治療経過に関する医療情報(治療計画・医療費の同意書,治療中の検査資料,治療内容の報告書)も,転医先の先生へ共有し報告いたしますのでご安心ください.

しかしながら,主治医や医療機関が変わる以外にも,新しい土地,新しいクリニックのシステム(予約の取り方,費用の支払い方法,雰囲気など),異なる点も多々ございますことも十分にご理解いただかなければなりません.それぞれの医院では,患者さまの診療に最善を尽くしていますので,どうぞご理解ください.

 

応召義務

現在は日本でも専門医制度が構築されつつありますが,患者の症状が初診医にとって専門外の場合,初診医は専門医に紹介する必要があります.患者の病態に緊急性があれば,専門医に紹介しないと「転医義務違反」になります.「専門の科にみてもらいましょう」と声をかけ,患者が希望しない場合は 「希望せず」 とカルテに記載しておく必要があります.また,専門医は非専門医からの紹介を受けないと「応召義務違反(診療拒否、受け入れ拒否)」になります.紹介する医師は専門医に「緊急性」を明確に示して他科受診依頼を行ってください(例:すぐ診てください、午後でもかまいません、ご都合のよい日時でけっこうです).

 

医療法 第一条の四の3

3 医療提供施設において診療に従事する医師及び歯科医師は、医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携に資するため、必要に応じ、医療を受ける者を他の医療提供施設に紹介し、その診療に必要な限度において医療を受ける者の診療又は調剤に関する情報を他の医療提供施設において診療又は調剤に従事する医師若しくは歯科医師又は薬剤師に提供し、及びその他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 

日本矯正歯科学会 倫理規定

(対診 セカンドオピニオン)
第23 条 会員は、自己の知識、技術の範囲を超えると判断した患者については、すみやかにそれぞれの専門医に対診を求め、お互いにその領域を尊重しつつ協力し、患者の診療に最善を尽さなければならない。
2.会員が診断・治療する患者から自分の診断・治療に関するセカンドオピニオンを取得したいとの要請を受けた場合、あるいは必要と認めた場合には、進んで資料を提供し、対診を求めなければならない。
3.対診を求められた会員は、与えられた情報の中で患者に対し客観的な所信を誠実に述べ、その結果を遅滞なく主治医に報告すべきである。

(歯科医師相互間の関係と協力)
第30条 会員は、他の歯科医師に対してその経験と学識に敬意を持って接し、また医療行為に関して協力を惜しんではならない。

(主治医の尊重)
第31条 主治医は担当する患者の診療に対してすべての責任を持ち、他の歯科医師は主治医の判断、立場を尊重しなければならない。
2.治療中である主治医の紹介がない状況で、患者が会員に対して治療の継続を求めてきた場合は、患者から十分に話を聞いた上で再び主治医を受診するように計らうことが望ましい。状況により治療の継続を引き受けなければならないと判断される場合には、それまでの主治医と連絡を取り、必要な検査資料と診療情報の提供を受け、円滑な治療の継続ができるように努めるべきである。

(他の歯科医師への誹謗の禁止と証言)
第33条 会員は、患者およびその家族などに対して他の歯科医師の行った診療内容についてみだりに非難や批判を行ってはならない。同僚への軽率な誹謗は歯科医師全体に対する社会的信頼を損なうことになる。
2.万一、診療内容が適切でないと判断される場合には改善処置を講ずるべきである。
3.公的な機関より専門的な証言や意見を求められた場合には公正な意見を述べなければならない。

(歯科医師間での意見の不一致)
第34条 歯科医師間で医療行為に関して意見の不一致が有る場合には、原則として主治医の意見を尊重するべきである。歯科医師間での医療行為に関する論争は歯科医師の間で解決されるべきものであり、患者を巻き込んではならない。

(転医による矯正治療の継続)
第35条 患者の転居又は会員の事故(病気、死亡など)などの理由により患者が転医を必患とする場合には、会員は次のようなことに留意しなければならない。
1.治療の継続を依頼する会員は必要資料を依頼先の歯科医に送る。
2.治療の継続を依頼された会員は、転医患者の矯正装置を変更する場合、その理由や加算料金などについて十分に説明し、患者の信頼を失わないように留意する。また前医の診断や治療内容に関して状況不明の場合は相互の連絡や意見の 交換をする。
3.転医に際しての矯正費用の返金については別途定める指針を参考とする。

 

 

 

— 健康,病気,障がい の概念

 病気,病(やまい),疾患,障がい の概念

 Sickness / illness / disease

 

☛ 日本の健康概念の歴史

人が健康で長生きすることの意義・目的はなにか?

なぜ健康でなくてはいけないのか?

 

武士道:武士道といふは,死ぬ事と見付けたり.

 

 

 

 歯列不正(見た目の問題),不正咬合(咬み合わせの問題),顎口腔機能障害では? 

 

 

— 医学と医療

 医学 medicine, medical science とは学問であり,真理探究を目指す科学

 医療 health care, medical treatment とは行為であり,患者を癒すための実践

 医療は,簡単に言うと,「人が他人を治す」 という社会的実践です.それは,共同体の中の社会的,文化的行為であり,共同体の中の構成員が病的状態,不適応状態になった場合,その共同体が持っている富,技術,知識という社会的資産および労働力をもって,その不適応になった個体が,適応状態になれるように,または,生存し続けるように治療・世話をすることです.動物でもやるような,自分が怪我をして,自分でその部位を舐めて治療するようなプライベートな行為は 医療 としません.

 医療 を実践するためには,知識や経験が必要です.病気を認知して,原因を同定・追求し,対処方法を提示する知識(理論群・理論体系)が 医学 です.先に 医療 があって,医学 はその 医療 を効率よく実践するために意図的に編集された知識体系である.「医療」は人類の歴史とともに古く,連綿とつづいているのに対して,「医学」は時代と共に変化している.(中川米造)

 

 

― 近代医療の特徴

1.      実践形態(場)としての「病院」

2.      合理的医学(理論)としての「科学的医学」

3.      国家と専門家による権力としての「制度的医療」

4.      医療産業を包摂する「産業としての医療」

 

 

― 近代医学(理論)の特徴

1.      方法論的に擬態化した「科学的医学」

2.      病気の科学的実在を指定する「科学的個体病理学説」

3.      医学理論の支配的パラダイムとしての「生物医学」

4.      特定の病因を措定する「特定病因論」

疾患には,その疾患に特定の原因があり,その特定の原因によってのみ,その疾患は引き起こされる

 

 

― 医療と社会,医学研究,公衆衛生

Public health と 公衆衛生

Hygiene 衛生 長與専齋 「松香私志(1902)」

衛生

公衆衛生 Social medicine

保健学 Public Health

公衆衛生の本質は,社会正義である.

 

★口腔衛生の課題:

Oral diseases: a global public health challenge
The Lancet, Vol 394, Issue 10194, P249-260, July 20, 2019.

Ending the neglect of global oral health: time for radical action
The Lancet, Vol. 394, Issue 10194, P261-272, July 20, 2019

 

口腔衛生オーラルヘルスケアの中での歯列矯正

 

 

― 公衆衛生の倫理

 

公衆衛生 Public Health とは何か?

Public health is the science and the art of preventing disease, prolonging life, and promoting physical health and efficiency through organized community efforts for the sanitation of the environment, the control of community infections, the education of the individual in principles of personal hygiene, the organization of medical and nursing service for the early diagnosis and preventive treatment of disease, and the development of the social machinery which will ensure to every individual in the community a standard of living adequate for the maintenance of health.
公衆衛生とは、環境の衛生、地域社会の感染症の制御、個人衛生の原則に関する個人の教育、疾病の早期診断と予防的治療のための医療及び看護サービスの組織化、並びに健康の維持に十分な生活水準を地域社会のすべての個人に保障する社会機構の発展のために、地域社会の組織的努力を通じて、疾病の予防、生命の延長、身体の健康と効率の向上を図る科学及び技術である。

Winslow, C.-E.A. THE UNTILLED FIELDS OF PUBLIC HEALTH. Science 51:23-33,1920

 

 

 

 

― 健康格差と正義

 

健康日本21<平成12年度~平成24年度>

各論

3 休養・こころの健康づくり

はじめに

 こころの健康とは、世界保健機関(WHO)の健康の定義を待つまでもなく、いきいきと自分らしく生きるための重要な条件である。具体的には、自分の感情に気づいて表現できること(情緒的健康)、状況に応じて適切に考え、現実的な問題解決ができること(知的健康)、他人や社会と建設的でよい関係を築けること(社会的健康)を意味している。人生の目的や意義を見出し、主体的に人生を選択すること(人間的健康)も大切な要素であり、こころの健康は「生活の質」に大きく影響するものである。

☛ 歯列矯正を受けられない子供たちのこころの問題,生活の質,幸福追求権,健康格差について

 こころの健康には、個人の資質や能力の他に、身体状況、社会経済状況、住居や職場の環境、対人関係など、多くの要因が影響し、なかでも、身体の状態とこころは相互に強く関係している。
 心身症という名称があるように、以前から、ある種の疾病の発症や進展に心理的な要因が影響することことが知られており、最近ではこの関係が実証されてきている。例えば、ストレスが多いと風邪などの感染症にかかりやすくなること、心臓病などの病気にかかりやすい性格や行動があること、などが有名である。
 こころの健康を保つには多くの要素があり、適度な運動や、バランスのとれた栄養・食生活は身体だけでなくこころの健康においても重要な基礎となるものである。これらに、心身の疲労の回復と充実した人生を目指す「休養」が加えられ、健康のための3つの要素とされてきたところである。さらに、十分な睡眠をとり、ストレスと上手につきあうことはこころの健康に欠かせない要素となっている。
 うつ病はこころの病気の代表的なもので、多くの人がかかる可能性を持つ精神疾患であり、自殺のうち、かなりの数はこのうつ病が背景にあると考えられている。こころの健康を維持するための生活やこころの病気への対応を多くの人が理解し、自己と他者のために取り組むことが不可欠である。

基本方針

現状と目標

目標値のまとめ

対策

参考文献

 

6 歯の健康   ☛ 健康政策のなかに,もっと上流にある歯科矯正を含むことができなかった理由,医療倫理の視座から議論.

はじめに

 う蝕及び歯周病に代表される歯科疾患は、その発病、進行により欠損や障害が蓄積し、その結果として歯の喪失に繋がるため、食生活や社会生活等に支障をきたし、ひいては、全身の健康に影響を与えるものとされている。また、歯及び口腔の健康を保つことは、単に食物を咀嚼するという点からだけでなく、食事や会話を楽しむなど、豊かな人生を送るための基礎となるものである。
 これら口腔と全身の健康の関係を実証的データとしても明らかにしていくため、平成8年より厚生科学研究「口腔保健と全身的な健康状態の関係に関する研究」が実施されており、80歳高齢者を対象とした統計分析等から、歯の喪失が少なく、よく噛めている者は生活の質および活動能力が高く、運動・視聴覚機能に優れていることが明らかになっている。また、要介護者における調査においても、口腔衛生状態の改善や、咀嚼能力の改善を図ることが、誤嚥性肺炎の減少や、ADLの改善に有効であることが示されている1)。
 従来の歯科保健対策は、小児期におけるう蝕予防対策を中心として実施されてきており、その結果、乳歯のう蝕は明らかに減少かつ軽症化の傾向を示し、永久歯の一人平均う歯(むし歯)数も、20歳頃まで減少傾向が認められるなど着実に成果が上がってきているといえる。
 しかし、13歳でう蝕有病者率が90%を越え、55~64歳で歯周病の有病者率が82.5%となるなど、依然、歯科疾患の有病状況はう蝕、歯周病ともに他の疾患に類を見ないほど高率を示している。また、咀嚼能力に直接的な影響を与える歯の喪失状況についても、60歳代で半分(14歯)の歯を失い、80歳代では約半数の人がすべての歯を喪失している2)など、国民の保健上から依然として大きな課題である。

基本方針

現状と目標

目標値のまとめ

対策

(2)専門家等による支援と定期管理
 う蝕および歯周病の原因となる歯垢の除去は、歯の形態や歯列の状況などから、自己管理のみで完全に行うことは困難である。そのため、これらの疾患を予防し、実際に歯の喪失防止に結びつけるためには、自己管理に加えて、専門家による歯石除去や歯面清掃、予防処置を併せて行うことが重要である。
 実際に、歯科医師、歯科衛生士による適切な予防処置(フッ化物応用、予防填塞(フィッシャーシーラント)、歯石除去や歯面清掃等のプロフェッショナルケア)を組み合わせて行うことがう蝕および歯周病を予防し、歯の喪失を減少するのに有効であることが、多くの研究から明らかにされている27),28),29),30)。

☛ う蝕や歯周病の要因でもある歯の位置異常,歯科矯正治療の適用が欠けているのはなぜか?

☛ 口腔の健康管理の政策として,諸外国(UHC参照)との比較,歯列矯正の保険適応について議論する. 

参考文献

 

不正咬合と健康への影響(教科書より)
2012 第3版 新しい歯科矯正学 永末書店2019 第6版 歯科矯正学 医歯薬出版 
 A 生理的障害
   ① 咀嚼機能障害
   ② 発音障害
   ③ 顎骨の発育に及ぼす障害
   ④ 齲蝕発生の誘因
   ⑤ 歯周疾患の誘因
   ⑥ 外傷の誘因
   ⑦ 補綴修復を困難にする
   ⑧ 顎関節症の誘因
 B 心理的障害
 ① 齲蝕の誘因
 ② 歯周疾患の誘因
 ③ 外傷の誘因
 ④ 歯根吸収の誘因
 ⑤ 咀嚼機能障害
 ⑥ 筋機能障害
 ⑦ 顎骨の発育異常
 ⑧ 発音障害
 ⑨ 審美的な欲求と心理的な背景
 

 

 

 

― 健康の社会的決定要因

 

健康格差は個人の責任か?

各人の健康は,個人の選択だけでなく社会制度によっても左右される.

社会疫学:健康の社会的決定因子の研究分野.

歯列矯正の受診率:所得,社会,環境

 

国民健康・栄養調査

昭和20年以降,毎年実施されている調査.調査結果は,生活習慣病や栄養・食生活に関する基準の策定など,健康づくり対策を進める上での資料として,健康日本21の数値目標の達成状況を知るため,などに活用される.

歯科については,

平成16年 国民健康・栄養調査

歯の本数とかんで食べる時の状況 

平成21年度:歯の健康に関する状況

1.歯の本数(20歯以上の割合)
2.進行した歯周炎の状況
3.過去1年間の専門家による支援と定期管理の状況
4. 咀嚼の状況
5. 子どものむし歯の予防の状況
6. 幼児の甘味食品・飲料の飲食状況

平成23年度:歯の健康に関する状況

1.入れ歯の使用状況
2.歯科健康診査や専門家による口腔ケアの受診頻度
3.咀嚼の状況

平成24年 国民健康・栄養調査

1. 歯科健診受診の状況

平成25年 国民健康・栄養調査

咀嚼の状況/嚥下の状況

平成26年 国民健康・栄養調査

歯・口腔の健康に関する状況

平成27年 国民健康・栄養調査

歯・口腔の健康に関する状況

平成28年 国民健康・栄養調査

歯・口腔の健康に関する状況

歯科健診受診の状況

平成29年 国民健康・栄養調査

高齢者の健康・生活習慣の状況

歯・口腔の健康に関する状況(かんで食べるときの状態と歯の保有状況)

平成30年 国民健康・栄養調査 >> 所得等社会経済状況との関連を重点項目とす.

歯・口腔の健康に関する状況

かんで食べるときの状態と歯の保有状況

令和元年 国民健康・栄養調査

歯・口腔の健康に関する状況

何でもかんで食べることができる割合

 

 

平成30年「国民健康・栄養調査」の結果
~所得により生活習慣や食生活に差~

平成30年11月に実施した「国民健康・栄養調査」では,毎年実施している基本項目に加え,重点項目として,所得等 「社会経済状況」 と生活習慣等に関する状況を把握するための状況調査が行われた.

世帯の所得を,
 ① 200万円未満、
 ② 200-400万円未満
 ③ 400-600万円未満
 ④ 600万円以上

の4つに分けて世帯員の

 1. 食生活
 2. 運動
 3. 喫煙
 4. 飲酒
 5. 睡眠
 6. 健診
 7. 体型
 8. 歯の本数

の状況を比較した.

8. 歯の本数 の結果は,以下のとおり.

その結果,歯の本数が20歯未満と回答した者の割合は,世帯所得が 600 万円以上の世帯員に比較して,男女ともに200万円未満の世帯員で有意に高かった(6項:表2).男女別でみると,男性は 200 万円未満,200-400万円未満 及び 400-600万円未満の世帯員で,女性では 200 万円未満 及び 200-400 万円未満の世帯に歯の本数が少ない者が多いことが有意に示されてた.

健康の社会的決定要因として,社会経済状況による必要な歯科医療へのアクセス障壁の存在が示されている.

 

日本公衆衛生雑誌 64巻 (2017) 4号 p.190-196
高齢者における所得格差と残存歯数の関連:JAGES2013新潟市データ

【結論】 高齢者の残存歯数は永久歯への生え変わり以降,長い時間をかけて形成されたものであり,機序は明らかではないが,所得分配の不平等が住民の健康状態を決めるとする相対所得仮説は,今回対象となった高齢者の残存歯数において支持される結果であった。

 

医療経済研究とQOL -咬合治療における医療保険導入-

医療経済研究とQOL -咬合治療における医療保険導入- 2

歯並びの歯科矯正治療への医療保険適用に関する財政的考察
日本経済政策学会特集号 経済政策ジャーナル Journal of economic policy studies
日本経済政策学会 編 6(2) (通号 62) 2009 p.96~99

 

例題:

「健康」は,遺伝子や生活習慣など生物学的要因だけでなく,「社会的要因」の影響を受けます。個人の所得や家族状況,友人とのつながり,国の政策や職場・コミュニティーでの人のつながりなどを「健康の社会的決定要因(Social Determinants of Health, SDH)」と呼びます。健康の社会的決定要因に関して,医師としてできることは何でしょうか?日本語1200字以内で述べてください。 (慶應義塾大学 2020/2021年度帰国生対象入学試験問題 医学部 エッセイ 2)

 

例題:

医療分野では,技術革新による診療の機械化・自動化が急速に進む中で,患者のNarrative(語り)への理解を基にしたNarrative based medicineの実践が重要視されています。患者のnarrativeとは,患者が医療者との対話の中で,病気になった理由や経過,病気について今どのように考えているかなどについて語ることを指します。患者のNarrativeが患者自身や医療者にもたらす意義について,あなたや周囲の体験を基に,あなたの考えを1200字以内で述べてください。(慶應義塾大学 2021/2022年度帰国生対象入学試験問題 医学部 エッセイ 2)

 

 

 

― 医療と医学研究,インフォームドコンセント(IC)

I.C.の歴史:

 ●医療の場合 → 個別事件における裁判所の判断に積み重ねによる法原則の確立

米国;シュレンドルフ対NY病院協会事件(1914),サルゴ事件(1957)....

日本;長崎地方裁判所判決(昭和5),東京地方裁判所判決(昭和46),最高裁判所判決(昭和56)

 

 ●医学研究の場合 → ナチス,731部隊など人体実験から

  ニュルンベルグ綱領ヘルシンキ宣言 などによる原則の確立

 

医療と医学研究(医療行為,患者の研究資料採得におけるI.C.)Q&Aより

Q23 二期治療症例において二期治療開始前のレントゲンや模型にブラケットやバンドが装着されている症例を提出することはできますか?

ブラケットやバンドが装着されている場合はその理由を記録簿に記載してください。提出症例にすることはできますが、減点の対象となります。例えば,バンドが装着されている状態でのレントゲン撮影では隣接面カリエスの確認ができません。バンドを装着している歯はカリエスリスクが高いので、二期治療前の審査ではバンドを一時撤去して視診なども合わせてバンドの下部や隣接面にカリエスが存在しないか確認する必要があります。例外的に保険診療においては、二期治療開始前のレントゲンや模型にブラケットやバンドが付いていることは減点対象となりません。

Q24 動的処置終了時のレントゲンでバンドやブラケットが装着されて状態で撮影されたものは提出できますか?

動的処置終了時には動的治療に用いた装置が除去されたレントゲンが必要です。従って減点の対象となります。例外的に保険診療においては、動的処置終了時のレントゲン撮影にブラケットやバンドが付いていることは減点対象となりません。

Q25 動的処置終了時の模型でバンドやブラケットが装着されて状態の模型は提出できます?

模型に関してはブラケット撤去前に咬合の精査のために作成することは臨床上良く行われます。印象自体に多少の患者負担がありますが、レントゲンと違い為害作用はありません。従って保険診療の患者においてもブラケット撤去前に保険の診断のための模型模型を作製しても、ブラケット撤去後に一般の症例と同様に模型を採得することが望ましいと考えられます。従って動的治療終了時の模型にブラケットが付着している症例は保険診療の患者においては減点対象であり、一般の矯正治療患者においては提出不可症例となります。 

→ 保険診療(医療)の例外の解釈

→ 医療としての検査/医学研究としての検査,一般診療 の解釈? 

→ レントゲン撮影の目的:医療(医療倫理4原則)と 医学研究(IC),患者の同意

→ Guidelines for the use of radiographs in clinical orthodontics 第5版 2015年(BOS 英国矯正歯科学会)

End of active tooth movement
In some cases the taking of a cephalometric image a month or two before the completion of active treatment will enable the clinician to check that treatment targets have been achieved and allow planning of retention. The need to take radiographic records when the active appliance is removed should be carefully assessed for each patient and is unlikely to be indicated except for patients with severe malocclusions.

Post treatment
The clinical justification for radiographs after treatment or at the end of retention is difficult to define and has to be assessed for each patient. They may be indicated in patients where stability is uncertain either as a result of a specific type of treatment or because unfavourable growth is anticipated. Radiographs may be required if there are clinically observed changes at the end of retention in order to provide a baseline from which to assess further movement. The need for such radiographs must be clearly explained to the patient or parent and consent obtained.

Ideally every radiograph should be benefit to the individual patient, but the practice of orthodontics has benefited from the analysis of post-treatment cephalometric views. If images are to be taken after treatment, or after retention, for all patients this must be part of a long-term research project. Such a project must be designed to improve the clinician's understanding of malocclusion and therapeutics and the information gained is used for the benefit of the population at large. Approval for a correctly structured research programme should not be difficult to obtain (see Section 12).

 

→ 医療行為:動的処置と保定

公的医療保障制度においては,平成28年の診療報酬改定によって,「保定を開始したとき」 から 「保定を開始するとき」 に変更された.

この改訂により,保定時のレントゲン照射は医学研究から医療目的へと解釈可能となった.

 

平成26年厚生労働省告示第57号 診療報酬の算定方法の一部を改訂する件 

別表第二 歯科診療報酬点数表 第13部 歯科矯正 59ページ

N000 歯科矯正診断料,N001 顎口腔機能診断料

2 歯科矯正診断料(顎口腔機能診断料)は、歯科矯正を開始したとき、動的処置を開始したとき、マルチブラケット法を開始したとき、保定を開始したとき及び顎切除等の手術を実施するときに、それぞれ1回を限度として算定する。

 

平成28年厚生労働省告示第52号 診療報酬の算定方法の一部を改訂する件 

別表第二 歯科診療報酬点数表 第13部 歯科矯正 67ページ

N000 歯科矯正診断料,N001 顎口腔機能診断料

2 歯科矯正診断料(顎口腔機能診断料)は、歯科矯正を開始するとき、動的処置を開始するとき、マルチブラケット法を開始するとき、保定を開始するとき及び顎切除等の手術を実施するときに、それぞれ1回を限度として算定する。

 

 

 

― グローバル ヘルス

健康と貧困

健康と公平と健康格差

健康とジェンダー,民族性

健康は人権でる

すべての国民に負担可能な費用で医療サービスを提供すること,また過大な医療費用によって経済的破綻に陥ることがないように国民を保護することは,国家の義務である.

 

グローバルヘルス戦略推進協議会

 

 

― 西洋の学問体系

リベラルアーツの本義は,人間が奴隷ではない存在,すなわち自由人であるために必要とされる学問を意味する言葉で,liberal という形容詞には,「人を自由にする」,「開放する」という動詞的な意味が込められており,人間を種々の拘束や強制から解き放って自由にするための知識や技能を意味する概念とのことである(大人になるためのリベラルアーツ).

これを読んだ時,「猿の惑星」という映画を思い出した.1968年の映画で小学校1-2年生だった.当時の小学校は,学年全員100人ぐらいで映画館へ見に行く課外授業があった.日本沈没なども見に行ったことを覚えている.その映画の中で,声が出なくなった主人公の人間テイラー(チャールトン・ヘストン)が,捕らえられた檻の中で人間であることを証明するために地面にhelpという文字を書くと,これを見た猿の考古学者コーネリアスが気づき助け出すきっかけになった.古代の奴隷制度など,西洋人にとってリベラルアーツのシーンであることを理解.

 

リベラルアーツとは

 

リベラルアーツ

 

Artthings humans made 人間が作りしもの( ⇌ nature, science; things God made 自然).

Science:自動的に「科学」という語に翻訳されることが多いがscienceは,ラテン語の <scientia> を語源として14世紀ごろ,英語やフランス語として用いられるようになった.ラテン語の <scientia> は,<scio> という動詞の抽象名詞で「知る」ということであり「知識」を指し「学問」を意味する.

 

 

― 制度的医療

近代社会での医療の制度化,正規医療とも呼ぶ.近代医療の制度化.

それまで法的根拠のなかった医療・医学・医師に関して,あらたに法的根拠を与え,医療法制(法制度)をつくること.医師・歯科医師の国家資格化.

ドイツにおける医学教育と医師国家試験

海外の専門医制度(アメリカ,イギリス,韓国,ドイツ,フランス)

license (US spelling of license / licensure)

qualification

certificate, certification

registration

 

日本専門医機構

日本歯科専門医機構

 

 

― 西洋諸国における制度的医療としての矯正歯科の位置

☛ ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC) へ記載

すべての人々が基礎的な保健医療サービスを、必要なときに、負担可能な費用で享受できる状態

・ 主要国の医療保険制度(歯列矯正)の概要

(出典:厚生労働省資料:医療保険制度に関する国際関係資料について.OECD加盟国の保健医療費の状況 2018年)

歯列不正,顔貌の不正は健康上・外見上の問題であり,社会の中にインクルージブすべき,公平・平等な制度的医療として,OECD諸国では公的保険制度による保険医療サービスが享受されている.

英国:

フランス:

ドイツ:

イタリア:

カナダ:

アメリカ:

ロシア:

 

文化背景,医療化の歴史など

 

 

 

― 誰の歯科矯正治療を優先するべきか?

治療必要度数(IOTN: Index of Treatment Need )の背景(イギリスの事例から)

① シャンシエフ報告書(Schanschieff Report)について:

The Schanschieff report. Br Dent J. 1986;160:315.

1980年代中頃までの英国は,複数の矯正歯科団体が乱立する我国の状況と類似する部分もがある.この当時,不必要だったり,不十分な治療結果の多くの患者の存在についての社会的問題が提起され,当時の厚生大臣の依頼で1986年に報告書(Schanschieffレポート)がまとめられた.その内容はこの懸念を十分示すものであったのであるが,これに対してそれぞれの各学会は危機感をもち強くその内容を非難した.

(下記文献より引用)1969年から1974年まで、スティーブンはBSSOの名誉書記を務め、当時分裂していたイギリスの矯正歯科専門医の長所と短所を見抜く力を身につけました。彼はBSSOの会長(1976-1977)、コンサルタント矯正医グループの会長(1979-1981)、そして再編成されたBSSOの第2代理事長(1984-1987)に就任しました。この最後の任期中に、Schanschieff Committee of Enquiry into Unnecessary Dental Treatmentの報告書が発表され(1986年12月)、スティーブンは、英国の4つの矯正歯科学会を代表して、その報告書の根拠のない結論の多くに反論する合同委員会の立ち上げに重要な役割を果たしました.

1975年、スティーブンはBSSOの将来について、遠大な視野に立ったディスカッションペーパーを提出し、BSSO評議会に統一を提唱しました。この論文はその後、英国の他のすべての矯正歯科学会にコピーされました。しかし、1986年にSchanschieff Reportが出版されるまで、ほとんど進展はなく、最終的に彼のアドバイスに従って統一する必要性をすべての関係者が確信し、1994年10月2日に統一英国矯正歯科学会の最初の会合で頂点に達しました。1996年、スティーブンは2代目BOS会長に就任しました。

 

イギリスにおける専門職として歯科矯正学の成立.英国矯正歯科学会の役割
The emergence of orthodontics as a speciality in Britain: The role of the British Society for the Study of Orthodontics.
Taylor, G.S., Nicolson, M.
Medical History. 51(3): 379-398, 2007

 

British Orthodontic Society, (2002). A History of the British Orthodontic Societies. London: British Orthodontic Society.

 

② シャンシエフ報告書の余波

 

The development of an index of orthodontic treatment priority
European j orthodontics 11: 309-320, 1989.
Peter H. Brook and William C. Shaw

Schanschieffレポートを受けて,マンチェスター大学のBrookとShawは,スウェーデン歯科医師会が使用していた治療優先度の指標に基づいて,治療必要度数(IOTN;Index of Orthodontic Treatment Need)を開発した.

 IOTNは、不正咬合による歯や周囲組織の完全性に対する潜在的リスクのうち最も高いものに従って、矯正治療の必要性を評価する.1990年までに病院での治療に採用され、2006年からはプライマリーケアでNHS治療を受ける患者を定義するようになった.当初は不正咬合の軽い患者の不必要な治療を避けるために使用されていたが,2006年以降は,医療資源の配分の視点から,治療サービスを公平かつ透明な方法で割り当てる際のふるいとして使用されるようになった.

 IOTNの導入により,矯正歯科医は矯正治療の必要性の評価を標準化でき,さらに歯科公衆衛生の見地からも,歯列矯正の供給計画を立てるためのツールと認識されている.

 IOTNには、歯科保健要素(DHC)審美要素(AC)の2つのカテゴリーがある.

Who needs orthodontic treatment? Who gets it? And who wants it?
Z. Jawad, C. Bates & T. Hodge
British Dental Journal 218: p.99–103, 2015.

The development of a guide to borderline orthodontic need
Sampson A, Jeremiah HG,Lai NN & Kirschen R
Progress in Orthodontics 23:13 (2022)

 

ドイツ口腔保健省の報告書 

IGES Institute (2018) Orthodontic treatment measures
Kieferorthopädische Behandlungsmaßnahmen

 

治療品質基準についての各国のガイドライン

ドイツ矯正歯科学会

Qualitätssicherung in der Kieferorthopädie
J Orofac Orthop 2019 80:279–288

A+ 優れた結果,いかなる制限もない達成可能な最高の結果.
A  良い結果、普通は目指すべき
B  望ましい結果が十分に達成されておらず、改善の余地がある。
C  目標とする結果が得られていないため、改善が必要

検査結果の評価
治療計画の評価
治療経過の評価
治療結果の評価
保定中の評価
総合的な評価

 

Ideal treatment timing of orthodontic anomalies—a German clinical S3 practice guideline
J Orofac Orthop (2022) 83:225–232

 

ドイツの KIG 基準 (= Kieferorthopädische Indikationsgruppen、治療の必要性に関するドイツの指標)

 

PAR Index

Evaluation of treatment and post-treatment changes by the PAR Index
European Journal of Orthodontics, 19(3) 1997: 279–288

 

 

― 歯科矯正(歯の位置,歯列異常への医学的介入)に適切な時期

ドイツにおける診療ガイドライン

 

 

 

― 我国の歯科矯正の治療品質評価と諸外国の比較

 

諸外国の治療ガイドライン

 ‣ドイツ

 ‣イギリス

 ‣アメリカ

 

日本における不正咬合の発現頻度(IOTN)

日本におけるIndex of Orthodontic Threatment Needを用いた不正咬合の疫学調査
Orthod Waves-Jpn Ed 2009; 68(3): 142-154

小学6年~中学1年生(新潟県農村部3校と市内中心部1校,首都圏近郊埼玉県1校,東京都心部1校,福岡県農村部1校の計7校)の口腔内診査を矯正歯科医3名が実施した.653名のうち同意が得られた497名について実施され,歯列矯正経験者72名を除外し,425名について調査したところ,Grade4以上の歯列矯正の必要となる者は35.5%であった.

 

咬合異常による社会心理学的影響と矯正治療必要度の調査

 

 

 

― 医療保険の基礎理論

医療保険制度の体系

経済的特徴

医師誘発需要理論

情報の非対称

モラル ハザードの問題と対応策

逆選択

 

Ethical considerations regarding the timing of orthodontic treatment
Laurance Jerrold
AJO-DO, 113(1) p.85-90,1998.

A. Moral hazard in health insurance: What we know and how we know it.
Einav, L. and Finkelstein A.
J European Economic Association, 16(4): 957-982, 2018.

Ethics for orthodontists
Wendy E. Mouradian, M. Lena Omnell, and Bryan Williams
Angle Orthod (1999) 69 (4): 295–299.
Abstract: 子どもの最善の利益や未成年者の意思決定における倫理的問題について,口唇口蓋裂の児童で,医学的適応ある矯正歯科治療を受けるため両親が来院しなかったケースを紹介.患者の利益,危害の回避,両親の意思尊重の必要性など,このケースでの倫理的特徴が議論され,米国歯科医師会および米国医師会の倫理規定が参照される.倫理的ジレンマとして,矯正歯科医の子供に対する義務,親の自律性尊重との葛藤.親の自主性は、子供に重大な危害を及ぼす可能性がある時点まで尊重される.歯科矯正医の第一の倫理的責任は,両親ではなく子供に対するものであり,医学的適応ある治療を提供する歯科矯正医は,親の意思決定が問題となる場合,頭蓋顔面チームまたは病院のソーシャルワーカーを関与させるべきである.

Ethical dilemmas in orthodontics
BJMMR, 16(3): 1-8, 2016.
Abstract: 歯科矯正医が子どもの最善の利益を擁護する際に直面しうる倫理的ジレンマの一例としての臨床事例.5歳の女児.乳歯列期の反対咬合を主訴に私のクリニックに来院した.矯正歯科医が考える子どもの利益と、親の自主性を尊重する必要性との間に葛藤がありました。母親は矯正治療の効果に疑問と不安を抱いており、この年齢で娘の治療を開始することに消極的であった。矯正歯科治療において重要な人間的価値があるにもかかわらず,矯正歯科医が治療中に遭遇する倫理的問題は絶え間なく存在する.これらの価値観には、痛みの防止、通常の会話や食事のための口腔機能の維持と回復,患者の身体的外観の維持と回復,および自分自身の健康に対するコントロールと責任の感覚の促進が含まれる場合がある.歯科矯正医が扱うのは主に子供であり,倫理的な問題が発生するのは、特に道徳的な不確かさがある場合です.医学と歯学の倫理的伝統と行動規範は、歯科矯正医が金銭的な取り決めに関係なく患者の利益のために行動すること、そして時には自分自身を危険にさらすことさえも要求している。小児の場合、この患者への関心はさらに顕著となり、患者の意思を尊重するという歯科矯正医の関心と相反する場合がある。

 

 

― 医療化

医療的問題でなかった事象が,近代医療の問題として取り扱われ,治療の対象となっていくことを指す.近代医療がその対象領域を拡大していくという近代医療独自の現象で,他の医療にはあまり見られないもの.この医療化現象は,医療の制度化以前にも見られていたが,医療の制度化を機に,制度化された医療権力によって大々的に見られるようになる.医療の制度化による「素人(自身)のによる医療行為の禁止」という「専門家支配」が医療化を推し進めているともされる.

   ⇒ 妊娠,出産,死,肥満,喫煙,生活習慣

 

 

― 特定病因論

多重病因論,リスクファクター(危険因子)概念

 確率論的病因論によるリスクファクター選択の恣意性

 

 

― 矯正歯科医療とはなにか.

    矯正歯科医療の価値 / ☛ 矯正歯科治療の目的と意義

   1947:高橋新次郎

不正咬合並びにこれに依りて招来される顎骨の異常,乃至は顔貌の不正(勿論顎骨の異常が原因で不正咬合を生ずることも多いが)等は單に患者の咀嚼,發音等の諸機能を阻害するにのみならず,患者自身の精神上にも頗る重大な影響を及ぼし,これがため自らを卑下し,社會生存上常に大なる損失を招きつゝあることは吾々經驗するところである。例へば圖1-2のやうな甚だしい不正咬合に於いては,その顔貌上に及す影響も極めて大であつて患者自らもその點に關し,懊惱苦悶せることは明らかである。かくの如き場合に於ける矯正施術の目的は,單に齒牙の正常なる機能を恢復するばかりでなく,進んで顔面の不正おも改善することにより,より重大な意義を有することは明である。顔貌の不正は患者自身の精神上にも架る

顔貌の不正の改善,well-beingの向上

 

1978:歯科矯正学実習書 実習総論 p.1 医歯薬出版 昭和53 1978

『技術を中心とした治療学の進歩は,不正咬合の治療効果を高め,治療に伴う歯根吸収などの障害を避け,術後の安定を一層確実にするための努力の表現であって,このこと自体,非難されるべきではない.しかし,一方では,技術的進歩のみが独走して,そのあとにかずかずの矛盾が残されたという面がないとはいえない.とくに,歯科矯正学の学問体系に関する総論的な考察が遅れ,矯正治療の意義と目的とは,ともすれば不明瞭となり,このため歯科矯正学は,学生諸君からも,そしてときには矯正専門医からも,あたかも美容整形技術の一部であるかのように受け取られる結果を招いている.歯科矯正学は,現在,もう一度そのあり方について考える時期に来ているといえる.そして,学問の進歩とともに,また時代の流れと社会の変化とともに,常に考え続けるものでなければならない.

 

   いくつかの不正咬合による障害の治療優先順位:西洋型,日本型の概念・価値の相違について

☛ それぞれの国の文化・社会的背景からの理解

☛ なぜ日本の歯科矯正治療学は,咬合のドグマにとらわれ続けているのか?

☛ 咬合に関するドグマ

歯科医学のなかでも咬合に関する臨床エビデンスは乏しいと言わざるを得ず,一世紀以上にわたる議論を経ても,まだまだコンセンサスが得られていない問題点が決して少なくない.そのようななかで,特に治療的咬合に焦点をあてて咬合に関して4 つの問題点を抽出し,Carlsson 名誉教授とともにそれらに対する答えを探索した.今回取り上げた各問題に対する議論の詳細は,各稿を再度確認いただきたいが,最後にCarlsson 名誉教授が強調した言葉をもって本論文を閉じたい.「良い咬合とはどのようなものか?それは快適であり,問題なく機能を果たし,長期間安定して変化しないものである.それは生理的咬合であり,決して理想咬合である必要はない.

☛ A Philadelphia Fable: How Ideal Occlusion Became the Philosopher's Stone of Orthodontics

Perhaps the principal orthodontic quest early in the 21st century should be to show clearly and irrefutably the physical, psychological, and social benefits of orthodontic treatment, since we know already that the risk of adverse reactions to modifying tooth positions and occlusion is quite low.

Fortunately, our patients understand that the aim of modern orthodontic treatment extends beyond the illusion of perfect and immutably stable occlusion. Our specialty needs to strive to place occlusion into an appropriate scientific perspective and to focus on the benefits of treatment in a broad sense. A departure from the dogma of ideal occlusion does not reduce contemporary orthodontists to “de facto cosmetologists”9 but rather frees them to enhance a patient's dentofacial appearance and, in some cases, oral function.

 

        ☛ 「歯並び」,「咬み合わせ」 の違い

 

― 疾病としての歯・歯列の位置・大きさの異常

国際疾病分類(ICD)

Application of the international classification of diseases to dentistry and stomatology 3rd ed.

1.「疾病、傷害及び死因分類」について

 疾病、傷害及び死因の統計は、各国の保健・福祉行政の企画、人口問題研究、または医学研究に重要な資料となるものであり、有用な死因統計及び疾病統計を得るためには、その統計に用いる分類が適正であることが必要である。さらに、これらの統計を国際比較するにあたっては、国際的な統一が要請されるところである。
 我が国で現在使用している「疾病、傷害及び死因分類」(昭和26年政令第127号第3条に基づく)は、厚生省大臣官房統計情報部(当時)に設置した厚生統計協議会に分野ごとの専門委員会を設け作成したものであり、平成6年10月に告示された。
 この「疾病、傷害及び死因分類」については、WHOにおいて平成2年の第43回世界保健総会で採択された国際疾病分類第10回修正(ICD-10)に準拠して作成されており、産業分類と並び我が国で重要な位置を占めている。

2.「疾病及び関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(ICD)」について

 「疾病及び関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(ICD)」とは、「国際疾病分類」とも呼称され、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や傷病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため設けられた分類である。
 この分類は、1900年(明治33年)に国際統計協会により制定されて以来、医学の進歩や社会の変化に伴いほぼ10年ごとに修正が行われてきている。第2次大戦後は世界保健機関(WHO)の所管となり世界保健機関憲章に基づいたものとなった。現在国際的には、1990年(平成2年)の第43回世界保健総会で採択されたICD-10が使用されている。

 

 

   治療としての矯正歯科医療

        ☛ 包括歯科医療としての他科との連携

 

   不正咬合の概念の多様性

       「咬み合わせが悪い」,「歯並びが悪い」 を区別して使い分けができる

          不正咬合 ≠ 咬合異常 ≠ 咀嚼機能障害 ≠ 顎機能異常 ≠ 見た目

 

    「先生! 私の歯ならびはどうしてなおした方がいいのですか?」

       ☛ 矯正歯科医療の価値,多様性を整理し,自分の言葉で伝えることができる.

 

― Clinical Practice Guidelines for Orthodontics and Dentofacial Orthopedics

Orthodontic Treatment Definition

Orthodontic treatment is defined as a complex, professionally-guided, dynamic process that alters the dentofacial complex. Aspects of treatment require recurring clinical assessments in addition to in-person interactions with each patient by an appropriately licensed dentist.

Treatment Objectives

The objectives of orthodontic treatment are optimum dentofacial function, health, stability and esthetics. While these objectives are desirable, it should be recognized that individual patients have specific problems, concerns and conditions which may prevent the attainment of optimal results in every case. Therefore, the inability to achieve some of the objectives of orthodontic treatment in a particular patient is not an indication of negligence by the dentist even when no limiting factors are reasonably evident or foreseeable.

There are situations where it is appropriate to plan the treatment to address the patient’s limited objectives provided that such limited treatment is not detrimental to the patient. Any treatment plan that does not align with the optimal goals of orthodontic treatment should be acknowledged by the patient in an informed consent.

For example, a patient may present with a highly complex problem that will require lengthy and expensive treatment to fully resolve. The patient may prefer to resolve only specific aspects of the problem thereby reducing the scope of treatment to make it simpler, shorter, less expensive. In doing so the patient achieves some positive outcomes which satisfy the patient’s objectives for seeking treatment.

 → 治療結果の多様性と到達目標についてのIC

 

Limiting Factors

Orthodontic treatment results may be affected by extenuating circumstances beyond the practitioner's control. These limiting factors should be documented in the patient's record when they are recognized and the patient/parent/guardian should be informed. The following are some although not all, potential limiting factors affecting orthodontic therapy:

1. Severity of the pretreatment condition

2. Mutual agreement to pursue limited treatment objectives

3. Abnormal skeletal morphology or growth, during or after treatment

4. Abnormal size, shape, or number of teeth

5. Aberrant tooth eruption patterns

6. Patient's failure to initiate timely treatment, continue or complete treatment

7. Compromised periodontal tissues

8. Persistent deleterious habits or abnormalities of muscle function relating to the dentofacial complex

9. Inability or unwillingness of the patient to cooperate with treatment (e.g., the wear and/or care of appliances, oral hygiene measures, diet, keeping appointments, etc.)

10. Failure to complete all recommended aspects of treatment

11. Poor quality, untimely or inappropriate integration of other recommended or required interdisciplinary dental and/or medical services

12. Disclosed or undisclosed medical complications or underlying systemic conditions

13. Transfer of patient care to or from another dentist during orthodontic treatment

14. Limitations of, or relapse following orthognathic surgical procedures

15. Patients failure to schedule and follow up with other specialists or their general 36 dentist following a referral from their orthodontist for specific conditions stated in that referral

 

 

 

― 歯科医療上の倫理

倫理が守られない,法律違反はどのようなときに起こりやすいか?

 

事例①

  例えば,スピード違反:道路交通法第22条

    見通しのよい,直線道路

      → パトカーや白バイ,他の車もいない

  規範としての制限速度が決められているので,当事者にも違反していることはわかる.

 

倫理的行動に影響を与える要因:ごまかしが見つかったり捕まるからではなく,他者からの影響.自分の属する社会・組織に容認されるかどうか.

医療社会の場合:大学病院の上下関係,クリニックでのスタッフ関係といった組織文化.

重要なのは,自分のいうことがどう反応されるか理解に努めること.問題をなじるのではなく,話し合い,改善策を一緒に考えること.

専門医にとって大切なことは,技術的な卓越性だけではなく,チームを引き込む力,全員が声をあげられるように,安全な医療を提供する,包括的な取り組みが不可欠である.

業務繁忙(医療逼迫)の回避

 

皆さまは,スピード違反(法令違反)をした(してしまった)ことはあるでしょうか?

例えば,2020年の政府統計(令和2年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について)から抜粋すると,

最高速度違反:            1,162,420

信号無視:                    635,485

駐停車・駐車禁止違反:    191,127件    など,

その他のすべての交通関係法令違反は7,167,365件    と報告されています.

【道路交通法の目的】

第一章 総則(目的)
第一条 この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。

(最高速度)

22条 車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない

すなわち,最高速度を1kmでも超えれば「速度超過違反」となりますが,違反行為の程度によって点数と罰則金が定められています.実際に検挙,取り締まりになるのは10kmを超えたような場合がほとんどです.

 

事例②

ホームページ倫理審査

日本矯正歯科学会では,2017年(平成29)6月14日に公布された第8次医療法改正を受けて,同年よりホームページ倫理審査指針を制定開始したが,審査時には修正するが,審査後には元に戻すいう方法で規制逃れする会員の存在を報告している(2021年の日本矯正歯科学会会報 Information Letter July, 2021 No.2 p.11-12, 倫理・裁定委員会 委員長 五十嵐一吉,以下,原文のまま).

なお過去4 年間のホームページ倫理審査においを通過された会員のホームページの中に明らかな違反事項が認められるものが確認されており,これらのうち悪質な修正と判定された場合は,今年度より数年にわたり毎年ホームページ倫理審査の対象とすることになりました.会員の皆様にはこのような審査対象とならないように,またご自身のホームページがガイドラインに沿ったものと
するべく確認および修正をしていただきますよう,重ねてお願い申し上げます.

☛ スピード違反と同様に,理由を考えてみる.

☛ 解決策は?

☛ 道徳教育

☛ 医療倫理

 

そもそも,我が国における矯正歯科界の課題,「国が広告可能と認める矯正歯科専門医制度」 の社会目的はなにか?

歯科医学・歯科医術・歯科医道.この3者が備わって真の歯科医療と言える.歯学は単なる自然科学(natural science)ではなく,人文科学(cultiral science)を含み,社会科学(social science)でもある.歯学を自然科学と考えて教育された者は,しばしば不道徳な行為の罠に陥りやすい.歯学は歯科医師のためにあるのではなく,病人のためにあり,国民の健康を増進するためのものでもある.社会的視座,社会科学の知識がなければ病人を社会的に健康にすることはできない.

Professionalism is the basis of medicine's contract with society. It demands placing the interests of patients above those of the physicine, setting and maintaining standards of competence and integrity, and providing expert advice to society on matters of health. The Physician Charter  プロフェッショナリズム.これは医療と社会との契約の基礎である.医師の利益より患者の利益を優先すること,「知」と「心」を高め保つこと,そして健康に関する専門的助言を社会に与えることが求められる.医師憲章

 

 

歯科医院での「倫理的気づき」の事例

  滅菌手順や操作,感染管理

  マイクロの使用,根管治療,臼歯部の修復,隣接面の治療

  歯列矯正のゴール(装置撤去の判断)

 

人間は誰しも間違える.何が正しいのか

 

善行,徳,倫理,規範が守られない場として:

 

歯列矯正治療の場合:

・規範としての普遍性ある治療ゴールが不明瞭

・患者にも治療結果,品質がわかりにくい

・見えない場所(説明不足):滅菌手順や操作,根管治療,歯列矯正の時期や器具の価値

・歯列矯正のゴール:良質かつ適切な歯列矯正とは何か

 

「不適切な歯列治療」 とは何か? なぜ起こるのか?

医療事故?

倫理的問題?

医師の勉強不足?

達成目標(標準的医療),治療上のリスク・副作用の理解不足?

安全認識・管理の不足

 

AAO(米国矯正歯科医会)では,

『歯列矯正治療は複雑な医療プロセスであり,国民にとって最善かつ安全な方法は,資格を持つ矯正歯科専門医の直接かつ継続的な指導の下で治療を行うことである』とし,以下の3点を挙げている.

a)倫理・道徳的方法による顎顔面歯列矯正の the art (術) and science(知,學)を広く世界に広めること.

b)質の高い矯正歯科治療と口腔ケアの重要性を広め,国民の利益を擁護することにより,国民の健康を増進させること.

c)矯正歯科治療の利点と矯正歯科専門医の教育の質について国民に周知すること.

 

品質管理(良質かつ適切な医療)のためには:

業務繁忙の回避(品質より目先の利益を優先)

監督指導,監査

ガイドライン

医師本人の遵法意識

使命感・責任感 プロフェッショナリズムの啓発

 

安全啓発センター

日本医療安全調査機構

ANA安全教育センター

JAL

 

医療におけるQCDS

品質(Quality)

コスト(Cost)

納期(Deliverly)

安全(Safety)

 

 

品質(Quality)安全(Safety)   納期(Deliverly)コスト(Cost)・集客(目先の利益)

目先の利益が先に立ち,医療品質の低下・医療事故につながる(業務繁忙の回避)

患者一人に適切な診察時間は?

適切な医療提供が可能な患者数は?

1日

1か月

1年

 

目先の利益(集客)に,品質・安全(安全第一)が勝ること.広告を戒める

医療広告ガイドライン

医療広告ガイドラインQ&A

 

職員の心理的安全性の確保

インシデント,アクシデント,医院の文化

報告書:目的は始末書・反省文ではない

→ 再発防止

 

背景に経営的問題:  歯科医院のコントラ使いまわし

銀座眼科事件など(2008)

 

不適切行為は,一度成功すると常習化し習慣化する

Broken windows Theory

 

不正のトライアングル理論

動機,機会,正当化の3つに働きかける

プロフェッショナリズム

安全第一

早期介入

一人一人への行動変容

 

矯正歯科医の求める価値と,国民への求める価値,情報共有と教育 

 

 

― Medicineとは:

 医学: 人体の病気についての医学

 医療: 医学の実践的な応用

 医薬: 医療に用いるくすり

 「医」: 医学+ 医療

 med·i·cine  (mĕdĭ-sĭn) n.

1.     a. The science and art of diagnosing and treating disease or injury and maintaining health.

b. The branch of this science encompassing treatment by drugs, diet, exercise, and other nonsurgical means.

2.     The practice of medicine.

3.     A substance, especially a drug, used to treat the signs and symptoms of a disease, condition, or injury.

4.     Something that serves as a remedy or corrective: medicine for rebuilding the economy; measures that were harsh medicine.

5.     a. Shamanistic practices or beliefs, especially among Native Americans.

b. Something, such as a ritual practice or sacred object, believed to control natural or supernatural powers or serve as a preventive or remedy.

________________________________________

[Middle English, from Old French, from Latin medicīna, from feminine of medicīnus, of a doctor, from medicus, physician; see MEDICAL.]

____________________________________

The American Heritage® Dictionary of the English Language, Fifth Edition copyright ©2019 by Houghton Mifflin Harcourt Publishing Company. All rights reserved.

 

 

― 米国の矯正歯科学成書の治療目的とゴール

2019 6thed. Contemporary Orthodontics – Proffit WF, et al. Elsevier Health Sciences

2019 6thed. Orthodontics Current Principles and Techniques  Graber, LW. et al.. Elsevier Health Sciences

Angle paradigm VS Soft tissue paradigmについて バッカルコリドー,スマイルアーク

 

  Purposes and Goals of Orthodontic Treatment

Orthodontics and Quality of Life

 In general, the goal of orthodontic treatment is to improve the patient’s life by enhancing dental and jaw function and dentofacial aesthetics. From this perspective, the role of orthodontics is analogous to that of several other medical specialties, such as orthopedics and plastic surgery, in which the patient’s problems often do not result from disease but rather from distortions of development. As the health care field has evolved from a disease-oriented focus to a wellness model,3 orthodontics now is viewed more clearly as a health service dedicated to establishing emotional and physical wellness. Dental and facial distortions create a disability that can influence physical and mental health. Appropriate treatment can be important for the patient’s well-being.

 

 

― 日本における不正咬合による障害の概念

2012 第3版 新しい歯科矯正学 永末書店2019 第6版 歯科矯正学 医歯薬出版
 A 生理的障害
   ① 咀嚼機能障害
   ② 発音障害
   ③ 顎骨の発育に及ぼす障害
   ④ 齲蝕発生の誘因
   ⑤ 歯周疾患の誘因
   ⑥ 外傷の誘因
   ⑦ 補綴修復を困難にする
   ⑧ 顎関節症の誘因
 B 心理的障害
 ① 齲蝕の誘因
 ② 歯周疾患の誘因
 ③ 外傷の誘因
 ④ 歯根吸収の誘因
 ⑤ 咀嚼機能障害
 ⑥ 筋機能障害
 ⑦ 顎骨の発育異常
 ⑧ 発音障害
 ⑨ 審美的な欲求と心理的な背景

 

 TMDと歯科矯正

Temporomandibular disorders and orthodontics: What have we learned from 1992-2022?https://doi.org/10.1016/j.ajodo.2021.12.011

National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine; Health and Medicine Division; Board on Health Care Services; Board on Health Sciences Policy; Committee on Temporomandibular Disorders (TMDs): From Research Discoveries to Clinical Treatment
Temporomandibular Disorders: Priorities for Research and Care.
National Academies Press, Washington, DC 2020

 

 

― 矯正歯科学における問題点

Vig PS: Orthodontic controversies: their origins, consequences, and resolution. In Melsen B, ed. Current Controversies in Orthodontics. Chicago: Quintessence, 1991; 269-310.

従来より顎顔面生物学は矯正歯科臨床と研究の唯一の科学的基盤であった.矯正臨床と顎顔面生物学では互いの興味が明らかに重複している部分はある.しかし,矯正臨床は社会的,経済的,文化的要因にも大きく関与している.「新しいパラダイム」では,それらの相互関係をすべて認め,概念的にそれらを統合し,かつ研究面で矯正学を論理的に説明することを目指している.

☛ Interdisciplinary

 VigPS

 

文化・社会的背景によって,医学的問題か医療的(社会的)問題かのとらえ方障害に対する治療優先順位が異なることを理解する

医学的問題と医療的問題のずれ: 社会的要求順位が低い

☛ 医療の目的は,延命からQOLを高めることへ移っている

 「矯正歯科学の定義」の変化を理解する.医療(矯正歯科治療)とは何か?

 

 

 

― 障害,病気のとらえ方:医療化

・日本型; 心理的障害mental disorder精神障害個人的問題?)

・米国型; 社会的障害 social handicap (社会の問題)

歯 / 咬み合わせ / 個人的問題 / 社会的問題

 日本における矯正歯科学では,歯の不正状態が与える障害と治療の意義として,精神上の重大な影響,社會生存上の重大な影響,心理的背景,あるいは心理的障害として述べられてきた.

 矯正歯科学の成書では,不正咬合の障害として「心理的障害」を明記し,「医療」目的としてQOLの向上をあげている.身体加工という医療的問題について,美容的問題への理解不足や偏見からタブー視されていないか? 

☛ 心理的背景,心理的障害とはなにか?

☛ 障害の原因について

医学モデル:

障害を個人の問題とする考え方.その人の持っている条件や身体的な課題に対して医療的な治療やケア、リハビリが必要だとするものです。

社会モデル:

社会の中で自由に生きる条件が整っていないことが障害の原因であり,社会に問題があるという考え方.生きやすい社会を作り,問題解決をする人権的観点.

☛ 我々の職業とQOLの関係について考える

 

 

― 日本における障害に関する法的整備の経過

200612  障害者権利に関する約(障害者権利条約)

障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し,障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的として,障害者の権利の実現のための措置等について定める条約.国連総会で2006/12/13採択され,2008/5/3発効.我が国では2007年9/28に署名(賛成)したが,まだ法整備などのため締結できず,下記の法整備による障害者制度の改革を行いを経て,2014年1/20に批准され,同年2/19より我が国においても効力を生じることになった.

2011年         障害者基本法の改正

2012年         障害者総合支援法

2013年         障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法

2013年         障害者雇用促進法

20141月    障害者権利条約を批准

 

 

― 障害(がい,障碍,障礙),病気,病,疾病のこと

「障害」,障礙(「碍」は「礙」の俗字

戦後に簡略字体が採用されたことから,「碍」「礙」は「害」という字となったという説は間違い

   ⇒ 「障害」は本当に「障碍」「障礙」の当て字なのか?

 「障碍」「障がい」と表現する自治体や個人もある.

 

 近年の矯正歯科学の成書では,「不正咬合による障害」と記載されている.

高橋新次郎(1947)の成書「矯正齒科學 理論と實際 第六版」では,

「阻害「矯正学の諸問題」 と記述され,「障礙」という語は見られない.

☛ 不正咬合はいつから個人の身体的障害,精神的障害と認識されたのか?

 

「障害者基本法」

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

二 社会的障壁 障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

 

 

 

 

― disease / disorder / illness / sickness について

 

 

 

 障害(がい,障碍,障礙)の原因

- Physical disability
- Visual disability
- Psychic disability
- Mental handicap
- Sensory disability
- Crippling disease 

 

 

― 障害の考え方

ノーマライゼーション

インテグレーション

ソーシャル・インクルージョ ン

☛ 障害観の変遷

 

 

 

― 健康 well-being に影響する身体障害の考え方,医療の優先順位について

 歯ならび(見た目)

 心理的障害

 こころの問題

 西洋型

 医療的問題 QoLの向上

 Soft tissue Paradigm










 噛み合わせ(機能)

 生理的障害

 からだの問題

 日本型

 医学的問題

 Angle's paradigm

 

☛ 患者さまの立場に立ち,よく聴き,理解する良好なコミュニケーション

 

 

― 医療とは

医療の目的は健康の維持です.あなたは,健康に影響する病気や症状のため,医師,歯科医師,看護師,栄養士,理学療法士またはその他の医療専門家など,かかりつけの医療提供者に診てもらうときに,医療を受けています.医療提供者はあなたの心配事を聴き,症状の原因を見つけて病気や疾患を治すための検査をします.医療提供者は検査結果をあなたにお知らせし,検査結果の意味を分かりやすく説明します.あなたは,自分の治療の選択肢について相談し,医療提供者はあなたが受ける治療の決定を助けます.医療を受けている時,あなたは「患者」と呼ばれます.

 

では,健康とは何か? 肉体的,精神的,社会的

健康でなければいけないのか? 病気とは?

    well-beingとは何か?

    QoL:

 

 

― 幸福とは何か? 【Well-being, Health, Happiness】

THE GALLUP WELL-BEING INDEX

  ² Financial

  ² Physical

  ² Purpose / Career

  ² Social

  ² Community

 

 

― 文化・社会によるWell-being

西洋型

日本型

異文化

文化とは何か

 ステレオタイプ,先入観,偏見,差別,区別,格差,多様性,違い,

沈没する船から飛び込むように指示する時の効果的な言葉

 米国人:飛び込めばあなたは英雄になります

 英国人:飛び込めばあなたは紳士です

 ドイツ人:飛び込むのがこの船の規則です

 イタリア:飛び込めば女に持てるぞ

 フランス:飛び込まないでくれ

 日本人:みんな飛び込んでいますよ

 

 

― World Happiness Report

ギャラップ社のデータを利用し,下記の指標から算出した各国のランキングが発表されている.

【方法】 The English wording of the question is: 

“Please imagine a ladder, with steps numbered from 0 at the bottom to 10 at the top. The top of the ladder represents the best possible life for you and the bottom of the ladder represents the worst possible life for you.
On which step of the ladder would you say you personally feel you stand at this time, assuming that the higher the step the better you feel about your life, and the lower the step the worse you feel about it? Which step comes closest to the way you feel?”

●国民一人当たりGDP GDP per capita

●健康寿命,健康な人生予測 Healthy life expectancies (HLE) at birth are based on the data extracted from the World Health Organization’s (WHO) Global Health Observatory data repository.

●社会的支援 Social support (or having someone to count on in times of trouble) is the national average of the binary responses (either 0 or 1) to the GWP question “If you were in trouble, do you have relatives or friends you can count on to help you whenever you need them, or not?” (原文は上記Socialであるが,良好な人間関係と翻訳したものが多い.明治の西洋文明伝来以来socialの翻訳概念には文化背景が存在する)

●人生を選択する自由 Freedom to make life choices is the national average of responses to the GWP question “Are you satisfied or dissatisfied with your freedom to choose what you do with your life?”

●大らかさ,寛容,社会貢献 Generosity is the residual of regressing national average of response to the GWP question “Have you donated money to a charity in the past month?” on GDP per capita.”

●腐敗の認識 Corruption Perception: The measure is the national average of the survey responses to two questions in the GWP: “Is corruption widespread throughout the government or not” and “Is corruption widespread within businesses or not?”

●よい感情 Positive affect is defined as the average of three positive affect measures in GWP: happiness, laugh and enjoyment in the Gallup World Poll waves 3-7. These measures are the responses to the following three questions, respectively:
“Did you experience the following feelings during A LOT OF THE DAY yesterday? How about Happiness?”
“Did you smile or laugh a lot yesterday?”
“Did you experience the following feelings during A LOT OF THE DAY yesterday? How about Enjoyment?”

●悪い感情:Negative affect is defined as the average of three negative affect measures in GWP. They are worry, sadness and anger, respectively the responses to
“Did you experience the following feelings during A LOT OF THE DAY yesterday? How about Worry?”
“Did you experience the following feelings during A LOT OF THE DAY yesterday? How about Sadness?”
“Did you experience the following feelings during A LOT OF THE DAY yesterday? How about Anger?”

☛ 文化背景,国政と密接に関連し,住む場所に深く関わっている.

 

トップ10

1. フィンランド 7.769

2. デンマーク 7.600

3. ノルウェー 7.554

4. アイスランド 7.494

5. オランダ 7.488

6. スイス 7.480

7. スウェーデン 7.343

8. ニュージーランド 7.307

9. カナダ 7.278

10. オーストリア 7.246

 

ワースト10:

1. 南スーダン 2.853

2. 中央アフリカ 3.083

3. アフガニスタン 3.203

4. タンザニア 3.231

5. ルワンダ 3.334

6. イエメン 3.380

7. マラウィ 3.410

8. シリア 3.462

9. ボツワナ 3.488

10. ハイチ 3.597

 

日本の順位: 低下中

↓ 2015年 46位

↓ 2016年 53位

↗ 2017年 51位

↓ 2018年 54位

↓ 2019年 58位 5.886

https://worldhappiness.report/ed/2019/

   ☛ 日本国という地域では人々の寿命は長い,しかし…

2019日本の内訳:

GDP                    24位

健康寿命            2位

社会支援            50位

人生選択の自由    64位

寛容さ                92位

腐敗                110位

よい感情            73位

悪い感情            143位

 

 

― 幸福

幸福の反対は不幸ではなく,退屈である. バートランド・ラッセル,幸福論(1930)

退屈は経済的豊かさを克服した後に人類が直面する最大の危機である. ケインズ

幸福とは,自分が目指す目標に向けて,その要素を獲得していける環境がある状態である.

幸福とは,自分の目標として,もっと収入を高めたい,もっと広い家に住みたい,結婚したいなどと考え,あるいはそれを支援貢献し,目標に向かって進んでいる実感である.

 

 

― 日本人の病気観

   ☛ 不正咬合は,病気か? 病気(びょうき) と 病(やまい)

   ☛ 矯正歯科医療 と well-being,健康,幸福

   ☛ 異文化による「笑顔」の意味,価値感,習慣の違い

 

 

― 心理的障害.個人の問題か 社会の問題か の位置づけ

   disease / disorder / illness / sickness について

 

 

― 健康・病気・身体に関する社会学コンセプト;医療化について

    Essential Concepts in Sociology by Giddens A.より引用.

「社会」

均質な諸個人による集まりや集合に還元できない,人びとの大規模なコミュニティの中での,構造化した社会関係や制度を記述するときに使われる概念.

「生物医学」

西洋の医学療法のことで,自覚される身体の症状に従って病気が客観的に判断され,身体の健康の回復を目指して科学的に生み出された療法が施されること.

「医療化」

体重,喫煙,睡眠,性行為,顔貌などの日常の事柄が,医療専門家が取り扱う医学的問題へと変換されるプロセス.

「病人役割」

タルコット・パーソンズによって考案された概念で,病気がもたらす社会的期待や病人の行動を説明するもの.そこから逸脱すると,サンクションや社会的スティグマが与えられる.

「障害の社会モデル」

障害に伴う不利益の原因を,個人のうちにではなく,社会とその組織のうちに探し当てようとするアプローチ

「社会的自己」

個々の人間有機体として,他のさまざまな人々の言動に対応することによって作り出される自己認識の形成.

「スティグマ」

軽蔑され,社会的に承認されないものであるとされる身体的・社会的特徴のことで,恥辱や社会的隔離・差別をもたらす.

 

 

― 医学研究とは

医学研究(または臨床研究)の目的は将来の医療の向上です.医学研究は,医師,歯科医師や研究者が人の健康と病気について知るために役立ちます.病気を予防,治療するためのより優れた方法も発見できます.臨床研究への参加は将来の人の役に立つ可能性があります.しかし,その研究が必ずしもあなたの現在の病気の症状に役に立つとは限りません.

 

 

― 医療プロフェッショナリズム

Professionalism is the basis of medicine's contract with society. It demands placing the interests of patients above those of the physicine, setting and maintaining standards of competence and integrity, and providing expert advice to society on matters of health. ― The Physician Charter

プロフェッショナリズム.これは医療と社会との契約の基礎である.医師の利益より患者の利益を優先すること,「知」と「心」を高め保つこと,そして健康に関する専門的助言を社会に与えることが求められる.

医療の実践はアートであり,顧客との取引ではない.天職であり,ビジネスではない.頭と同様に心を働かせる天職である.

 

平成28年 歯学教育モデル・コア・カリキュラム

A-1 プロフェッショナリズム

 人の命と生活に深く関わり健康を守るという歯科医師の職責を十分に自覚し、患者中心の歯科医療を実践しながら、歯科医師としての道(みち)を究めていく。

 A-1-1)  医の倫理と生命倫理

  ねらい:医療、歯科医療及び医学・歯学研究における倫理を遵守するために、その重要性を理解し、医療倫理・研究倫理に関する知識と態度を身に付ける。

  学修目標:

①医の倫理と生命倫理の歴史経過と諸問題を概説できる。
②医の倫理に関する規範・国際規範(ヒポクラテスの誓い、ジュネーブ宣言、ヘルシンキ宣言等)を概説できる。
③臨床(生と死に関わる問題を含む)に関する倫理的問題を説明できる。
④医学研究に関する倫理的問題を説明できる。
⑤情報倫理に関わる問題を説明できる。
⑥研究を、医学・医療の発展や患者の利益の増進を目的として行うよう配慮できる。

 

 A-1-2)  患者中心の視点

  ねらい:患者の安全を最優先し、常に患者中心の立場に立つとともに、患者の主体的治療参加を促すために、患者の権利を熟知し、その現状と問題点を理解する。

  学修目標:

①患者の権利を説明できる。
②患者の自己決定権を説明できる。
③患者が自己決定できない場合の対応を説明できる。
④インフォームド・コンセントの意義と重要性を説明できる。

 

 A-1-3)  歯科医師としての責務と裁量権

  ねらい:豊かな人間性と生命の尊厳についての深い認識を有し、人の命と健康を守る歯科医師としての義務と責任を自覚する。

  学修目標:

①歯科医師のプロフェッショナリズムを説明できる。
②患者との信頼関係構築の重要性を説明できる。
③医療サービスの特殊性(情報の非対称性・医療の不確実性)や治療の限界を説明できる。
④歯科医師に課せられた社会的責任と法的責任(刑事責任、民事責任、歯科医師法に基づく行政処分)を説明できる。
⑤患者に最も適した歯科医療を勧めるとともに、代替する他の方法についても説明できる。

 

平成30年 歯科医師国家試験出題基準

必修の基本的事項

医の倫理と歯科医師のプロフェッショナリズム 約2%

    ア 医の倫理、生命倫理

 a 患者の人権と医療

b 医療者の倫理(ニュルンベルグ綱領、ジュネーブ宣言など)

 イ 歯科医師と患者・家族との関係

a 患者中心の歯科医療(インフォームド・コンセント、セカンドオピニオンなど)
b 患者の権利

社会と歯科医療 約11%

 ア 患者・障害者のもつ心理社会的問題と背景

a 疾病・障害の概念・構造(社会的関わり)
b QOL<quality of life>
c リハビリテーションの理念
d ノーマライゼーション、バリアフリー
e 患者・障害者の心理と態度
f 国際生活機能分類<ICF>、国際障害分類<ICIDH>
g 疾病構造、健康格差

 イ 保健・医療・福祉・介護の制度と医療経済

a 歯科医師法、歯科衛生士法、歯科技工士法
b 医療法
c 介護保険法
d 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
e 保健・医療・福祉・介護の制度と職種
f 地域包括ケアシステム
g 地域歯科保健活動での職種の連携
h 国民医療費、社会保障費

 ウ 臨床試験・治験と倫理

a 臨床研究、疫学研究の倫理指針
b GCP<医薬品の臨床試験の実施の基準>

 エ 医療の質の確保

 a 患者満足度
b 患者説明文書、同意書
c クリニカルパス 

 

歯科医学総論 総論Ⅰ 保健・医療と健康増進

健康の保持・増進と社会保障の仕組み

 ア 健康・疾病・障害の概念

a 健康の概念
b 健康に関わる要因
c 社会環境の変化 社会的決定要因
d 疾病の自然史と対応
e 障害の概念と対応

 

令和3年2月 歯科医師の臨床研修の制度改正の概要(PDF)

      厚生労働省の動画説明チャンネル(YouTube)

歯学教育モデル・コア・カリキュラムの「歯科医師として求められる基本的な資質・能力」と「歯科医師国家試験の出題基準」には「プロフェッショナリズム」と「チーム医療」が入っているが、現在の歯科医師臨床研修の到達目標には含まれていないことから,見直師が行われ,到達目標としてプロフェッショナリズムが導入された.

― 歯科医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム

 1.社会的使命と公衆衛生への寄与

 社会的使命を自覚し,説明責任を果たしつつ,社会の変遷に配慮した公正な医療の提供及び公衆衛生の向上に努める.

 2.利他的な態度

 患者の苦痛や不安の軽減と福利の向上を最優先するとともにQOLに配慮し,患者の価値観や自己決定権を尊重する.

 3.人間性の尊重

 患者や家族の多様な価値観,感情,知識に配慮し,尊敬の念と思いやりの心をもって接する.

 4.自らを高める姿勢

 自らの言動及び医療の内容を省察し,常に資質・能力の向上に努める.

 

 

- ヘルスケアと文化

 ・さまざまな医療保障制度

政府,民間団体,労働組合,慈善団体,宗教,など

 ・財政

政府,自治体の税収,社会保険,民間医療保険,自己の負担金,寄附や慈善団体,など

      → ほとんどは上記の複合型

 

 

― 美容医療としての歯列矯正の特徴

  健康保険が使えない自費診療

  診療圏が広い

  教育システムが確立していない

 

 

― 「美容」 とは何か?

 美の概念について

 化粧

 美容整形,美容外科

 美容

 容貌の美化

 審美

 エステティック

 

「美容」という日本語が現れるのは

 

容貌:

1886年 英和實用對話 篠野乙次郎

feature 容貌 1886

 

personarity    容姿

 

 

法令上の経緯

  昭和23年に現行医療法が制定され、広告が可能な医業・歯科医業の診療科名16種の診療科名が定められ、以後昭和53年までに、17種が追加され33種となった(次頁表)。

 平成4年には、医療法改正により、医業・歯科医業において広告できる診療科名(標榜診療科名)として、医学医術に関する学術団体及び医道審議会の意見を聴いて政令(医療法施行令)で定めることとされ、それまで医療法で規定されていた33診療科名がそのまま政令に規定された。

  その後、平成5年3月に医道審議会診療科名標榜専門委員会を設置し、新たな診療科名の追加を含め、今後の標榜診療科名の在り方について検討が行われ、平成8年同審議会において5種の標榜診療科名が加えられている(あわせて理学療法科を廃止)。

 

公益社団法人 日本整形外科学会

「美容外科」は形成外科の一分野で、いわゆる「美容整形」の手術を行います。容姿を整えることが目的で、代表的な手術には、二重まぶたなど眼瞼の手術、鼻を高くする隆鼻術、顔面の首にたるみをとるフェイスリフト、腹部や臀部の余分な脂肪を取る脂肪吸引、乳房の形を整える手術、レーザーであざを消す手術等があります。その他、最近プチ整形といわれるコラーゲン、ヒアルロン酸などの注入も美容外科で行われています。
 美容外科を行う医療機関で「○○整形外科」と看板を出すこともあり、一部の患者さんに誤解されますが、「整形外科」は骨、関節、筋肉、神経など運動をつかさどる運動器の機能障害を治療する分野です。

 

 

― 美容医療の「商い」としての特殊性について

  1. 品質がわかりにくい

  2. 相場価格がわかりにくい

  3. 患者-医療従事者間での知識量の差が大きい

  4. 健康被害を生じ得る

  5. 一見の客が多い

 

 

― 健全化のための提言

  1. 医師の質

  2. 医療の質

  3. 患者との関係

  4. 広告宣伝

出典:美容医療の現状分析と健全化のための提言.形成外科,62(11):1201-1207, 2019

   特別講演 これからの美容外科,日美外会誌,53:38- , 2017 

 

 

― 医療の質

 治療結果の評価: 咬合状態を客観的に定量評価する指標

  PAR index, Peer Assessment Rating index

  ABO-OGS, American Bord of Orthodontics objective grading system

  ICON, Index of Complexity and Need

  DAI, Dental Aesthetic Index

 

 

― QOL

The World Health Organization Quality of Life Group defines it as

 “an individual's perception of their position in life in the context of culture and value systems in which they live and in relation to their personal goals, expectations, standards and concerns.”3

 It can also be described as a

 “sense of well-being derived from satisfaction or dissatisfaction with areas of life considered important for an individual.”4

☛ WHOQOL - 日本語版

 

 

― QOL測定における尺度

・health-related QOL:HRQL

人の健康に直接影響するQOLであり,身体的状態,心理的状態,社会的状態,霊的状態,役割機能や全体的well-beingなどが含まれる

・non-health related QOL:NHRQL

環境や経済や政治など,人の健康に間接的に影響するが,治療などの医学的介入により直接影響を受けない部分のQOLを意味する 6).

 

 

― 口腔関連QOLのいろいろな尺度:

General Oral Health Assessment Index(GOHAI)

Oral Health Impact Profile(OHIP)

Oral Impacts on Daily Performance (OIDP)

Oral Health-related Quality of Life Model for Dental Hygiene (OHRQL)

Orthognathic Quality of Life Questionnaire(OQLQ)

Index of orthodontic treatment need(IOTN)

child oral health impact profile (COHIP)

 

様々な口腔関連QOLの尺度が開発され,応用されている.

それぞれの尺度には特徴があり,多様な臨床および研究の条件下で標準となるものは認められていない.

 

 

—  公平と平等

日本の医療保障制度において,歯列矯正は一部の疾患を除き,公平な医療提供がなされいるだろうか.

社会保障を考えるにあたっての視点

人々が幸せに暮らすためにはどのような社会が望ましいか?

日本の社会保障の仕組み

 

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)

すべての人々が基礎的な保健医療サービスを、必要なときに、負担可能な費用で享受できる状態

 

健康 の 格差/不平等/差異/多様性

 

 

 

 

〇 西洋諸国との比較による健康概念.日本の歯列矯正の社会的位置について.

ヨーロッパ諸国の現状(社会的,文化的,経済的な概念)との比較.

仮に,良質かつ適切な矯正歯科医療を公平に日本国民へ提供する場合(ヨーロッパモデル)

・矯正歯科医療供給体制

・想定患者数:  日本におけるIOTNを用いた不正咬合の疫学調査:35.5%

学校歯科健診(注:検診ではない)

25-4 小・中学校の
学年別児童数と生徒数
(令和元年)   
学年総数
 
小学校6,368,550
1 学年1,028,675
21,043,610
31,062,235
41,064,374
51,080,561
61,089,095
中学校3,218,137
1 学年1,078,713
21,052,191
31,087,233
   
   
「学校基本調査」(5月1日現在)による。
資料 文部科学省「学校基本調査(初等中等教育機関 専修学校・各種学校)」

・施設基準と歯科医師数(専門医,認定医):

・医療倫理の学習

・財源確保

・社会的,文化的な医療健康概念(well-being, QoL),社会通念の醸成

・医学的問題と医療的問題の区別

 

― 学校歯科健診

学校保健安全法

(健康診断の方法及び技術的基準等)
第十七条 健康診断の方法及び技術的基準については、文部科学省令で定める。

学校保健安全法施行令

(検査の項目)
第二条 就学時の健康診断における検査の項目は、次のとおりとする。
六 歯及び口腔くうの疾病及び異常の有無

学校保健安全法施行規則

第二章 健康診断
第一節 就学時の健康診断
(方法及び技術的基準)
第三条 法第十一条の健康診断の方法及び技術的基準は、次の各号に掲げる検査の項目につき、当該各号に定めるとおりとする。
九 歯及び口腔くうの疾病及び異常の有無は、齲う歯、歯周疾患、不正咬こう合その他の疾病及び異常について検査する。

児童生徒等の健康診断マニュアル 平成27年度改訂 日本学校保健会

歯及び口腔の疾病及び異常の有無(p.44~)

 

4. 歯列・咬合の健康診断の判定基準について

*歯列咬合に関しては、小学校低学年から中学校にかけては乳歯から永久歯への交換が行われることと顎骨の成長発育が盛んなことから、変化の激しい時期に当たり、短時間で判断するのは容易ではない。

大切なことは、学校における歯科健康診断での判定は、矯正治療の必要性を判断するということではない。将来、口腔の健康、全身の健康にとってどのようなリスクが考えられるかを、学校保健教育の視点から教育し、認識させることが必要である。

歯列・咬合については、子どもの発達段階に応じた保健指導・健康相談を重要視し、口腔機能の発達及びその重要性、家庭との連携の視点から保健調査票の活用等について留意する必要がある。

0:異常なし
1:定期的観察が必要
2:専門医(歯科医師)による診断が必要

*矯正治療中のものは判定「1」に含む。

*判定「2」については「保健調査票」の活用により、家庭との連携・個別の保健指導や健康相談を重視し、本人・保護者等の意向により矯正治療を行わない場合等は、経過観察として管理する場合もある

 

― 令和3年版厚生労働白書

(6)歯・口腔の健康
 歯・口腔の健康は、摂食や構音などを良好に保つために重要であり、食事や会話を楽しむなどの生活の質(QOL)の向上にも大きく寄与する。厚生労働省では、1989(平成元)年から80歳になっても自分の歯を20本以上保つことにより、健やかで楽しい食生活を過ごそうという「8020(ハチマル・ニイマル)運動」を推進しており、8020達成者の割合は1987(昭和62)年の7.0%から2016(平成28)年には51.2%へ増加している。また、6月4日から10日までの一週間を「歯と口の健康週間」として歯と口の健康に関する知識の普及啓発等を行っており、この期間には全国各地の自治体や歯科医師会等が様々なイベント等の取組みを実施している。
 2011(平成23)年8月に成立した「歯科口腔保健の推進に関する法律」に基づき、国や地方公共団体が歯科口腔保健に関する施策を総合的に推進するための基本的事項を、2012(平成24)年7月に制定した。この基本的事項は、高齢化が進む中で将来を見据え、ライフステージごとの特性等を踏まえつつ、乳幼児期からの生涯を通じた歯科疾患の予防、口腔機能の獲得・保持等により、全ての国民が心身ともに健やかで心豊かな生活ができる社会の実現を目的とするものである。口腔の健康を保持するため、「歯科口腔保健推進室」が中心となり、関連施策について関係部局と部局横断的な連携を図っている。なお、2016(平成28)年度には国民の歯の健康状態を把握するため、歯科疾患実態調査を行い、そのデータをもとに、2018(平成30)年度に基本的事項の中間評価が取りまとめられた。また、2013(平成25)年度から開始した「健康日本21(第二次)」では、歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善について示している。このように「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」と「健康日本21(第二次)」はともに、各ライフステージに応じた歯・口腔の健康づくりの基本的な方向性を示している。
 各ライフステージの取組みとして、むし歯が発生しやすい時期である乳幼児期では、1歳6か月児歯科健康診査、3歳児歯科健康診査とともに歯科保健指導を行い、「食べる」機能の確立の支援を行っている。成人期では、歯の喪失を予防することを目的とし、市町村を主体として歯周疾患検診、歯周疾患の発症予防、重症化予防のための健康教育や健康相談が実施されている。高齢期では、おいしく、楽しく、安全な食生活を営めるよう、「口腔機能の向上」が介護予防として導入されている。
 また、歯の健康の取組みとして、現在、健康増進法に基づく健康増進事業として実施されている歯周疾患検診について、その実施方法を解説する「歯周疾患検診マニュアル」が最終改正後10年以上経過したことから、近年の歯周疾患検診の現状を踏まえ、「歯周病検診マニュアル2015」として、2015(平成27)年6月に改定した。さらに、後期高齢者に対する歯科健康診査を実施する際の参考として、2018年10月に「後期高齢者を対象とした歯科健診マニュアル」を取りまとめた。

 

― 歯科疾患実態調査

主な調査事項

1)性別
2)生年月日
3)歯や口の状態
4)歯をみがく頻度
5)歯や口の清掃状況
6)フッ化物応用の経験の有無
7)顎関節の異常
8)歯の状況
9)補綴の状況
10)歯肉の状況
11)歯列・咬合の状況

結果の概要:学童期の被調査者数が少ない(15-19才: 51名,総数でも3,820名).

結果については信頼性,バイアスに注意を要する.

 

― 健康日本21(二次)

国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針

(6)歯・口腔の健康
歯・口腔の健康は摂食と構音を良好に保つために重要であり、生活の質の向上にも大きく寄与する。目標は、健全な口腔機能を生涯にわたり維持することができるよう、疾病予防の観点から、歯周病予防、う蝕予防及び歯の喪失防止に加え、口腔機能の維持及び向上等について設定する。
当該目標の達成に向けて、国は、歯科口腔保健に関する知識等の普及啓発や「8020(ハチマルニイマル)運動」の更なる推進等に取り組む。

→ 口腔の清掃性向上,歯周病の予防として:歯列不正は?

 

 

― 矯正歯科医療の範囲:

 

 

 

― 歯科矯正/矯正歯科の法的位置

 日本国憲法

〔個人の尊重と公共の福祉〕
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

    幸福追求権 ⇒ プライバシー権,肖像権,自己決定権,健康を維持する権利

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

平等権 ⇒ 国民皆保険制度

第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

生存権 ⇒ 健康権

 

   法 律    政 令    府省令     条 例

  「命令」:    「政令」    内閣が制定            施行令

省令」    各省が制定            施行規則

府令」    内閣府の長官として内閣総理大臣の発す

条例」    地方自治体が制定

   実務的に,法律は 「本法」,政令は 「施行令」,省令は 「施行規則」 と呼ばれる.

           歯科医師法であれば,

歯科医師法:                本法

歯科医師法施行令:        内閣閣議

歯科医師法施行規則:    厚生労働大臣 

               法令検索(総務省)はこちら  ☛  e-GOVポータル

 

健康増進法(2003年)

歯科口腔保健の推進に関する法律(2011年)

歯科口腔保健法の制定と背景

歯科口腔保健の推進に関する法律の概要と法律に基づくこれからの展開

改正健康増進法(2020年)

 

 

 

   法 律

 医療法

第一条の二 医療は、生命の尊重個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。

2 医療は、国民自らの健康の保持増進のための努力を基礎として、医療を受ける者の意向を十分に尊重し、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設(以下「医療提供施設」という。)、医療を受ける者の居宅等(居宅その他厚生労働省令で定める場所をいう。以下同じ。)において、医療提供施設の機能に応じ効率的に、かつ、福祉サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図りつつ提供されなければならない。

 

第一条の四 医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、第一条の二に規定する理念に基づき、医療を受ける者に対し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。
2 医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。

 

 所得税法

(医療費控除)
第七十三条 居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払つた場合において、その年中に支払つた当該医療費の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)の合計額がその居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の五に相当する金額(当該金額が十万円を超える場合には、十万円)を超えるときは、その超える部分の金額(当該金額が二百万円を超える場合には、二百万円)を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
2 前項に規定する医療費とは、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう。
3 第一項の規定による控除は、医療費控除という。

 法令解釈通達 法第73条《医療費控除》関係

(健康診断及び美容整形手術のための費用)
73-4 いわゆる人間ドックその他の健康診断のための費用及び容姿を美化し、又は容ぼうを変えるなどのための費用は、医療費に該当しないことに留意する。ただし、健康診断により重大な疾病が発見され、かつ、当該診断に引き続きその疾病の治療をした場合には、当該健康診断のための費用も医療費に該当するものとする。

 

 

   政 令  

 医療法施行令

(広告をすることができる診療科名)
第三条の二 法第六条の六第一項に規定する政令で定める診療科名は、次のとおりとする。
一 医業については、次に掲げるとおりとする。
イ 内科
ロ 外科
ハ 内科又は外科と次に定める事項とを厚生労働省令で定めるところにより組み合わせた名称(医学的知見及び社会通念に照らし不合理な組み合わせとなるものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)
(1) 頭頸けい部、胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、肛こう門、血管、心臓血管、腎じん臓、脳神経、神経、血液、乳腺せん、内分泌若しくは代謝又はこれらを構成する人体の部位、器官、臓器若しくは組織若しくはこれら人体の器官、臓器若しくは組織の果たす機能の一部であつて、厚生労働省令で定めるもの
(2) 男性、女性、小児若しくは老人又は患者の性別若しくは年齢を示す名称であつて、これらに類するものとして厚生労働省令で定めるもの
(3) 整形、形成、美容、心療、薬物療法、透析、移植、光学医療、生殖医療若しくは疼とう痛緩和又はこれらの分野に属する医学的処置のうち、医学的知見及び社会通念に照らし特定の領域を表す用語として厚生労働省令で定めるもの
(4) 感染症、腫瘍しゆよう、糖尿病若しくはアレルギー疾患又はこれらの疾病若しくは病態に分類される特定の疾病若しくは病態であつて、厚生労働省令で定めるもの
ニ イからハまでに掲げる診療科名のほか、次に掲げるもの
(1) 精神科、アレルギー科、リウマチ科、小児科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、リハビリテーション科、放射線科、病理診断科、臨床検査科又は救急科
(2) (1)に掲げる診療科名とハ(1)から(4)までに定める事項とを厚生労働省令で定めるところにより組み合わせた名称(医学的知見及び社会通念に照らし不合理な組み合わせとなるものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)

二 歯科医業については、次に掲げるとおりとする。
イ 歯科
ロ 歯科と次に定める事項とを厚生労働省令で定めるところにより組み合わせた名称(歯科医学的知見及び社会通念に照らし不合理な組み合わせとなるものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)
(1) 小児又は患者の年齢を示す名称であつて、これに類するものとして厚生労働省令で定めるもの
(2) 矯正若しくは口腔くう外科又はこれらの分野に属する歯科医学的処置のうち、歯科医学的知見及び社会通念に照らし特定の領域を表す用語として厚生労働省令で定めるもの

 

 

   法 律

 歯科医師法

第十七条 歯科医師でなければ、歯科医業をなしてはならない。

第十九条 診療に従事する歯科医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。

  

  歯科口腔保健の推進に関する法律

(目的)第一条

の健康が国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしているとともに、国民の日常生活における歯科疾患の予防に向けた取組が口腔の健康の保持に極めて有効であることに鑑み、歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持(以下「歯科口腔保健」という。)の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、歯科口腔保健の推進に関する施策の基本となる事項を定めること等により、歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的に推進し、もって国民保健の向上に寄与することを目的とする。

 

   政 令  

 歯科医師法施行令

(表)診療科名の改正経過  標榜診療科の変遷

 昭和23年(医療法制定時)

 内科、精神科、小児科、外科、整形外科、皮膚ひ尿器科(又は皮膚科、ひ尿器科)、産婦人科(又は産科、婦人科)、眼科、耳鼻いんこう科、理学診療科(又は放射線科)、歯科

 昭和25年(法改正)

神経科、呼吸器科、消化器科(又は胃腸科)、循環器科、性病科、こう門科

 昭和27年(法改正)

気管食道科

 昭和40年(法改正)

脳神経外科、放射線科の独立

 昭和50年(法改正)

神経内科、形成外科

 昭和53年(法改正)

美容外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、矯正歯科小児歯科

  平成4年

医療法改正により、診療科名(標榜診療科名)については、政令(医療法施行令)で定めることとされる

  平成8年追加(政令(医療法施行令)改正)

アレルギー科、心療内科、リウマチ科、リハビリテーション科(「理学療法科」の廃止)、歯科口腔外科

 令和3年(法改正)10月1日より適用   改正の告示

一般社団法人日本専門医機構,一般社団法人日本歯科専門医機構が行う医師・歯科医師の専門性に関する認定を受けた旨.

厚生労働大臣に届け出た団体が行う医療従事者の専門性に関する認定(以下「学会専門医認定」という。)を受けた旨は,広告することができる事項から除くとされたが,改正に伴う経過措置として,① 適用期日前の学会専門医認定を受けた旨については、当分の間、なお従前の例により広告することができるものとする。

【歯科医師の専門性資格】
( 団 体 名 )                                         ( 資 格 名 )
○公益社団法人 日本口腔外科学会                口腔外科専門医
○特定非営利活動法人 日本歯周病学会         歯周病専門医
○一般社団法人 日本歯科麻酔学会                歯科麻酔専門医
○公益社団法人 日本小児歯科学会                小児歯科専門医
○特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会    歯科放射線専門医

 所得税法施行令

(医療費の範囲)

第二百七条 法第七十三条第二項(医療費の範囲)に規定する政令で定める対価は、次に掲げるものの対価のうち、その病状その他財務省令で定める状況に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とする。

 医師又は歯科医師による診療又は治療

 治療又は療養に必要な医薬品の購入

 

 歯列を矯正するための費用

【照会要旨】

 将来の就職や結婚を考慮して歯並びを矯正するための費用は、医療費控除の対象になりますか。

【回答要旨】

医療費控除の対象とはなりません。

発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける者の年齢や矯正の目的などからみて社会通念上歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象となりますが、容姿を美化し又は容貌を変えるための歯列矯正の費用は、医療費控除の対象とはなりません(所得税法施行令第207条、所得税基本通達73-4)。

将来の就職や結婚を考慮しての歯列矯正は、一般的に容姿を美化し又は容貌を変えるためのものであると認められ、この場合の費用は、医療費控除の対象とはなりません。

【関係法令通達】

所得税法施行令第207条、所得税基本通達73-4

 

 

 歯列矯正料の収入すべき時期

【照会要旨】

歯列矯正には通常数年の治療期間を必要としますが、歯科医師が歯列矯正治療を行う場合には、矯正装置の代金及び装着料のほか、その矯正治療の全期間を通ずる基本料金としての性質を有する報酬(以下「基本料」といいます。)を、治療の開始当初において患者に請求し、一括受領している事例が少なくありません。

基本料及び矯正料(以下「基本料等」といいます。)については、その収入計上時期についてどのように取り扱うべきですか。

【回答要旨】

基本料等の収入計上時期については、歯科医師と患者の契約の実態に応じ、次のとおりとなります。

1 矯正装置の装着など一定の役務の提供を行った時に基本料等の全額について請求し受領することとしている場合には、基本料等の全額についてその一定の役務の提供を了した日の収入金額とします。

2 期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて、所定の基本料等を請求し受領することとしている場合には、その期間が経過した日又はその役務の提供を了した日の収入金額とします。

3 1及び2以外の場合はそれぞれ次によります。

イ 支払日が定められている場合には、その支払日とします。

ロ 支払日が定められていない場合には、その支払を受けた日(請求があった時に支払うべきものとされている場合には、その請求の日)とします。

ハ ただし、イ及びロのうち、支払日が矯正治療を完了した日後とされているものについては、矯正治療を完了した日とします。

【関係法令通達】

         所得税法第36条、所得税基本通達36-8

注記    令和2年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

   府省令

 歯科医師法施行規則

 

 法令解釈通達 法第73条《医療費控除》関係

(健康診断及び美容整形手術のための費用)
73-4 いわゆる人間ドックその他の健康診断のための費用及び容姿を美化し、又は容ぼうを変えるなどのための費用は、医療費に該当しないことに留意する。ただし、健康診断により重大な疾病が発見され、かつ、当該診断に引き続きその疾病の治療をした場合には、当該健康診断のための費用も医療費に該当するものとする。

 

 

   その他

 医療広告ガイドライン(医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針)

歯科麻酔専門医(一般社団法人 日本歯科麻酔学会)

歯周病専門医(特定非営利法人 日本歯周病学会)

小児歯科専門医(公益社団法人 日本小児歯科学会)

歯科放射線専門医(一般社団法人 日本放射線学会)

口腔外科専門医(公益社団法人 日本口腔外科学会)

専門医に関する広告について(第18回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会 令和3年7月8日)

 

 

日本歯科専門医機構

1.歯科専門医とは

  それぞれの専門領域において適切な研修教育を受け、十分な知識と経験を備え、患者から信頼される専門医療を提供できる歯科医師

2.歯科専門医機構が認定する専門医制度の基本的理念

  1.プロフェッショナルオートノミーに基づいた歯科専門医(および歯科医療従事者)の質を保証・維持できる制度であること

  2.国民に信頼され、受診先の選択に際し良い指標となる制度であること

 

新たな検討領域(仮称)として,以下の5領域が予定されている.

 歯科保存 / 歯科補綴 / 矯正歯科 / インプラント科 / 総合歯科

 

 

― 矯正歯科「」の分類:

      ☛ 学問的分類は教科書参照

 

 

― 矯正歯科「医療」のいろいろな分類(呼び名)

   ※「学」術用語でないが,「医療」として社会に認知された呼び名

治療開始年齢による

小児矯正        Ⅰ期矯正

成人矯正        Ⅱ期矯正(本格矯正)

制度的医療(保険適応の有無)による

保険矯正

自費矯正

隣接領域との連携による

外科矯正 / 歯周矯正 / 補綴前矯正

部分矯正 / 包括矯正

 

使用装置による

床矯正

ワイヤー矯正 / ブラケット矯正

審美矯正

裏側(リンガル)矯正 / 見えない矯正

アライナー(マウスピース)矯正

筋機能矯正

 

治療中のQoL改善,患者心理,治療期間短縮,審美的要求から派生したもの

舌側矯正法 / リンガル矯正法

アライナー矯正法 / マウスピース矯正法

サージェリーファースト法

スピード矯正法 / アクセル矯正法 / 加速矯正法

 

治療部位,範囲による

部分矯正法 / プチ矯正

全体矯正法 / 包括的全顎矯正

 

技術革新による

デジタル矯正法

アライナー矯正法

3D矯正法

 

デジタル技術から生まれたシステム

インコグニト™ アプライアンス システム

インシグニア™ ソリューション

ジェットシステム

インビザライン® システム

シュアスマイル® システム

 

☛    学門的分類と,その実践としての医療的分類の違い.

それぞれの方法が考案されてきた社会的背景を理解し,整理説明できる.

 

 

― 矯正歯科「」の構成

     出典: 井上直彦,鈴木祥井,伊藤学而著 最新歯科矯正アトラス 臨床編I 第1版 医歯薬出版 1975

       ■ 総論・・・・・・・・・矯正歯科学の意義・目的,歯科矯正史など

基礎矯正学

              隣接基礎学          顎顔面頭蓋と総合咀嚼器官の形態学

                                       顎顔面頭蓋と総合咀嚼器官の成長発育

                                       顎顔面頭蓋と総合咀嚼器官の生理学

                                       顎顔面頭蓋と総合咀嚼器官に関連した生化学,内分泌学,遺伝学,人類学など

              咬合論                正常咬合論

                                       不正咬合論(不正咬合の分類法を含む)

              原因論                不正咬合の原因

                                       不正咬合の疫学

              歯の移動の機序学  生力学:矯正力に対する生体の反応

                                       力学: 矯正力の力学的解析

                                       材料工学

臨床矯正学

予防学

診断学                検査法

                                      分析法

                                      総合診断法

治療学                症例管理

     治療術式: 唇舌側弧線法,全帯環法,機能的顎矯正法など

 

 

― 矯正歯科医療とは

   良質かつ適切な医療

 

 

 

― 引退に関する倫理

 倫理を論ずる最大の前提は,自分のことを棚に上げないとされる.自分の身体の心技体は,プロフェッショナルな領域であればあるほど,自覚するのかもしれない.内なる声に誠実に向い合うべきであろう.例えば,スポーツ界では,勝敗や記録という成績から,身体的能力の低下を客観的に自覚できる.医療者の場合はどうだろうか?技術的な要素の大きい歯科領域では,術者の身体能力の低下によって,患者利益が達成されないことや診療の質が低下することがあってはならない.

 こうした時期についての人間の生物学的年齢には,地域差や人種,男女による相違は少なく,EUマニュアルによると,62~65才とされている.ドイツでは,68才までで公的保険による医療契約は切れ,56才以上での新規開業は認めない制度である.公的保険診療の担当医は,地域による定数性になっており,定数の空席の半数は新規開業が認められる仕組みになっている.EU/EEAのすべての国では,公的な歯科医療サービス,国の制度・疾病基金と契約している自由診療などの適用に「国家退職年齢」がある.国によって少し異なっており,この年齢を過ぎても,本人の希望と雇用主の許可によって70才まで延長できることもある.個人クリニックでの診療継続も延長できるが,75才からは1-2年での短期更新が必要になる(ドイツの場合).

 わが国では,免許取得後の自己研鑽制度はあるものの,国家によって法制化された制度は未整備の状態であり,個人の判断に任されている.2018年の統計調査では,歯科医師の30%強が60歳以上である.

 各国の詳細は,EU MANUAL (2015.2年版)を参照.

 

 

― 問い,倫理的気づき,ケース

Ethical considerations regarding the timing of orthodontic treatment

 

 

 

Ethics case analysis: Another doctor’s mistreatment

別の診療所で歯列矯正を行っている患者があなたの診療所を受診しました.一見して歯周炎の状態にあり,ブラケットの位置も悪く,ルーズバンドの部分がありました.この状態では治療終了までまだまだ時間がかかりそうだと思われましたが,とりあえずはルーズバンドの部分を応急的に修正し,学会出張で留守にしている担当の先生が帰る2日後に,もう一度その診療所を受診するように指示しました.患者の父親は,もう治療開始して4年ぐらいになるが,順調に治療は進んでいるか,もうすぐ終わりそうですかと尋ねました.

1. 子供の父親にどのように対応すべきでしょうか?

2. このような患者は、過去2年間にあなたが診察したこの矯正歯科医の5人目で,いずれも同様の臨床所見を呈しています.あなたは誰か(両親,他の矯正歯科医,地元の歯科医師会など)に何かを言う義務がありますか?

3. 相手の歯科医師が,小児歯科医,矯正歯科医,一般開業医のいずれであっても違いはありませんか?

4. あなたが何かを言うとしたら,誰に何を言うべきでしょうか?

 

☛ 正義,公平,義務

☛ 倫理的ジレンマ

 

→ 参考:日本の矯正歯科学会の倫理規定

3 章 医療活動

1.患者に対する責務

(基本的姿勢)
第 15 条 会員が医療活動に従事する場合には、患者および家族の人格、人権、尊厳を尊重し、患者の健康・福利の維持・増進のために、信義に従い誠実、公正に職務を行 わなければならない。

(患者への説明と同意 インフォームド・コンセント)
第 16 条 会員は、患者、もしくは保護者に対して症状、病状、考えられる原因、予測される今後の推移、および検査・治療の内容や方法等について、患者、保護者が理解できるように易しく説明しなければならない。
2.会員は、治療に対する患者もしくは保護者の自己決定権を尊重しなければならない。
3.歯科診療(治療)を行う場合には、患者もしくは保護者の自由意志による同意を得なければならない。同意を得るに先立ち、患者に対して検査、治療、処置の目的、内容、実施した場合及びしない場合の危険・得失、代替の方法の有無・内容とその得失、治療にかかる費用、期間などを十分に説明し、それを理解し判断するのに必要な時間を十分に与えた上で同意を得なければならない。なお、説明内容にも言及した同意書を作成することが望ましい。

2.歯科医師相互間の責務

(歯科医師相互間の関係と協力)
第 30 条 会員は、他の歯科医師に対してその経験と学識に敬意を持って接し、また医療行為に関して協力を惜しんではならない。

(主治医の尊重)
第 31 条 主治医は担当する患者の診療に対してすべての責任を持ち、他の歯科医師は主治医の判断、立場を尊重しなければならない。
2.治療中である主治医の紹介がない状況で、患者が会員に対して治療の継続を求めてきた場合は、患者から十分に話を聞いた上で再び主治医を受診するように計らうことが望ましい。状況により治療の継続を引き受けなければならないと判断される場合には、それまでの主治医と連絡を取り、必要な検査資料と診療情報の提供を受け、円滑な治療の継続ができるように努めるべきである。

(患者の斡旋・勧誘)
第 32 条 会員は、自己の利益を優先して患者を勧誘する行為をしてはならない。
2.会員は、他の歯科医師より患者の紹介を受けた場合、あるいは他に患者を紹介する場合に、その代償として紹介手数料に類する授受行為を行ってはならない。ただし社会通念上の儀礼的行為の範囲に留まる場合はこの限りでない。
3.会員は、報酬や利益を得て患者を斡旋する行為、あるいはそのような行為を行う業者に協力することは控えるべきである。

(他の歯科医師への誹謗の禁止と証言)
第 33 条 会員は、患者およびその家族などに対して他の歯科医師の行った診療内容についてみだりに非難や批判を行ってはならない。同僚への軽率な誹謗は歯科医師全体に対する社会的信頼を損なうことになる。
2.万一、診療内容が適切でないと判断される場合には改善処置を講ずるべきである。
3.公的な機関より専門的な証言や意見を求められた場合には公正な意見を述べなければならない。

(歯科医師間での意見の不一致)
第 34 条 歯科医師間で医療行為に関して意見の不一致が有る場合には、原則として主治医の意見を尊重するべきである。歯科医師間での医療行為に関する論争は歯科医師の間で解決されるべきものであり、患者を巻き込んではならない。

(転医による矯正治療の継続)
第 35 条 患者の転居又は会員の事故(病気、死亡など)などの理由により患者が転医を必要とする場合には、会員は次のようなことに留意しなければならない。
1.治療の継続を依頼する会員は必要資料を依頼先の歯科医に送る。
2.治療の継続を依頼された会員は、転医患者の矯正装置を変更する場合、その理由や加算料金などについて十分に説明し、患者の信頼を失わないように留意する。また前医の診断や治療内容に関して状況不明の場合は相互の連絡や意見の交換をする。
3.転医に際しての矯正費用の返金については別途定める指針を参考とする。

 

Ethics case analysis: The extraction of the wrong tooth

歯列矯正のために必要な小臼歯抜歯を依頼したところ,間違った歯が抜歯されてしまった.この時の倫理的・法的側面から,患者への説明義務,倫理的責任などについて

1. 患者とその両親に,一般歯科医の間違いを知らせるかどうかを決定する場合,倫理的に考慮すべきことは何ですか?

2. 一般歯科医は,あなたのクリニックへよく患者を紹介してくれる優れた連携施設の歯科医であり,あなたの義理の兄だった場合,あなたの答えは変わりますか?

 

 

Ethics case analysis: The ethics of terminating care because of financial delinquency

 

 

 

 

問い:歯科矯正医療における行為(継続的役務)について.

問い:健康とwell-being,矯正歯科医療の位置

問い:矯正歯科医療における美のイデアについて

問い:咬合のイデアとドグマ

問い:理想 Ideal 咬合を常に普遍的な治療目標とすることは現実に可能なのか?

問い:治療目標の設定とパターナリズム,シェアードディシジョンメイキング

問い:良質かつ適切な歯列矯正歯科医療とは何か:技術的な卓越性(歯科医師個人の技量,技術・知)だけではなく,実体や性質(例えば,行為を行う装置や意義),場所(診療所の設備,感染管理や施設基準など),時間(適切な治療開始時期や,治療期間の長さ,保定期間といった時間概念),関係性(患者-医療従事者)についての優先順位,ジレンマの文化的,時間的変遷について

問い:歯列矯正の目的,医療従事者-患者関係について

問い: 咬合の改善とは何か? その多様性について.医療従事者と患者の価値の位置.

問い:矯正歯科医療における不正咬合の治癒とは.いつ判断すべきか?我々の義務,患者との関係性について

 

問い:矯正歯科医療における治療完了(普遍的な理想咬合)を前提とした医療費の前払い(請負契約)は可能か?何を約束するのか?また法的に許されるのか?

問い:医療行為と医療契約の倫理と法的根拠

問い:歯列矯正を求める患者,歯槽骨幅の狭薄,齲蝕,歯肉炎,顎関節症,舌癖の併発

問い:学会症例審査に合格するということの意味.治療完成とは認められないのか?不完全症例なのか.

問い:学会症例審査に合格しないことを理由に患者から返金を求められた場合,返金をすべきか.

 

問い:矯正歯科専門医の行為の本質はなにか?

問い:患者の心の病としての美容医療について

問い:矯正歯科医療は専門性が高いとは,具体的に他分野と比べて何がどう高いのか?迷信とドグマ?

問い:矯正歯科治療とは何か?

問い:医療行為として,前歯だけの部分矯正は認められるのか?

問い:部分矯正が許される場合,患者への告知すべきリスク,副作用など満たすべき条件は何か?

 

問い:治療前後の咀嚼機能の改善は評価できるのか?

問い:基本検査(すべて患者の同じ内容のレントゲン検査)は,医療倫理上認められるのか?

被験者の自発的な同意が絶対に必要不可欠である

問い:保定開始後の資料採得(レントゲン照射による患者被曝)は医療行為として許されるのか.

被験者の自発的な同意が絶対に必要不可欠である。

問い:矯正歯科治療(動的処置)後の保定期間はいつまで善管注意義務があるのか?

問い:装置の使用を指示したにもかかわらず,約束を守らない患者側の義務について(説明と同意,患者の義務について)

問い:医療法上の義務(医療法 第1条の4:医療従事者は,良質かつ適切な医療をおこなうよう努力する義務)について

問い:医療法 第1条の2 適切な説明とは

問い:医学的に無益な矯正歯科医療行為にはどのようなケースか?

 

問い:医療として歯列矯正における公平・公正な配分はどうあるべきか.

問い:歯列矯正治療を望む患者が医療費を支払うことができない場合はどうすべきか?

問い:制度的医療として歯列矯正治療の保険診療収載する場合の具体案はいかに?(例:イギリス・ドイツ・フランスなど

問い:歯列矯正治療を開始した患者が,医療費の支払い困難になった場合はどうすべきか.

問い:歯科医師1人の診療所:良質かつ適切な医療を提供するための患者数と人員配置について

 

 

ケース① 功利主義

歯列矯正では遺伝要因として,家族の状況についても問診による聴取を行います.

 

ケース② 

アンカースクリューの使用とヘッドギアの使用の価値判断

 

ケース③

 

ケース④ 義務論を超える善行

 保定開始後の定期観察に4-5ヵ月に1度通院しているXさんがいます.治療は大変良好に仕上がり,咬合状態も申し分ありません.保定装置を装着して10年になりますが,マウスピース型保定装置を一週間に一回ほど装着しています.定期観察においては,後戻りの確認以外に,歯周病や歯肉退縮などについて,口腔内環境の変化について観察を続け,望ましい加齢変化から逸脱しないようにアドバイスをしながら着色除去や清掃を行っています.

 一方,同じ時期に治療開始し,同様に終了した患者Yさんは,定期観察にはお忙しいためなかなかお越しになりません.先日,三年ぶりにお越しになられた時,下顎前歯に叢生の後戻りが認められ,歯石の沈着もありました.当日は,口腔清掃を行い,これらについて説明しましたが,現在の保定装置は壊れているか不適合のため,再製作しないと装着することができません.

 Yさんへ,現状のままで放置した場合の今後について説明しました.現状維持のため,保定装置を再製作するか,再治療するかについて,費用についても説明しましたが,どちらの案にもご納得できないようです.

 

 

 

― 関連リンク

 文部科学省

生命倫理・安全に関する取組

ライフサイエンスにおける安全に関する取組

 厚生労働省

研究に関する指針について 

 

 

― 医の倫理規定

 世界医師会WMA

  医の倫理マニュアル

  医の国際倫理綱領

   医師の一般的な義務

   患者に対する医師の義務

   同僚医師に対する義務

 世界歯科医師会 FDI

   Dental Ethics Manual

 日本医師会

  昭和26年 「醫師の倫理」

  医の倫理の基礎知識 2018年版 (日本医師会)

  日本医師会倫理規定

 米国矯正歯科専門医会

  Principles of Ethics, Code of Professional Conduct and Advisory Opinions of the American Association of Orthodontists

 日本矯正歯科の団体

  公益社団法人 日本矯正歯科学会 倫理規定

    矯正歯科患者の転医に際しての矯正費用の返金に関する指針

  公益社団法人 日本矯正歯科学会 倫理審査 懲戒規則

  日本矯正歯科専門医機関 規則

  日本矯正歯科専門医機関 倫理規程

  日本矯正歯科協会 歯科医師・歯科矯正医の職務基本規程

 日本歯科医師会

  信頼される歯科医師Ⅱ 歯科医師の職業倫理(平成20年)

 

 

― 法

 法 律  刑法 第十三章 秘密を侵す罪(秘密漏示)1341

 法 律  医療法

 政 令  医療法施行令(昭和二十三年政令第三百二十六号)

 府省令  医療法施行規則

   ・ 医療法における病院等の広告規制について

 

 法 律  歯科医師法

 政 令  歯科医師法施行令

 府省令  歯科医師法施行規則

 

 法 律  歯科衛生士法

 政 令  歯科衛生士法施行令(平成三年政令第二百二十六号)

 府省令  歯科衛生士法施行規則(平成元年厚生省令第四十六号)

 法 律  歯科技工士法

 政 令   歯科技工士法施行令(昭和三十年政令第二百二十八号)

 府省令   歯科技工士学校養成所指定規則(昭和三十一年厚生省令第三号)

 

 法 律  医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬

 

健康保険法

介護保険法

感染症法

医療事故

副作用への対処(公的補償制度、被害補償など)

医療福祉制度

 

 

― 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針

倫理指針(本文)(平成29年2月28日一部改正)[PDF形式:283KB]

施行通知(平成29年2月28日一部改正)[PDF形式:132KB]

新旧(平成29年2月28日一部改正)[PDF形式:179KB

ガイダンス(本編)平成29年5月29日一部改訂[PDF形式:2,030KB]

ガイダンス(本編)新旧対照表(平成29年5月29日一部改訂)[PDF形式:67KB]

ガイダンス(附則版)平成29年3月8日[PDF形式:152KB]

様式(提供の記録、重篤な有害事象) 平成29年3月8日[Word形式:84KB]

チェックリスト 平成29年3月24日(第2版)[Word形式:80KB]

チェックリスト 平成29年3月24日(見え消し)[PDF形式:177KB]

Q&A 平成29年3月8日[PDF形式:125KB]

― 法令

 臨床研究法(平成29年法律第16号)

概要[13KB]  

本文[186KB]

 政令

臨床研究法の施行期日を定める政令(平成30年政令第40号)[18KB]  

臨床研究法第24条第2号の国民の保健医療に関する法律等を定める政令(平成30年政令第41号)[56KB]  

 省令 

臨床研究法施行規則(平成30年厚生労働省令第17号)[1MB]  

臨床研究法施行規則(平成30年厚生労働省令第17号)(様式のみ)[93KB]  

参考資料:読替表[149KB]

 

 

 1868(明治元年)年12月    太政官布告

 1874(明治7)年               医制

 1875年               医術開業試験の実施通達.西洋医学

 1883               医術開業試験規則及医師免許規則

 1889年               歯列矯正術(歯科提要,小林義直)

 1906年               医制にかわって医師法制定.医師と歯科医師は分離.

 2018年               臨床研究法

 

 

矯正歯科医療倫理研究会

 

■ 医療倫理の研究会・学会・雑誌 

 日本医学哲学 倫理学会