矯正歯科_医療倫理_研究会

矯正歯科_医療倫理_研究会

 

歯科矯正学は.....,学問の進歩とともに,また時代の流れと社会の変化とともに,常に考え続けるものでなければならない.

歯科矯正学実習書 実習総論 p.1 医歯薬出版 昭和53(1978)

 

God, give us grace to accept with serenity the things that cannot be changed,
Courage to change the things which should be changed,
and the Wisdom to distinguish the one from the other.

 

入門・医療倫理Ⅰ

入門・医療倫理Ⅱ

・臨床倫理入門 

 

― 医療倫理・歯科_矯正歯科の歴史

 古代ギリシャ

 中世

 日本

  歯科_矯正歯科の歴史

 

 

― 倫理学の基礎

    道徳と倫理

    法と倫理

    哲学と倫理 

 

 

― 道徳

 特別の教科 道徳編 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説

 小学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編 平成27年7月

 中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編 平成27年7月

 高等学校 学習指導要領(平成30年告示)

 

 

― 倫理理論

 

 

― 規範と倫理

  倫理学

 規範倫理学  

 メタ倫理学

 記述倫理学

 

 規範倫理学

   行為論

    帰結主義 consequentialism

    功利主義 utilitarianism

         Bentham, J. 1748-1832

         Mill, J.S. 1806-0873

    義務論 deontology

      カント倫理学 Kant, I. 1724-1804

      ロスの理論 Ross, W.D. 1877-1971

      ロールズの理論 Rawls, J. 1938-2002

    徳倫理学 virtue ethics

    実存主義

 応用倫理学

 生命倫理学

 医療倫理学

 環境倫理学

 ビジネス倫理学

 

     その他の理論

        コミュニタリアニズム

        フェミニズム

        決疑論 Casuistry

        公平ー規則理論

        物語倫理 narrative ethics

        看護倫理 Nursing ethics

 

 

― 医療倫理に関する宣言や規定

  BC400   ヒポクラテスの誓い

  1947       ニュルンベルグ綱領

  1948       ジュネーブ宣言

  1949    医の倫理に関する国際規定

  1964       ヘルシンキ宣言

  1981       患者の権利に関するリスボン宣言

 

 

― 医療倫理と生命倫理

  医療倫理の4原則:

米国型:

欧州型:

 自律尊重 respect for autonomy
  無危害 non-maleficence
  善行 beneficence
  正義 justice

 自律 autonomy


  尊厳 dignity

  不可侵 integrity

  脆弱 vulnerability

       

背景:1979; ベルモント・レポート

 

 

   守秘義務(刑法134条)

     守秘義務解除の条件

        第三者への潜在的危害,保護する他の方法がない,危害回避など(タラソフ判決)

     通報・報告義務のあるもの

        虐待,DV,感染症,食中毒,麻薬中毒,覚せい剤保持・中毒者

   インフォームド・コンセント

   シェアード・ディシジョン・メイキング

   医療情報の開示

   告知

   治療方針の決定

   パターナリズム

   小児の医療倫理

  小児の意思決定

  推奨される治療の親の拒否

  家族の信仰と患者の医療

  推奨される治療と患者の協力

   患者との対立

   治療後のケア

   医療資源の配分,医療制度

   治療の優先順位

 

 

— 臨床倫理

文化と社会

倫理カンファレンス

倫理的問題への気づき

直観/直感 の役割

ん?

何かおかしい?

声,言葉にする

価値(自分が大切にしていること)

異なる考え,意見への尊重

道徳的感受性/倫理的感受性 moral / ethical sensitivity

価値の対立/ジレンマ

4分割法

   
医学的事項 患者・本人の意向
QOL(家族に関わること) 周囲の状況(その他,関係者,周囲の状況)

 

 

― 患者と医師の価値の対立

 なにが大事なのか?

 ・ 見た目 vs 咀嚼機能のドグマ

 ・ 保定後の定期観察

今 vs 将来

 

 

― 倫理コンサルテーションとは

患者,家族,代理人,医療従事者,他の関係者が,ヘルスケアの中で生じた倫理・価値問題に関する不確実性や対立を解消するのを助ける,個人やグループによるサービス

A service provided by an individual or a group to help patients, families, surrogates, healthcare providers, or other involved parties address uncertainty or conflict regarding value laden issues that emerge in healthcare” (American Society for Bioethics and Humanities)

 

 

― 患者の法的な権利と義務

生存権

健康権

生命権

幸福追求権

 

 

― 患者の自己決定権の法的基礎

(通説)
• 憲法 13 条
「すべて国民は個人として尊重される.生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」を自己決定権の根拠規定と考える


• 前段の「個人の尊重」が,ドイツ基本法1条1項の「人間の尊厳」条項とほぼ同趣旨であり,個人の尊重(個人主義)ないし人格の尊厳(人格主義)という一定の原理を規定し,後段の幸福追求権は、前段の原理と結びついて,人間の人格的自律にとって不可欠な重要事項に関 する自己決定の包括的権利を具体的な法的権利として規定する(人格的利益説)

 

 

― 道徳・倫理・法

 「人の人たるゆえんは,人と人との結合にある」

 法は宗教・道徳・習俗の各規範より後に形成されたもの.

 

  社会規範:行為の基準となるべき規則

   ① 宗教規範

   ② 道徳規範

   ③ 習俗規範

 

 社会が独立した国家となったとき,これらの規範は面目を改めて国家権力を背景とする法となり,

 法が宗教・道徳・習俗と異なる点は,国家権力の強制を伴う点にある.  

 

 

― 法令(Law)とは?

  法令とは、「法律」 と 「命令」 を併せたもので,国会で成立したものが 「法律」,

  これに基づき行政機関が制定するものが 「命令」.

   法 律    政 令    府省令     条 例

  「命令」:    「政令」    内閣が制定            施行令

省令」    各省が制定            施行規則

府令」    内閣府の長官として内閣総理大臣の発す

条例」    地方自治体が制定

   実務的に,法律は 「本法」,政令は 「施行令」,省令は 「施行規則」 と呼ばれる.

           歯科医師法であれば,

歯科医師法:                本法

歯科医師法施行令:        内閣閣議

歯科医師法施行規則:    厚生労働大臣 

               法令検索(総務省)はこちら  ☛  e-GOVポータル

 

 

― 基準(Standardと ガイドドライン(Guideline

 

 

 

—  公平と平等

 

 

 

— 医学的無益性

 

 

 

— 患者ー医療従事者関係

 パターナリズム

 インフォームドコンセント

 シェアードディシジョンメイキング

 

 小児のインフォームドコンセント 

 

 

— 健康,病気,障がい の概念

 

 

 

— 医学と医療

 医学 medicine, medical science とは学問であり,真理探究を目指す科学

 医療 health care, medical treatment とは行為であり,患者を癒すための実践

 医療は,簡単に言うと,「人が他人を治す」 という社会的実践です.それは,共同体の中の社会的,文化的行為であり,共同体の中の構成員が病的状態,不適応状態になった場合,その共同体が持っている富,技術,知識という社会的資産および労働力をもって,その不適応になった個体が,適応状態になれるように,または,生存し続けるように治療・世話をすることです.動物でもやるような,自分が怪我をして,自分でその部位を舐めて治療するようなプライベートな行為は 医療 としません.

 医療 を実践するためには,知識や経験が必要です.病気を認知して,原因を同定・追求し,対処方法を提示する知識(理論群・理論体系)が 医学 です.先に 医療 があって,医学 はその 医療 を効率よく実践するために意図的に編集された知識体系である.「医療」は人類の歴史とともに古く,連綿とつづいているのに対して,「医学」は時代と共に変化している.(中川米造)

 

 

― 近代医療の特徴

1.      実践形態(場)としての「病院」

2.      合理的医学(理論)としての「科学的医学」

3.      国家と専門家による権力としての「制度的医療」

4.      医療産業を包摂する「産業としての医療」

 

 

― 近代医学(理論)の特徴

1.      方法論的に擬態化した「科学的医学」

2.      病気の科学的実在を指定する「科学的個体病理学説」

3.      医学理論の支配的パラダイムとしての「生物医学」

4.      特定の病因を措定する「特定病因論」

疾患には,その疾患に特定の原因があり,その特定の原因によってのみ,その疾患は引き起こされる

 

 

― 医療と社会,医学研究,公衆衛生

 

 

 

― 制度的医療

近代社会での医療の制度化,正規医療とも呼ぶ.近代医療の制度化.

それまで法的根拠のなかった医療・医学・医師に関して,あらたに法的根拠を与え,医療法制(法制度)をつくること.医師・歯科医師の国家資格化.

 

 

― 医療化

医療的問題でなかった事象が,近代医療の問題として取り扱われ,治療の対象となっていくことを指す.近代医療がその対象領域を拡大していくという近代医療独自の現象で,他の医療にはあまり見られないもの.この医療化現象は,医療の制度化以前にも見られていたが,医療の制度化を機に,制度化された医療権力によって大々的に見られるようになる.医療の制度化による「素人(自身)のによる医療行為の禁止」という「専門家支配」が医療化を推し進めているともされる.

   ⇒ 妊娠,出産,死,肥満,喫煙,生活習慣

 

 

― 特定病因論

多重病因論,リスクファクター(危険因子)概念

 確率論的病因論によるリスクファクター選択の恣意性

 

 

― 矯正歯科医療とはなにか.

    矯正歯科医療の価値 / 矯正歯科治療の目的と意義

   1947:高橋新次郎

不正咬合並びにこれに依りて招来される顎骨の異常,乃至は顔貌の不正(勿論顎骨の異常が原因で不正咬合を生ずることも多いが)等は單に患者の咀嚼,發音等の諸機能を阻害するにのみならず,患者自身の精神上にも頗る重大な影響を及ぼし,これがため自らを卑下し,社會生存上常に大なる損失を招きつゝあることは吾々經驗するところである。例へば圖1-2のやうな甚だしい不正咬合に於いては,その顔貌上に及す影響も極めて大であつて患者自らもその點に關し,懊惱苦悶せることは明らかである。かくの如き場合に於ける矯正施術の目的は,單に齒牙の正常なる機能を恢復するばかりでなく,進んで顔面の不正おも改善することにより,より重大な意義を有することは明である。顔貌の不正は患者自身の精神上にも架る

顔貌の不正の改善,well-beingの向上

 

1978:歯科矯正学実習書 実習総論 p.1 医歯薬出版 昭和53 1978

『技術を中心とした治療学の進歩は,不正咬合の治療効果を高め,治療に伴う歯根吸収などの障害を避け,術後の安定を一層確実にするための努力の表現であって,このこと自体,非難されるべきではない.しかし,一方では,技術的進歩のみが独走して,そのあとにかずかずの矛盾が残されたという面がないとはいえない.とくに,歯科矯正学の学問体系に関する総論的な考察が遅れ,矯正治療の意義と目的とは,ともすれば不明瞭となり,このため歯科矯正学は,学生諸君からも,そしてときには矯正専門医からも,あたかも美容整形技術の一部であるかのように受け取られる結果を招いている.歯科矯正学は,現在,もう一度そのあり方について考える時期に来ているといえる.そして,学問の進歩とともに,また時代の流れと社会の変化とともに,常に考え続けるものでなければならない.

 

   いくつかの不正咬合による障害の治療優先順位:西洋型,日本型の概念・価値の相違について

        ☛ それぞれの国の文化・社会的背景からの理解

        ☛ なぜ日本の歯科矯正治療学は,咬合のドグマにとらわれ続けているのか?

☛ 咬合に関するドグマ

☛ A Philadelphia Fable: How Ideal Occlusion Became the Philosopher's Stone of Orthodontics

        ☛ 「歯並び」,「咬み合わせ」 の違い

 

   治療としての矯正歯科医療

        ☛ 包括歯科医療としての他科との連携

 

   不正咬合の概念の多様性

       「咬み合わせが悪い」,「歯並びが悪い」 を区別して使い分けができる

          不正咬合 ≠ 咬合異常 ≠ 咀嚼機能障害 ≠ 顎機能異常 ≠ 見た目

 

    「先生! 私の歯ならびはどうしてなおした方がいいのですか?」

       ☛ 矯正歯科医療の価値,多様性を整理し,自分の言葉で伝えることができる.

 

 

― 歯科医療上の倫理

倫理が守られない,法律違反はどのようなときに起こりやすいか?

  例えば,スピード違反:

    見通しのよい,直線道路

      → パトカーや白バイ,他の車もいない

  規範としての制限速度が決められているので,当事者にも違反していることはわかる.

 

  滅菌手順や操作,感染管理

  マイクロの使用,根管治療,臼歯部の修復,隣接面の治療

  歯列矯正のゴール(装置撤去の判断)

 

人間は誰しも間違える.何が正しいのか

 

善行,徳,倫理,規範が守られない場として:

 

歯列矯正治療の場合:

・規範としての普遍性ある治療ゴールがない

・患者にも治療結果,品質がわかりにくい

・見えない場所(説明不足):滅菌手順や操作,根管治療,歯列矯正の時期や器具の価値

・歯列矯正のゴール:良質かつ適切な歯列矯正とは何か

では,不適切な治療とは?

矯正歯科医の求める価値と,国民への求める価値,情報共有と教育

・徳を高める

 

 

― 病気,病,疾病

 

 

 

― Medicineとは:

 医学: 人体の病気についての医学

 医療: 医学の実践的な応用

 医薬: 医療に用いるくすり

 「医」: 医学+ 医療

 med·i·cine  (mĕdĭ-sĭn) n.

1.     a. The science and art of diagnosing and treating disease or injury and maintaining health.

b. The branch of this science encompassing treatment by drugs, diet, exercise, and other nonsurgical means.

2.     The practice of medicine.

3.     A substance, especially a drug, used to treat the signs and symptoms of a disease, condition, or injury.

4.     Something that serves as a remedy or corrective: medicine for rebuilding the economy; measures that were harsh medicine.

5.     a. Shamanistic practices or beliefs, especially among Native Americans.

b. Something, such as a ritual practice or sacred object, believed to control natural or supernatural powers or serve as a preventive or remedy.

________________________________________

[Middle English, from Old French, from Latin medicīna, from feminine of medicīnus, of a doctor, from medicus, physician; see MEDICAL.]

____________________________________

The American Heritage® Dictionary of the English Language, Fifth Edition copyright ©2019 by Houghton Mifflin Harcourt Publishing Company. All rights reserved.

 

 

― 米国の矯正歯科学成書の治療目的とゴール

2019 6thed. Contemporary Orthodontics – Proffit WF, et al. Elsevier Health Sciences

2019 6thed. Orthodontics Current Principles and Techniques  Graber, LW. et al.. Elsevier Health Sciences

Angle paradigm VS Soft tissue paradigmについて バッカルコリドー,スマイルアーク

 

 

― Purposes and Goals of Orthodontic Treatment

Orthodontics and Quality of Life

 In general, the goal of orthodontic treatment is to improve the patient’s life by enhancing dental and jaw function and dentofacial aesthetics. From this perspective, the role of orthodontics is analogous to that of several other medical specialties, such as orthopedics and plastic surgery, in which the patient’s problems often do not result from disease but rather from distortions of development. As the health care field has evolved from a disease-oriented focus to a wellness model,3 orthodontics now is viewed more clearly as a health service dedicated to establishing emotional and physical wellness. Dental and facial distortions create a disability that can influence physical and mental health. Appropriate treatment can be important for the patient’s well-being.

 

 

 

― 日本における不正咬合による障害の概念

2012 第3版 新しい歯科矯正学 永末書店2019 第6版 歯科矯正学 医歯薬出版
 A 生理的障害
   ① 咀嚼機能障害
   ② 発音障害
   ③ 顎骨の発育に及ぼす障害
   ④ 齲蝕発生の誘因
   ⑤ 歯周疾患の誘因
   ⑥ 外傷の誘因
   ⑦ 補綴修復を困難にする
   ⑧ 顎関節症の誘因
 B 心理的障害
 ① 齲蝕の誘因
 ② 歯周疾患の誘因
 ③ 外傷の誘因
 ④ 歯根吸収の誘因
 ⑤ 咀嚼機能障害
 ⑥ 筋機能障害
 ⑦ 顎骨の発育異常
 ⑧ 発音障害
 ⑨ 審美的な欲求と心理的な背景

 

 

― 矯正歯科学における問題点

Vig PS: Orthodontic controversies: their origins, consequences, and resolution. In Melsen B, ed. Current Controversies in Orthodontics. Chicago: Quintessence, 1991; 269-310.

従来より顎顔面生物学は矯正歯科臨床と研究の唯一の科学的基盤であった.矯正臨床と顎顔面生物学では互いの興味が明らかに重複している部分はある.しかし,矯正臨床は社会的,経済的,文化的要因にも大きく関与している.「新しいパラダイム」では,それらの相互関係をすべて認め,概念的にそれらを統合し,かつ研究面で矯正学を論理的に説明することを目指している.

 VigPS

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文化・社会的背景によって,医学的問題か医療的(社会的)問題かのとらえ方障害に対する治療優先順位が異なることを理解する

医学的問題と医療的問題のずれ: 社会的要求順位が低い

☛ 医療の目的は,延命からQOLを高めることへ移っている

 「矯正歯科学の定義」の変化を理解する.医療(矯正歯科治療)とは何か?

 

 

 

― 障害,病気のとらえ方:医療化

・日本型; 心理的障害mental disorder精神障害個人的問題?)

・米国型; 社会的障害 social handicap (社会の問題)

歯 / 咬み合わせ / 個人的問題 / 社会的問題

 日本における矯正歯科学では,歯の不正状態が与える障害と治療の意義として,精神上の重大な影響,社會生存上の重大な影響,心理的背景,あるいは心理的障害として述べられてきた.

 矯正歯科学の成書では,不正咬合の障害として「心理的障害」を明記し,「医療」目的としてQOLの向上をあげている.身体加工という医療的問題について,美容的問題への理解不足や偏見からタブー視されていないか? 

☛ 心理的背景,心理的障害とはなにか?

☛ 障害の原因について

医学モデル:

障害を個人の問題とする考え方.その人の持っている条件や身体的な課題に対して医療的な治療やケア、リハビリが必要だとするものです。

社会モデル:

社会の中で自由に生きる条件が整っていないことが障害の原因であり,社会に問題があるという考え方.生きやすい社会を作り,問題解決をする人権的観点.

☛ 我々の職業とQOLの関係について考える

 

 

― 日本における障害に関する法的整備の経過

200612  障害者権利に関する約(障害者権利条約)

障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し,障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的として,障害者の権利の実現のための措置等について定める条約.国連総会で2006/12/13採択され,2008/5/3発効.我が国では2007年9/28に署名(賛成)したが,まだ法整備などのため締結できず,下記の法整備による障害者制度の改革を行いを経て,2014年1/20に批准され,同年2/19より我が国においても効力を生じることになった.

2011年         障害者基本法の改正

2012年         障害者総合支援法

2013年         障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法

2013年         障害者雇用促進法

20141月    障害者権利条約を批准

 

 

― 障害(がい,障碍,障礙),病気,病,疾病のこと

「障害」,障礙(「碍」は「礙」の俗字

戦後に簡略字体が採用されたことから,「碍」「礙」は「害」という字となったという説は間違い

   ⇒ 「障害」は本当に「障碍」「障礙」の当て字なのか?

 「障碍」「障がい」と表現する自治体や個人もある.

 

 近年の矯正歯科学の成書では,「不正咬合による障害」と記載されている.

高橋新次郎(1947)の成書「矯正齒科學 理論と實際 第六版」では,

「阻害「矯正学の諸問題」 と記述され,「障礙」という語は見られない.

☛ 不正咬合はいつから個人の身体的障害,精神的障害と認識されたのか?

 

「障害者基本法」

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

二 社会的障壁 障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

 

 

 

― disease / disorder / illness / sickness について

 

 

 

 障害(がい,障碍,障礙)の原因

- Physical disability
- Visual disability
- Psychic disability
- Mental handicap
- Sensory disability
- Crippling disease 

 

 

― 考え方

ノーマライゼーション

インテグレーション

ソーシャル・インクルージョ ン

☛ 障害観の変遷

 

 

― 健康 well-being に影響する身体障害の考え方,医療の優先順位について

 歯ならび(見た目)

 心理的障害

 こころの問題

 西洋型

 医療的問題 QoLの向上

 Soft tissue Paradigm










 噛み合わせ(機能)

 生理的障害

 からだの問題

 日本型

 医学的問題

 Angle's paradigm

 

☛ 患者さまの立場に立ち,よく聴き,理解する良好なコミュニケーション

 

 

 

― 医療とは

医療の目的は健康の維持です.あなたは,健康に影響する病気や症状のため,医師,歯科医師,看護師,栄養士,理学療法士またはその他の医療専門家など,かかりつけの医療提供者に診てもらうときに,医療を受けています.医療提供者はあなたの心配事を聴き,症状の原因を見つけて病気や疾患を治すための検査をします.医療提供者は検査結果をあなたにお知らせし,検査結果の意味を分かりやすく説明します.あなたは,自分の治療の選択肢について相談し,医療提供者はあなたが受ける治療の決定を助けます.医療を受けている時,あなたは「患者」と呼ばれます.

 

では,健康とは何か?

    well-beingとは何か?

    QoL:

 

 

― 幸福とは何か? 【Well-being, Health, Happiness】

THE GALLUP WELL-BEING INDEX

   Financial

   Physical

   Purpose / Career

   Social

   Community

 

 

― 文化・社会によるWell-being

   西洋型

   日本型

 

 

― World Happiness Report

ギャラップ社のデータを利用し,下記の指標から算出した各国のランキングが発表されている.

【方法】 The English wording of the question is: 

“Please imagine a ladder, with steps numbered from 0 at the bottom to 10 at the top. The top of the ladder represents the best possible life for you and the bottom of the ladder represents the worst possible life for you.
On which step of the ladder would you say you personally feel you stand at this time, assuming that the higher the step the better you feel about your life, and the lower the step the worse you feel about it? Which step comes closest to the way you feel?”

●国民一人当たりGDP GDP per capita

●健康寿命,健康な人生予測 Healthy life expectancies (HLE) at birth are based on the data extracted from the World Health Organization’s (WHO) Global Health Observatory data repository.

●社会的支援 Social support (or having someone to count on in times of trouble) is the national average of the binary responses (either 0 or 1) to the GWP question “If you were in trouble, do you have relatives or friends you can count on to help you whenever you need them, or not?” (原文は上記Socialであるが,良好な人間関係と翻訳したものが多い.明治の西洋文明伝来以来socialの翻訳概念には文化背景が存在する)

●人生を選択する自由 Freedom to make life choices is the national average of responses to the GWP question “Are you satisfied or dissatisfied with your freedom to choose what you do with your life?”

●大らかさ,寛容,社会貢献 Generosity is the residual of regressing national average of response to the GWP question “Have you donated money to a charity in the past month?” on GDP per capita.”

●腐敗の認識 Corruption Perception: The measure is the national average of the survey responses to two questions in the GWP: “Is corruption widespread throughout the government or not” and “Is corruption widespread within businesses or not?”

●よい感情 Positive affect is defined as the average of three positive affect measures in GWP: happiness, laugh and enjoyment in the Gallup World Poll waves 3-7. These measures are the responses to the following three questions, respectively:
“Did you experience the following feelings during A LOT OF THE DAY yesterday? How about Happiness?”
“Did you smile or laugh a lot yesterday?”
“Did you experience the following feelings during A LOT OF THE DAY yesterday? How about Enjoyment?”

●悪い感情:Negative affect is defined as the average of three negative affect measures in GWP. They are worry, sadness and anger, respectively the responses to
“Did you experience the following feelings during A LOT OF THE DAY yesterday? How about Worry?”
“Did you experience the following feelings during A LOT OF THE DAY yesterday? How about Sadness?”
“Did you experience the following feelings during A LOT OF THE DAY yesterday? How about Anger?”

☛ 文化背景,国政と密接に関連し,住む場所に深く関わっている.

 

トップ10

1. フィンランド 7.769

2. デンマーク 7.600

3. ノルウェー 7.554

4. アイスランド 7.494

5. オランダ 7.488

6. スイス 7.480

7. スウェーデン 7.343

8. ニュージーランド 7.307

9. カナダ 7.278

10. オーストリア 7.246

 

ワースト10:

1. 南スーダン 2.853

2. 中央アフリカ 3.083

3. アフガニスタン 3.203

4. タンザニア 3.231

5. ルワンダ 3.334

6. イエメン 3.380

7. マラウィ 3.410

8. シリア 3.462

9. ボツワナ 3.488

10. ハイチ 3.597

 

日本の順位: 低下中

↓ 2015年 46位

↓ 2016年 53位

↗ 2017年 51位

↓ 2018年 54位

↓ 2019年 58位 5.886

https://worldhappiness.report/ed/2019/

   ☛ 日本国という地域では人々の寿命は長い,しかし…

2019日本の内訳:

GDP                    24位

健康寿命            2位

社会支援            50位

人生選択の自由    64位

寛容さ                92位

腐敗                110位

よい感情            73位

悪い感情            143位

 

 

― 幸福

幸福の反対は不幸ではなく,退屈である. バートランド・ラッセル,幸福論(1930)

退屈は経済的豊かさを克服した後に人類が直面する最大の危機である. ケインズ

幸福とは,自分が目指す目標に向けて,その要素を獲得していける環境がある状態である.

幸福とは,自分の目標として,もっと収入を高めたい,もっと広い家に住みたい,結婚したいなどと考え,あるいはそれを支援貢献し,目標に向かって進んでいる実感である.

 

 

― 日本人の病気観

   ☛ 不正咬合は,病気か? 病気(びょうき) と 病(やまい)

   ☛ 矯正歯科医療 と well-being,健康,幸福

   ☛ 異文化による「笑顔」の意味,価値感,習慣の違い

 

 

― 心理的障害.個人の問題か 社会の問題か の位置づけ

   disease / disorder / illness / sickness について

 

 

― 健康・病気・身体に関する社会学コンセプト;医療化について

    Essential Concepts in Sociology by Giddens A.より引用.

「社会」

均質な諸個人による集まりや集合に還元できない,人びとの大規模なコミュニティの中での,構造化した社会関係や制度を記述するときに使われる概念.

「生物医学」

西洋の医学療法のことで,自覚される身体の症状に従って病気が客観的に判断され,身体の健康の回復を目指して科学的に生み出された療法が施されること.

「医療化」

体重,喫煙,睡眠,性行為,顔貌などの日常の事柄が,医療専門家が取り扱う医学的問題へと変換されるプロセス.

「病人役割」

タルコット・パーソンズによって考案された概念で,病気がもたらす社会的期待や病人の行動を説明するもの.そこから逸脱すると,サンクションや社会的スティグマが与えられる.

「障害の社会モデル」

障害に伴う不利益の原因を,個人のうちにではなく,社会とその組織のうちに探し当てようとするアプローチ

「社会的自己」

個々の人間有機体として,他のさまざまな人々の言動に対応することによって作り出される自己認識の形成.

「スティグマ」

軽蔑され,社会的に承認されないものであるとされる身体的・社会的特徴のことで,恥辱や社会的隔離・差別をもたらす.

 

 

― 医学研究とは

医学研究(または臨床研究)の目的は将来の医療の向上です.医学研究は,医師,歯科医師や研究者が人の健康と病気について知るために役立ちます.病気を予防,治療するためのより優れた方法も発見できます.臨床研究への参加は将来の人の役に立つ可能性があります.しかし,その研究が必ずしもあなたの現在の病気の症状に役に立つとは限りません.

 

 

― プロフェッショナリズム

 

 

 

― 美容医療としての歯列矯正の特徴

  健康保険が使えない自費診療

  診療圏が広い

  教育システムが確立していない

 

 

― 美容医療の「商い」としての特殊性について

  1. 品質がわかりにくい

  2. 相場価格がわかりにくい

  3. 患者-医療従事者間での知識量の差が大きい

  4. 健康被害を生じ得る

  5. 一見の客が多い

 

 

― 健全化のための提言

  1. 医師の質

  2. 医療の質

  3. 患者との関係

  4. 広告宣伝

出典:美容医療の現状分析と健全化のための提言.形成外科,62(11):1201-1207, 2019

   特別講演 これからの美容外科,日美外会誌,53:38- , 2017 

 

 

― 医療の質

 治療結果の評価: 咬合状態を客観的に定量評価する指標

  PAR index, Peer Assessment Rating index

  ABO-OGS, American Bord of Orthodontics objective grading system

  ICON, Index of Complexity and Need

  DAI, Dental Aesthetic Index

 

 

― QOL測定における尺度

・health-related QOL:HRQL

人の健康に直接影響するQOLであり,身体的状態,心理的状態,社会的状態,霊的状態,役割機能や全体的well-beingなどが含まれる

・non-health related QOL:NHRQL

環境や経済や政治など,人の健康に間接的に影響するが,治療などの医学的介入により直接影響を受けない部分のQOLを意味する 6).

 

 

― 口腔関連QOLのいろいろな尺度:

General Oral Health Assessment Index(GOHAI)

Oral Health Impact Profile(OHIP)

Oral Impacts on Daily Performance (OIDP)

Oral Health-related Quality of Life Model for Dental Hygiene (OHRQL)

Orthognathic Quality of Life Questionnaire(OQLQ)

Index of orthodontic treatment need(IOTN)

child oral health impact profile (COHIP)

 

様々な口腔関連QOLの尺度が開発され,応用されている.

それぞれの尺度には特徴があり,多様な臨床および研究の条件下で標準となるものは認められていない.

 

 

― 矯正歯科医療の範囲:

 

 

 

― 「矯正歯科」の法的位置

 日本国憲法

〔個人の尊重と公共の福祉〕
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

    幸福追求権 ⇒ プライバシー権,肖像権,自己決定権,健康を維持する権利

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

平等権 ⇒ 国民皆保険制度

第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

生存権 ⇒ 健康権

 

 医療法

第一条の二 医療は、生命の尊重個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。

2 医療は、国民自らの健康の保持増進のための努力を基礎として、医療を受ける者の意向を十分に尊重し、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設(以下「医療提供施設」という。)、医療を受ける者の居宅等(居宅その他厚生労働省令で定める場所をいう。以下同じ。)において、医療提供施設の機能に応じ効率的に、かつ、福祉サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図りつつ提供されなければならない。

 

第一条の四 医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、第一条の二に規定する理念に基づき、医療を受ける者に対し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。
2 医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。

 

 医療法施行令

(広告をすることができる診療科名)
第三条の二 法第六条の六第一項に規定する政令で定める診療科名は、次のとおりとする。
一 医業については、次に掲げるとおりとする。
イ 内科
ロ 外科
ハ 内科又は外科と次に定める事項とを厚生労働省令で定めるところにより組み合わせた名称(医学的知見及び社会通念に照らし不合理な組み合わせとなるものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)
(1) 頭頸けい部、胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、肛こう門、血管、心臓血管、腎じん臓、脳神経、神経、血液、乳腺せん、内分泌若しくは代謝又はこれらを構成する人体の部位、器官、臓器若しくは組織若しくはこれら人体の器官、臓器若しくは組織の果たす機能の一部であつて、厚生労働省令で定めるもの
(2) 男性、女性、小児若しくは老人又は患者の性別若しくは年齢を示す名称であつて、これらに類するものとして厚生労働省令で定めるもの
(3) 整形、形成、美容、心療、薬物療法、透析、移植、光学医療、生殖医療若しくは疼とう痛緩和又はこれらの分野に属する医学的処置のうち、医学的知見及び社会通念に照らし特定の領域を表す用語として厚生労働省令で定めるもの
(4) 感染症、腫瘍しゆよう、糖尿病若しくはアレルギー疾患又はこれらの疾病若しくは病態に分類される特定の疾病若しくは病態であつて、厚生労働省令で定めるもの
ニ イからハまでに掲げる診療科名のほか、次に掲げるもの
(1) 精神科、アレルギー科、リウマチ科、小児科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、リハビリテーション科、放射線科、病理診断科、臨床検査科又は救急科
(2) (1)に掲げる診療科名とハ(1)から(4)までに定める事項とを厚生労働省令で定めるところにより組み合わせた名称(医学的知見及び社会通念に照らし不合理な組み合わせとなるものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)

二 歯科医業については、次に掲げるとおりとする。
イ 歯科
ロ 歯科と次に定める事項とを厚生労働省令で定めるところにより組み合わせた名称(歯科医学的知見及び社会通念に照らし不合理な組み合わせとなるものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)
(1) 小児又は患者の年齢を示す名称であつて、これに類するものとして厚生労働省令で定めるもの
(2) 矯正若しくは口腔くう外科又はこれらの分野に属する歯科医学的処置のうち、歯科医学的知見及び社会通念に照らし特定の領域を表す用語として厚生労働省令で定めるもの

 

 歯科医師法

第十七条 歯科医師でなければ、歯科医業をなしてはならない。

第十九条 診療に従事する歯科医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。

 

 歯科医師法施行令

(表)診療科名の改正経過  標榜診療科の変遷

 昭和23年(医療法制定時)

 内科、精神科、小児科、外科、整形外科、皮膚ひ尿器科(又は皮膚科、ひ尿器科)、産婦人科(又は産科、婦人科)、眼科、耳鼻いんこう科、理学診療科(又は放射線科)、歯科

 昭和25年(法改正)

神経科、呼吸器科、消化器科(又は胃腸科)、循環器科、性病科、こう門科

 昭和27年(法改正)

気管食道科

 昭和40年(法改正)

脳神経外科、放射線科の独立

 昭和50年(法改正)

神経内科、形成外科

 昭和53年(法改正)

美容外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、矯正歯科小児歯科

  平成4年

医療法改正により、診療科名(標榜診療科名)については、政令(医療法施行令)で定めることとされる

  平成8年追加(政令(医療法施行令)改正)

アレルギー科、心療内科、リウマチ科、リハビリテーション科(「理学療法科」の廃止)、歯科口腔外科

 

 歯科医師法施行規則

 医療広告ガイドライン(医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針)

歯科麻酔専門医(一般社団法人 日本歯科麻酔学会)

歯周病専門医(特定非営利法人 日本歯周病学会)

小児歯科専門医(公益社団法人 日本小児歯科学会)

歯科放射線専門医(一般社団法人 日本放射線学会)

口腔外科専門医(公益社団法人 日本口腔外科学会)

専門医に関する広告について(第18回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会 令和3年7月8日)

 

日本歯科専門医機構

1.歯科専門医とは

  それぞれの専門領域において適切な研修教育を受け、十分な知識と経験を備え、患者から信頼される専門医療を提供できる歯科医師

2.歯科専門医機構が認定する専門医制度の基本的理念

  1.プロフェッショナルオートノミーに基づいた歯科専門医(および歯科医療従事者)の質を保証・維持できる制度であること

  2.国民に信頼され、受診先の選択に際し良い指標となる制度であること

 

新たな検討領域(仮称)として,以下の5領域が予定されている.

 歯科保存 / 歯科補綴 / 矯正歯科 / インプラント科 / 総合歯科

 

 

― 矯正歯科「」の分類:

      ☛ 学問的分類は教科書参照

 

 

― 矯正歯科「医療」のいろいろな分類(呼び名):

   ※「学」術用語でないが,「医療」として社会に認知された呼び名

治療開始年齢による

小児矯正        Ⅰ期矯正

成人矯正        Ⅱ期矯正(本格矯正)

制度的医療(保険適応の有無)による

保険矯正

自費矯正

隣接領域との連携による

外科矯正 / 歯周矯正 / 補綴前矯正

部分矯正 / 包括矯正

 

使用装置による

床矯正

ワイヤー矯正 / ブラケット矯正

審美矯正

裏側(リンガル)矯正 / 見えない矯正

アライナー(マウスピース)矯正

筋機能矯正

 

治療中のQoL改善,患者心理,治療期間短縮,審美的要求から派生したもの

舌側矯正法 / リンガル矯正法

アライナー矯正法 / マウスピース矯正法

サージェリーファースト法

スピード矯正法 / アクセル矯正法 / 加速矯正法

 

治療部位,範囲による

部分矯正法 / プチ矯正

全体矯正法 / 包括的全顎矯正

 

技術革新による

デジタル矯正法

アライナー矯正法

3D矯正法

 

デジタル技術から生まれたシステム

インコグニト™ アプライアンス システム

インシグニア™ ソリューション

ジェットシステム

インビザライン® システム

シュアスマイル® システム

 

☛    学門的分類と,その実践としての医療的分類の違い.

それぞれの方法が考案されてきた社会的背景を理解し,整理説明できる.

 

 

― 矯正歯科「」の構成

     出典: 井上直彦,鈴木祥井,伊藤学而著 最新歯科矯正アトラス 臨床編I 第1版 医歯薬出版 1975

       ■ 総論・・・・・・・・・矯正歯科学の意義・目的,歯科矯正史など

基礎矯正学

              隣接基礎学          顎顔面頭蓋と総合咀嚼器官の形態学

                                       顎顔面頭蓋と総合咀嚼器官の成長発育

                                       顎顔面頭蓋と総合咀嚼器官の生理学

                                       顎顔面頭蓋と総合咀嚼器官に関連した生化学,内分泌学,遺伝学,人類学など

              咬合論                正常咬合論

                                       不正咬合論(不正咬合の分類法を含む)

              原因論                不正咬合の原因

                                       不正咬合の疫学

              歯の移動の機序学  生力学:矯正力に対する生体の反応

                                       力学: 矯正力の力学的解析

                                       材料工学

臨床矯正学

予防学

診断学                検査法

                                      分析法

                                      総合診断法

治療学                症例管理

     治療術式: 唇舌側弧線法,全帯環法,機能的顎矯正法など

 

 

― 矯正歯科医療とは

   良質かつ適切な医療

 

 

― 問い,倫理的気づき,ケース:

問い:歯科矯正医療における行為(継続的役務)について.

問い:健康とwell-being,矯正歯科医療の位置

問い:矯正歯科医療における美のイデアについて

問い:咬合のイデアとドグマ

問い:理想 Ideal 咬合を常に普遍的な治療目標とすることは現実に可能なのか?

問い:治療目標の設定とパターナリズム,シェアードディシジョンメイキング

問い:良質かつ適切な歯列矯正歯科医療とは何か:技術的な卓越性(歯科医師個人の技量,技術・知)だけではなく,実体や性質(例えば,行為を行う装置や意義),場所(診療所の設備,感染管理や施設基準など),時間(適切な治療開始時期や,治療期間の長さ,保定期間といった時間概念),関係性(患者-医療従事者)についての優先順位,ジレンマの文化的,時間的変遷について

問い:歯列矯正の目的,医療従事者-患者関係について

問い: 咬合の改善とは何か? その多様性について.医療従事者と患者の価値の位置.

問い:矯正歯科医療における不正咬合の治癒とは.いつ判断すべきか?我々の義務,患者との関係性について

 

問い:矯正歯科医療における治療完了(普遍的な理想咬合)を前提とした医療費の前払い(請負契約)は可能か?何を約束するのか?また法的に許されるのか?

問い:医療行為と医療契約の倫理と法的根拠

問い:歯列矯正を求める患者,歯槽骨幅の狭薄,齲蝕,歯肉炎,顎関節症,舌癖の併発

問い:学会症例審査に合格するということの意味.治療完成とは認められないのか?不完全症例なのか.

問い:学会症例審査に合格しないことを理由に患者から返金を求められた場合,返金をすべきか.

 

問い:矯正歯科専門医の行為の本質はなにか?

問い:患者の心の病としての美容医療について

問い:矯正歯科医療は専門性が高いとは,具体的に他分野と比べて何がどう高いのか?迷信とドグマ?

問い:矯正歯科治療とは何か?

問い:医療行為として,前歯だけの部分矯正は認められるのか?

問い:部分矯正が許される場合,患者への告知すべきリスク,副作用など満たすべき条件は何か?

 

問い:治療前後の咀嚼機能の改善は評価できるのか?

問い:基本検査(すべて患者の同じ内容のレントゲン検査)は,医療倫理上認められるのか?

被験者の自発的な同意が絶対に必要不可欠である

問い:保定開始後の資料採得(レントゲン照射による患者被曝)は医療行為として許されるのか.

被験者の自発的な同意が絶対に必要不可欠である。

問い:矯正歯科治療(動的処置)後の保定期間はいつまで善管注意義務があるのか?

問い:装置の使用を指示したにもかかわらず,約束を守らない患者側の義務について(説明と同意,患者の義務について)

問い:医療法上の義務(医療法 第1条の4:医療従事者は,良質かつ適切な医療をおこなうよう努力する義務)について

問い:医療法 第1条の2 適切な説明とは

問い:医学的に無益な矯正歯科医療行為にはどのようなケースか?

 

問い:医療として歯列矯正における公平・公正な配分はどうあるべきか.

問い:歯列矯正治療を望む患者が医療費を支払うことができない場合はどうすべきか?

問い:歯列矯正治療を開始した患者が,医療費の支払い困難になった場合はどうすべきか.

問い:歯科医師1人の診療所:良質かつ適切な医療を提供するための患者数と人員配置について

 

 

ケース① 功利主義

歯列矯正では遺伝要因として,家族の状況についても問診による聴取を行います.

 

ケース② 

アンカースクリューの使用とヘッドギアの使用の価値判断

 

ケース③

 

ケース④ 義務論を超える善行

 保定開始後の定期観察に4-5ヵ月に1度通院しているXさんがいます.治療は大変良好に仕上がり,咬合状態も申し分ありません.保定装置を装着して10年になりますが,マウスピース型保定装置を一週間に一回ほど装着しています.定期観察においては,後戻りの確認以外に,歯周病や歯肉退縮などについて,口腔内環境の変化について観察を続け,望ましい加齢変化から逸脱しないようにアドバイスをしながら着色除去や清掃を行っています.

 一方,同じ時期に治療開始し,同様に終了した患者Yさんは,定期観察にはお忙しいためなかなかお越しになりません.先日,三年ぶりにお越しになられた時,下顎前歯に叢生の後戻りが認められ,歯石の沈着もありました.当日は,口腔清掃を行い,これらについて説明しましたが,現在の保定装置は壊れているか不適合のため,再製作しないと装着することができません.

 Yさんへ,現状のままで放置した場合の今後について説明しました.現状維持のため,保定装置を再製作するか,再治療するかについて,費用についても説明しましたが,どちらの案にもご納得できないようです.

 

 

― 医療倫理に関する宣言や規定

  BC400   ヒポクラテスの誓い

  1947       ニュルンベルグ綱領

  1948       ジュネーブ宣言

  1949    医の倫理に関する国際規定

  1964       ヘルシンキ宣言

  1981       患者の権利に関するリスボン宣言

 

 

 

― 医の倫理規定

 世界医師会WMA

  医の倫理マニュアル

  医の国際倫理綱領

   医師の一般的な義務

   患者に対する医師の義務

   同僚医師に対する義務

 世界歯科医師会 FDI

   Dental Ethics Manual

 日本医師会

  昭和26年 「醫師の倫理」

  医の倫理の基礎知識 2018年版 (日本医師会)

  日本医師会倫理規定

 米国矯正歯科専門医会

  Principles of Ethics, Code of Professional Conduct and Advisory Opinions of the American Association of Orthodontists

 日本矯正歯科の団体

  公益社団法人 日本矯正歯科学会 倫理規定

    矯正歯科患者の転医に際しての矯正費用の返金に関する指針

  公益社団法人 日本矯正歯科学会 倫理審査 懲戒規則

  日本矯正歯科専門医機関 規則

  日本矯正歯科専門医機関 倫理規程

  日本矯正歯科協会 歯科医師・歯科矯正医の職務基本規程

 日本歯科医師会

  信頼される歯科医師Ⅱ 歯科医師の職業倫理(平成20年)

 

 

― 法

 法 律  刑法 第十三章 秘密を侵す罪(秘密漏示)1341

 法 律  医療法

 政 令  医療法施行令(昭和二十三年政令第三百二十六号)

 府省令  医療法施行規則

   ・ 医療法における病院等の広告規制について

 

 法 律  歯科医師法

 政 令  歯科医師法施行令

 府省令  歯科医師法施行規則

 

 法 律  歯科衛生士法

 政 令  歯科衛生士法施行令(平成三年政令第二百二十六号)

 府省令  歯科衛生士法施行規則(平成元年厚生省令第四十六号)

 法 律  歯科技工士法

 政 令   歯科技工士法施行令(昭和三十年政令第二百二十八号)

 府省令   歯科技工士学校養成所指定規則(昭和三十一年厚生省令第三号)

 

 法 律  医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬

 

健康保険法

介護保険法

感染症法

医療事故

副作用への対処(公的補償制度、被害補償など)

医療福祉制度

 

 

― 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針

倫理指針(本文)(平成29年2月28日一部改正)[PDF形式:283KB]

施行通知(平成29年2月28日一部改正)[PDF形式:132KB]

新旧(平成29年2月28日一部改正)[PDF形式:179KB

ガイダンス(本編)平成29年5月29日一部改訂[PDF形式:2,030KB]

ガイダンス(本編)新旧対照表(平成29年5月29日一部改訂)[PDF形式:67KB]

ガイダンス(附則版)平成29年3月8日[PDF形式:152KB]

様式(提供の記録、重篤な有害事象) 平成29年3月8日[Word形式:84KB]

チェックリスト 平成29年3月24日(第2版)[Word形式:80KB]

チェックリスト 平成29年3月24日(見え消し)[PDF形式:177KB]

Q&A 平成29年3月8日[PDF形式:125KB]

 

― 法令

 臨床研究法(平成29年法律第16号)

概要[13KB]  

本文[186KB]

 政令

臨床研究法の施行期日を定める政令(平成30年政令第40号)[18KB]  

臨床研究法第24条第2号の国民の保健医療に関する法律等を定める政令(平成30年政令第41号)[56KB]  

 省令 

臨床研究法施行規則(平成30年厚生労働省令第17号)[1MB]  

臨床研究法施行規則(平成30年厚生労働省令第17号)(様式のみ)[93KB]  

参考資料:読替表[149KB]

 

 

 1868(明治元年)年12月    太政官布告

 1874(明治7)年               医制

 1875年               医術開業試験の実施通達.西洋医学

 1883               医術開業試験規則及医師免許規則

 1889年               歯列矯正術(歯科提要,小林義直)

 1906年               医制にかわって医師法制定.医師と歯科医師は分離.

 2018年               臨床研究法

 

 

 

■ 参考図書・書籍 

 書籍リンク

 

■ 医療倫理の研究会・学会・雑誌 

 日本医学哲学 倫理学会

 日本生命倫理学会

 日本臨床倫理学会

 生命・医療倫理研究会

 日本看護倫理学会

 臨床倫理ネットワーク日本

 Journal of Medical Ethics: 47 (1) Journal of Education and Ethics in Dentistry JADA The Journal of Ethics

 American Society for Dental Ethics American Society for Dental Ethics

  International Dental Ethics & Law Society International Dental Ethics and Law Society

  Student Professionalism & Ethics Association Student Professionalism & Ethics

 

 Dental Ethics Primer 2017 Edition

 

 American College of Dentists American College of Dentists

 AMA Jpurnal of Medical Ethics

 European Association of Centres of Medical Ethics